コンビニでのある日の出来事だ。僕は、急に昔懐かしい味が恋しくなり、ふらりと立ち寄った。目指すは、子どもの頃に駄菓子屋で買っていたあのチョコボール。当時は50円くらいで手に入れることができた。あの金のエンゼルが出ると、どれだけ嬉しかったことか。それが今、コンビニの棚で税込99円で売られているのを目の当たりにした時の驚きと言ったら、言葉では表せない。
この驚愕はただの価格の問題ではない。それは、時が流れ、世界が変わり、そして僕たち自身が変わってしまった証拠だ。小さなチョコボール一つから、こんなにも多くを感じ取ることができるなんて、人生って不思議だ。
僕がこのチョコボールを手に取った瞬間、ふと子どもの頃に戻ったような感覚に陥った。駄菓子屋の店先、そこで選び取った数々のお菓子。そして、その中でも特に愛してやまなかったチョコボール。あの時のわくわく感、ドキドキ感を、大人になった今でも覚えている。
だが、今立っているのは駄菓子屋ではなく、コンビニ。時代は変わり、僕もまた変わった。50円で買えたあの幸せが、今や99円に。しかし、その価格が高いとは感じない。むしろ、この小さなチョコボールを通じて、過去と現在が繋がっているような、不思議な感覚に包まれる。
家に帰り、そのチョコボールを口にした時、懐かしい味がした。しかし、それはただの味ではない。それは、過ぎ去った日々、そしてこれからの日々への思いが詰まった、特別な味だ。この小さな体験が、僕にとって大きな意味を持つことになるとは、誰が予想できただろうか。
この話を読んでくれたあなたにも、きっと似たような体験があるはずだ。時の流れの中で変わってしまったもの、しかし心の中ではいつまでも変わらないもの。そんなものを大切にしてほしい。僕たちの周りには、常に価値あるものが溢れている。時には立ち止まって、その価値を感じ取ることが、私たちの人生をより豊かにしてくれるんだ。
だから、今日も僕は、過去を振り返りながらも前を向いて歩いていく。そして、いつか子どもの頃のような純粋な喜びを、また味わう日が来ることを信じて。