スーパーの野菜コーナーで、カゴを手にした僕は、レタスを選んでいた。その時、ふと隣に立つ女性に目が止まった。彼女は、僕の大学時代の友人、美咲だった。数年ぶりの再会に、思わず声を上げた。「美咲?」彼女も僕を見て、驚きと喜びが入り混じった笑顔を見せた。
「久しぶり!」美咲の声は、昔と変わらない。学生時代、僕たちはよく一緒に食事をして、将来の夢について語り合った。あの頃、僕たちは何もかもが可能に思えた。仕事に追われる日々の中で、そんな時間が過去のものになっていたのを、この偶然の再会が思い出させてくれた。
美咲は今、地元の小学校で教師をしていると言う。彼女の目は、子供たちについて話す時、いつも輝いていた。僕は一方で、大手企業を辞めて起業し、経験と失敗を重ね、今はWEBマーケティングの世界で新たな道を歩んでいる。彼女は、僕の変化に興味津々だった。
再会は短かったが、互いの連絡先を交換し、次回はゆっくりと時間を取って会う約束をした。スーパーでの買い物が、ただの日常の一コマから、価値ある時間へと変わった。
家に帰りながら、僕は思った。人生は予測不可能で、いつどんな形で幸せが訪れるか分からない。美咲との再会は、ただの偶然ではなく、僕たちの人生が交差するための必然だったのかもしれない。そして、過去を振り返りながらも、これからの未来にわくわくする。そんな小さな奇跡を、僕は大切にしたい。