先日、大切な友人の結婚式に出席するために、花屋さんに立ち寄った。
店内に一歩足を踏み入れた瞬間、色とりどりの花々が僕の目に飛び込んできた。まるで虹が店内に広がっているようだ。
花屋さんの店主は、優しそうな目をした初老の女性だった。「いらっしゃいませ。どんなお花をお探しですか?」と、柔らかな口調で尋ねてくれる。
僕は「友人の結婚式に、おすすめの花を贈りたいんです」と伝えた。
すると店主は、にこやかに微笑みながら、店の奥へと案内してくれた。そこには、ひときわ美しく輝くバラの花束が置かれていた。
まるで、その花束を贈るために、僕を待っていたかのようだ。
「これは、うちの自慢の品種なんですよ。『永遠の愛』という名前のバラなんです」と、店主が説明してくれる。
その時、僕は全身に電流が走るような感覚を覚えた。二人の永遠の愛を祝福する僕の気持ち。まさに、この花束は、僕の思いを表現してくれているようだった。
ところが、その花束を買おうとしたその時、店主は申し訳なさそうに言った。
「あら、ごめんなさい。実は、このバラ、先ほど別のお客様がご予約されていたんです」
僕は、がっかりとため息をついた。せっかく、友人への祝福にぴったりの花束が見つかったのに、タイミングが合わなかったのだ。
しかし、店主はめげずに、僕に別の花を勧めてくれた。
「こちらのユリはいかがでしょう。『純潔』という花言葉を持っているんですよ」
真っ白なユリは、まるで新婦のウェディングドレスのように美しく、清らかだった。二人の新しい人生の門出に相応しい花だ。
「お二人の純愛と、これから始まる人生の幸せを祈って贈るのはどうでしょうか」と、店主が提案してくれる。
僕は、すぐにそのユリを買うことに決めた。包装紙に、丁寧にメッセージカードを添えてくれる店主の姿に、花を贈る喜びが伝わってくるようだった。
店を後にした僕は、道を歩きながら、店主との出会いを思い返していた。
最初は欲しかった花束が買えず、がっかりしたけれど、結果的には、友人の門出により相応しい花を贈ることができた。
店主の真心のこもった対応があったからこそ、僕は最高のプレゼントを選ぶことができたのだ。
人生には、思うようにいかないこともある。しかし、周りの人の助けを借りながら、柔軟に考えることで、新しい道が開けるのかもしれない。
花屋さんでの出来事は、僕にそんな希望を与えてくれた。
明日からも、人の優しさに感謝しながら、一歩一歩前に進んでいきたい。
大切な友人の幸せを思い浮かべながら、僕はそう心に誓ったのだった。