このブログのテーマは不動産投資・大家業で自分年金を作ることですが、時々「不動産収入があると年金を減らされませんか?」という質問を受けることがあります。

 

結論から言うと不動産収入があっても年金額が減らされることはありませんが、注意すべき点はあります。

 

年金自体は減らされなくても税金が増えたり医療保険や介護保険の負担が増えたりして手取り額が減ることはあり得るからです。

 

特に、退職後に不動産投資を考えている人や、既に不動産収入を得ている人にとっては知っておくべき知識なのでこの記事では、不動産収入と年金の関係について詳しく解説します。

 

 

1. 不動産収入と公的年金の関係

 

まず初めに、公的年金(国民年金、厚生年金)の受給と不動産収入の関係について見てみましょう。公的年金は、主に労働による収入に基づいて計算されるため、不動産収入そのものが直接的に年金額を減らすことはありません。つまり、不動産からの賃貸収入があるからといって、年金が減額されることは基本的にはありませんので安心していただいて大丈夫です。

 

 

2. 年金が減額される場合

 

ただし、以下の特定の条件下では年金額が減らされることがあります。

 

 

2.1 在職老齢年金

 

在職老齢年金は、60歳以上65歳未満の間に適用される制度です。この制度では、厚生年金を受給しながら働いている場合、収入に応じて年金が減額されることがあります。

 

具体的には、以下のような計算式で減額が決定されます。

 

60歳以上65歳未満の場合:総報酬月額相当額(賃金+基本年金月額)が一定額(28万円、または47万円)を超えると、その超過分の一部が年金額から減額されます。

 

具体的な計算例

 

以下に、具体的な例を用いて説明します。

 

 

例1:総報酬月額相当額が30万円の場合

 

賃金が20万円、基本年金月額が10万円の場合、総報酬月額相当額は30万円。

30万円 - 28万円 = 2万円が28万円超過分。

2万円の半額(1万円)が支給停止。

基本年金月額10万円 - 支給停止額1万円 = 実際に受け取る年金額9万円。

 

 

例2:総報酬月額相当額が50万円の場合

 

賃金が35万円、基本年金月額が15万円の場合、総報酬月額相当額は50万円。

50万円 - 28万円 = 22万円が28万円超過分。

47万円 - 28万円 = 19万円の半額(9.5万円)が支給停止。

50万円 - 47万円 = 3万円が47万円超過分。

支給停止額9.5万円 + 3万円 = 12.5万円。

基本年金月額15万円 - 支給停止額12.5万円 = 実際に受け取る年金額2.5万円。

 

 

注意点

 

支給停止の計算は複雑で、個々のケースによって異なる場合があります。

詳しい計算や個別の相談については、年金事務所や専門のファイナンシャルプランナーに相談することをお勧めします。

 

 

65歳以上の場合:賃金と年金の合計額が47万円を超えると、その超過分の一部が年金額から減額されます。

 

 

この場合、不動産収入は「賃金」には含まれませんが、他の収入との合計額が影響を与えることがあるため、詳細は年金事務所で確認することが重要です。

 

 

2.2 総合所得による影響

 

年金受給者の所得が高い場合、所得税や住民税が増えることで、手取り年金額が減少することがあります。不動産収入があると、確定申告により所得が増えるため、結果として税金が増え、手取りが減ることになります。

 

 

3. 税制上の影響

 

不動産収入がある場合、税金面での影響も考慮しなければなりません。不動産収入は確定申告が必要であり、所得税や住民税の計算に含まれます。これらの税金が増えることで、手取り収入が減少する可能性があります。また、住民税が増えると、介護保険料や後期高齢者医療保険料なども増加することがあります。

 

 

4. 医療保険と介護保険の影響

 

年金受給者にとって、不動産収入が影響を与えるもう一つの重要な要素は医療保険と介護保険です。これらの保険料は所得に基づいて計算されるため、不動産収入が増えると保険料も増加する可能性があります。特に、75歳以上の後期高齢者医療制度に加入している場合、所得に応じて保険料が決定されるため、不動産収入が高いと保険料負担が大きくなることがあります。

 

 

5. まとめ

 

不動産収入がある場合、公的年金自体が直接的に減らされることはありませんが、総合的な収入が増えることで、税金や保険料の負担が増える可能性があります。そのため、不動産収入と年金のバランスを考える際には、税制や保険料の影響も含めて総合的に検討することが重要です。

 

不動産投資を計画している方や、既に不動産収入を得ている方は、一度税理士やファイナンシャルプランナーに相談し、自身の状況に応じた最適なプランを立てることをお勧めします。これにより、将来的な資金計画をしっかりと立て、安心して年金生活を送ることができるでしょう。

 

このように不動産収入と年金の関係について理解することで、より賢明な資産運用と生活設計が可能になります。今後も、自身の収入状況と公的年金制度のルールをしっかりと把握し、最適な生活プランを考えていきましょう。