ノルマンディーに家を購入してしばらくして改装工事を始めた。
そのまま住むこともできたけれど、
前に住んでいた方の装飾の中で生きるのは生活感を感じてどこか居心地悪くかんじた。
内装は70年代の装飾に彩られていて可愛らしい壁紙だったりしたけれど、
自分の家だと感じるためにも内装工事をすることにした。
少し安く買えた分、工事の分までローンを組んでいた。
家を購入してから予想外のことがいくつか起きた。
壁を覆っていた壁紙を剥がすと、小さな扉がありそれを開けると水道管が見えたのだが、
その素材が人体に有害な鉛であることがわかった。
なので水道管を変える工事を追加することになった。
昔のほとんどの家は鉛や人体に有害な物質が使われている。
それが人体に有害だとわかる前に建てられた家たちばかりだから。
交渉人のところでサインをし、家の鍵をもらって2日後に
ガスの湯沸し器が壊れた。
家全体を温めていたのはその湯沸し器だったので、暖房もお湯も無い状態になった。
冬が迫っていたノルマンディー地方ではそれはかなり辛い状況だったかもしれない。
家を購入することが決まったのとほとんど同時に日本人の女性に知り合っていた。
彼女はB市にすでに8年ほど住んでいた。
私の家から歩いて15分ほどの所に彼女のお家があったので
よくお風呂を借りに行かせてもらった。
とても幸運だったと思う。
そのようなきっかけから急に彼女との距離が縮まって仲良くなり、
田舎の家に行くたびに彼女のところに行って、一緒にご飯も食べるようになった。
年が明け2020年になり、仕事が忙しくなったが内装工事は続いていて、
月に1〜2回は田舎の家に行くようにしていた。
暖房のない家は寒かったし、大きな敷地に一人で物音に怯えて夜は震え上がることもあった。
漫画のように猫がゴミを荒らしに来て、派手にゴミ箱をひっくり
返し縮み上がったこともあった。
前の住人が残していった寝具に包まっていると、
十代の頃家出をして人の家の埃臭かった布団で寝たことを思い出したりした。
全体的にはまるでキャンプでもしているようで楽しかった。
そしてコロナ禍が起こった。
外出禁止になり、しばらくは田舎の家に行くことができなくなった。
