旅行計画を立てるときと、マーケティング戦略を組み立てるときには、驚くほど多くの共通点がある。

僕はよく旅行に出かけるのだが、目的地を決めるプロセスは、まさにマーケティングでターゲットを設定するのと同じだ。

例えば、京都旅行を計画しているとしよう。京都にはたくさんの観光スポットがあるが、全てを回ることは難しい。

そこで、自分の興味や目的に合わせて、訪れる場所を絞り込む必要がある。これは、マーケティングで言うところのターゲティングだ。自社の製品やサービスに合う顧客層を特定し、そこに集中的にアプローチするのと同じ原理である。

次に、具体的な行程を組み立てる段階に入る。京都旅行なら、金閣寺や清水寺など有名どころは外せない。でも、それだけでは物足りない。現地の人しか知らないような穴場スポットにも行ってみたい。

 

これは、マーケティング施策の実行に似ている。定番の手法は押さえつつ、他社が気づいていないようなユニークな施策も打ち出していく。そうすることで、競合他社との差別化を図るのだ。

僕が以前勤めていた飲食チェーンでは、こうしたマーケティングの考え方が徹底されていた。例えば、新商品を開発する際、まずはターゲットとなる顧客層を明確にする。主婦層なのか、学生なのか、ビジネスマンなのか。そのターゲットに合わせて、商品のコンセプトや価格帯を決めていく。そして、販売開始後は、定番のテレビCMに加えて、SNSを活用した口コミ施策なども積極的に行った。旅行計画でいうところの「定番+穴場」戦略だ。

こうした地道な取り組みの積み重ねが、結果として売上アップにつながっていった。マーケティングも旅行計画も、目的地に到達するまでのプロセスが肝心なのだ。

だからこそ、計画を立てる際には、常に柔軟な発想を心がけたい。「これまでと同じやり方でいい」と思考停止してしまっては、新しい発見は生まれない。旅先で偶然出会った人との会話から、思わぬアイデアがひらめくかもしれない。日頃の何気ない会話の中に、顧客ニーズを捉えるヒントが隠れているかもしれない。

僕は、旅行に出かける度に、こうした「気づき」を大切にしている。それは、仕事でマーケティング戦略を組み立てる際にも、きっと役立つはずだ。旅は人生の縮図なんて言われるが、マーケティングにとっても、旅から学ぶことは多いと思うのだ。