昨日、遅くまで仕事をしていた。頭の中はプロジェクトの締め切りでいっぱい。そんな時、机の上の栄養ドリンクが目に入った。ラベルには「ビタミンC 1,000mg」と大きく書かれている。一瞬、「えっ、レモン何個分だろう?」と考えた。この数字の大きさには、なんとなく心強さを感じる。だが、本当に体にいいのか、疑問が頭をよぎる。

ある日、こんなマーケティングのテクニックについて考えたことがある。数字が大きいほど、なんとなく「価値がある」と錯覚してしまう。1gよりも1,000mgの方が何故か強力に感じる。これはフレーミング効果という心理学の用語で説明できる現象だ。

その日も、栄養ドリンクを飲みながら、フレーミング効果のことを考えていた。そして、ふと気づく。僕たちは日々、このようなマーケティングのテクニックに囲まれて生活しているんだ。商品を選ぶ際には、表示されている情報だけでなく、その背後にある意図も考えるようになった。

あの日、僕は深夜のオフィスで、1,000mgのビタミンCがどれだけのものか、実感していた。体を動かすエネルギーが必要だった。しかし、それ以上に大切なのは、自分の体と心をいたわることだった。

「レモン◯個分のビタミンC」という表現には、もう一つの意味がある。それは、自然の恵みと人間の体の素晴らしさを思い出させてくれることだ。栄養ドリンクを手に取るたびに、僕はそんなことを考えるようになった。数字に惑わされず、本当の価値を見極める。それが大切なのだと、改めて感じる。

そして、僕は思う。人として大切なのは、外側からの栄養だけでなく、心の中にある「柔らかい気持ち」を持ち続けること。そんな小さな気づきが、僕の日常を豊かにしてくれるんだ。あの運転手さんがくれたチョコレートのように、人生のささやかな贈り物を大切にしたい。そしていつか、僕も誰かにそんなささやかな優しさを分け与えられる人になりたい。それが、僕の願いである。