日本各地で増え続ける空き家。所有者が住まなくなった家をそのまま放置しておくと、思わぬリスクに見舞われることがあります。本記事では、空き家を放置することの危険性について解説し、その対策について提案します。

 

 

放火のリスク

 

空き家は誰も住んでいないため、無防備な状態にあります。そのため、放火のターゲットになりやすいのです。一度火がつくと、誰もすぐに気づくことができないため、被害が拡大しやすくなります。放火によって空き家が燃えてしまうだけならまだしも、隣接する住宅や重要文化財に火が移ってしまった場合、所有者は法的責任を問われる可能性があります。

 

 

法的責任と経済的損失

 

空き家が放火などによって被害を受け、その火が他の建物にまで広がった場合、所有者はその損害を賠償しなければならないことがあります。これは大きな経済的負担となり、場合によっては多額の損害賠償を支払う必要が生じるかもしれません。また、空き家の管理義務を怠ったとして、行政から指導や罰則を受けることもあります。

 

 

相続問題の複雑化

 

空き家を相続する際、相続人が複数いる場合、その不動産を巡って争いが生じることがあります。不動産は分割が難しいため、相続人同士の対立を招きやすいのです。特に、空き家が放火などの被害に遭った場合、その損害賠償責任を誰が負うのかという問題も発生します。これにより、家族間の関係が悪化するリスクもあります。

 

 

特定空き家に指定されるリスク

 

空き家を放置しておくと、自治体によって「特定空き家」に指定される可能性があります。「特定空き家」に指定されると、固定資産税の優遇措置が適用されなくなり、税金が大幅に増加することがあります。具体的には、住宅用地の固定資産税は通常、敷地面積に応じた軽減措置が適用されますが、特定空き家に指定されるとこの軽減がなくなり、標準税率が適用されます。これにより、税負担が数倍に増えるケースもあります。

 

 

不法侵入と犯罪の温床

 

空き家は無人であるため、不法侵入の対象になりやすく、犯罪者にとっては格好の隠れ場所となります。不法占拠や違法な活動(例えば、薬物製造や隠れ住処としての利用)が行われる可能性が高まり、地域の治安を悪化させる原因となります。

 

 

建物の劣化と倒壊の危険性

 

空き家は定期的なメンテナンスが行われないため、建物の劣化が急速に進行します。屋根や外壁の破損、シロアリ被害、カビの発生などが放置されると、建物の構造が弱まり、最悪の場合、倒壊の危険性があります。倒壊した場合、近隣住民や通行人に危害を与える可能性があり、所有者はその責任を負うことになります。

 

 

環境・景観の悪化

 

空き家が放置されると、庭や敷地に雑草が繁茂し、ゴミが不法投棄されることがあります。これにより、地域の景観が悪化し、周囲の住民に迷惑をかけるだけでなく、地域全体の資産価値を下げる原因となります。また、害虫や害獣の発生源となり、衛生環境が悪化することもあります。

 

 

災害時のリスク

 

地震や台風などの自然災害が発生した場合、管理されていない空き家は耐久性が低いため、被害を受けやすくなります。倒壊や飛散物によって近隣に被害をもたらすリスクが高まるため、災害時の被害を最小限に抑えるためには、空き家の適切な管理が不可欠です。

 

 

地域社会への影響

 

空き家が増えることで、地域社会全体に悪影響を与えることがあります。空き家が多い地域は人口が減少し、商業施設や公共サービスの維持が困難になることがあります。これにより、地域の活力が失われ、さらに人口流出が加速するという悪循環に陥る可能性があります。

 

 

対策:早めの処分と管理

 

空き家のリスクを避けるためには、いくつかの対策があります。

 

売却: 親が元気なうちに空き家を売却し、賃貸住宅に住み替えることで、相続時に不動産を分ける必要がなくなります。これにより、現金資産を増やし、相続時の分配を容易にします。

 

賃貸: 空き家を賃貸物件として活用する方法もあります。適切な管理を行うことで、放火や不法侵入のリスクを軽減し、収益を得ることができます。

 

管理会社の利用: 空き家管理サービスを利用して定期的に見回りを行い、問題が発生しないようにすることも重要です。これにより、防犯対策や建物の維持管理が適切に行われます。

 

 

まとめ

 

空き家を放置することには多くのリスクが伴います。放火による被害、法的責任、相続問題、そして税金の増加など、さまざまなトラブルが発生する可能性があります。これらのリスクを避けるためには、早めに空き家の処分や管理を行うことが重要です。不動産を有効に活用し、安全と財産を守るための対策を講じましょう。