私が物件を所有しているのは大阪ですが、この地域の特徴として、連棟物件が多いことが挙げられます。連棟物件とは、複数の住宅が一体となって建てられている物件を指し、一般的には「テラスハウス」や「タウンハウス」とも呼ばれます。

 

大阪には伝統的な町家文化があり、狭い土地を有効活用するために連棟形式の住居が古くから存在していました。このような連棟住宅の伝統が、現代に至るまで続いている部分もあります。高度経済成長期には、連棟物件は限られた土地に多くの住戸を建てられるため、住宅不足を解消するための一つの手段として普及しました。

 

大阪で物件を探していると、高利回り物件や割安な物件には連棟物件の比率が高いです。私自身も連棟物件はいくつか所有しています。今回は、連棟物件に投資する際のメリットとデメリットについて詳しく解説します。

 

 

連棟物件のメリット

 

 

・コストの効率性

 

連棟物件は一棟の建物を複数の住戸に分割するため、建築コストが分散されます。その結果、一戸あたりの建設費用が抑えられ、比較的安価で購入できるケースが多いです。また、土地代も分割されるため、土地購入の負担も軽減されます。

 

リノベの際にも、戸建と比べると安価で住む場合が多いです。例えば、外壁塗装を行う場合、連棟だと1戸あたりの塗装面積は戸建てに比べて少なくなります。

 

 

・安定した賃貸需要

 

連棟物件はアパートと比べるとファミリー層に人気があり、賃貸需要が安定していることが多いです。特に、郊外の静かな住宅街や教育施設の近くに立地している場合は、長期的な賃貸契約を結びやすいでしょう。

 

 

 

連棟物件のデメリット

 

 

・プライバシーの問題

 

連棟物件は壁を燐家共有しているため、隣接する住戸との間で騒音問題が発生することがあります。また、共用スペースの利用時にもプライバシーの確保が難しい場合があります。

 

 

・柔軟性の制限

 

連棟物件では、建物全体のデザインや構造が一体化しているため、個別の住戸で大規模なリフォームや改装を行うことが難しいです。また、共用部分の変更についても、他の住戸の住民との合意が必要となります。

 

1戸だけ建て替えをする際は、壁を共有する燐家の承諾が必要となります。連棟から切り離して戸建に建て替える場合には、切り離し工事や、切り離しによって影響を受ける隣接する住戸の壁や基礎を補強する工事も必要になるため、工事費用は割高になります。

 

 

・売却時の制約

 

連棟物件の一部を売却する際、他の住戸の所有者や管理組合との調整が必要となる場合があります。また、個別の住戸が市場でどの程度の価値を持つかが不透明なため、売却が難航することもあります。

 

 

築古の連棟物件についての考慮点

 

 

築古の連棟物件、つまり建築から長い年月が経過している物件には、特有のメリットとデメリットがあります。

 

 

メリット

 

価格の安さ:築古の連棟物件は、新築や築浅の物件に比べて価格が大幅に安くなる傾向があります。初期投資額を抑えたい投資家にとっては大きな魅力です。

 

魅力的な立地:築古の連棟物件は、古くからの住宅街に位置することが多く、周辺に歴史ある建物や成熟したコミュニティが存在する場合があります。このような立地は、生活至便であり借り手にとって非常に魅力的です。

 

 

デメリット

 

メンテナンスコストの増加:築古物件は、経年劣化による修繕やメンテナンスの必要性が高まります。特に、屋根や外壁、配管などの大規模修繕が必要となる場合があります。これにより、維持管理コストが増加する可能性があります。

 

耐震性や断熱性の問題:古い建物は、現行の建築基準に適合していない場合があり、耐震性や断熱性に問題があることがあります。これらの問題を解決するためには、大規模な改修工事が必要となることがあります。

 

賃貸需要の不確実性:築古物件は、新築や築浅の物件に比べて賃貸需要が不確実になる場合があります。特に、競争の激しいエリアでは、築古物件が敬遠されることも考えられます。

 

 

結論

 

連棟物件は、コスト効率の良さや安定した賃貸需要など、多くのメリットを持つ一方で、プライバシーの問題などのデメリットも存在します。特に、築古の連棟物件に投資する際には、価格の安さやリノベーションの可能性といったメリットを最大限に活用する一方で、メンテナンスコストや耐震性の問題などに注意を払う必要があります。

 

不動産投資で連棟物件の購入を検討する際には、これらのメリットとデメリットを十分に理解し、自身の投資目的やライフスタイルに適した物件を選ぶことが重要です。また、連棟物件を選ぶ際には、立地や周辺環境なども慎重に検討することが求められます。