DIYにチャレンジしたことがある人なら分かるだろう。設計図通りに組み立てても、なかなか思ったような仕上がりにならないことが多い。
僕の場合、玄関ドアの上に飾るウッドデッキを作ろうとしたのだが、木材の加工がいまいち上手くいかず、最後はめちゃくちゃな出来映えだった。でも、その過程で大切なことを学んだ。
「ユーザー視点を忘れるな」ということだ。
ウッドデッキの設計図は分かりやすく、部材の加工も一見簡単そうに見えた。だが実際に作り始めると、細かい仕上げの部分でつまずいてしまう。これは、設計者と作り手の立場が違うからだ。
設計者は製品をどう使うかという視点は持っていても、実際に作る人の苦労までは想像し切れていない。一方、作り手は組み立てるプロセスに夢中になり、本来の目的をつい忘れがちになる。
ウッドデッキを作る目的は何だったか? それは玄関に木の温もりを感じさせ、帰宅時の気分を明るくすることだった。でも、出来上がった結果は趣味が悪く、期待はずれの仕上がりだった。
最初の目的を忘れてはいけない。それが大切なユーザー視点なのだ。製品を作る際、そのプロセスに気を取られすぎず、本当に届けたい価値は何かを意識する必要がある。
実は企業の製品開発でも同じ過ちを犯しがちだ。マーケティングから始まり企画、設計、製造と進むプロセスの中で、ユーザーの本当のニーズを見失いがちになるのだ。
DIYの失敗から学んだことは、製品を使う側に徹底的に立ち、いかに使いやすく快適な体験を提供できるかを考え抜くことの大切さだ。プロセスを大事にするが故に、本来の目的を見失わないことが不可欠なのである。