「訳あり物件」とは、何らかの理由で通常の市場価格よりも安価になっている不動産を指します。その「訳」にはさまざまな理由があり、それによって物件の価値や売買の難易度が大きく変わることがあります。こうした物件は、通常の物件に比べて高いリターンを期待できる可能性がありますが、それに伴うリスクも高いため、慎重な検討が必要です。

 

 

訳あり物件の例

 

 

立地の問題:騒音が多い、周囲の環境が悪い、交通の便が不便など、立地条件に問題がある場合。

 

土地の形状の問題:土地の形が、旗竿地や不整形地のように住宅を建てるのに難がある場合。

 

物理的な欠陥:建物に傾きがある、老朽化が進んでいる、設備の不具合、構造上の問題など、簡単には直せない物理的な欠陥がある場合。

 

法的な問題:建築基準法違反、地目の変更が難しいなど、法的な問題を抱えている場合。

 

イメージの問題:過去に犯罪が発生した、いわゆる事故物件や、建物内で不審死があった等心理的な瑕疵(かし)がある物件。このような物件は一般的に相場の3割引き程度で賃貸に出ているケースが多いようです。

 

金融上の問題:差し押さえ物件や競売物件など、金融機関の介入がある物件。

 

 

それらの訳あり物件に投資して失敗する典型的なケース

 

事故物件の過小評価: 事故物件を適正価格よりも高く購入してしまい、その後の賃貸需要が見込めず、結果的に高額な空室リスクを抱えるケース。

 

法的問題の見落とし: 建築基準法違反などの法的問題を抱える物件を購入し、後に改修費用や罰金が膨大になり、投資コストが回収できないケース。

構造的欠陥の見落とし: 耐震基準未満の建物や、隠れた構造的欠陥を持つ物件を購入し、後から高額な補修費用が発生するケース。

 

立地の問題: アクセスが悪い、周囲の環境が悪化しているなど、立地の問題を過小評価して投資した結果、賃貸や売却が困難になる事例。

 

金融問題の見落とし: 競売物件や差し押さえ物件を安価で手に入れたものの、後隠れた抵当権や税金の滞納が発覚し、追加費用がかさむ例。

 

心理的瑕疵の過小評価: 過去に犯罪が発生したなど心理的瑕疵を抱える物件を購入したが、その影響を過小評価し、賃貸や売却に大きく響くケース。

 

改修コストの見積もりミス: 老朽化物件を購入時に改修コストを過小評価し、実際には予算を大幅に超える修繕費用がかかり、投資効率が著しく低下する事例。

 

環境問題の発覚: 土壌汚染やアスベストなど、環境問題を抱える物件を購入後、対応に莫大な費用が発生し、投資回収が困難になるケース。

 

 

投資する際の注意点

 

リスクとリターンの把握:訳あり物件は通常より安価なことが多いですが、その理由を正確に理解し、修正や改善にかかるコストを見積もる必要があります。リスクとリターンのバランスを慎重に評価してください。

 

詳細な調査(デューデリジェンス):物件の購入前には、建築的、法的、金融的な側面を含む詳細な調査を行い、隠れた問題がないかを確認することが重要です。

 

専門家の意見:不動産のプロフェッショナル、弁護士、税理士など、該当する分野の専門家に相談し、意見を求めることが賢明です。

 

出口戦略の検討:将来的にその物件をどのように活用または売却するか、出口戦略をあらかじめ検討しておくことが大切です。

 

資金計画の見直し:予期せぬ出費や修繕費用に対応できるよう、十分な資金計画を立てておくことが必要です。

 

訳あり物件に投資することは、高いリターンを期待できる一方で、未知のリスクに直面する可能性もあります。慎重に評価し、自身の投資目標やリスク許容度と照らし合わせて検討することが肝心です。