星組での上演を来年に控えていますし、なんたって加入しているWOWOWにて放送中!

せっかくの3連休ともなれば、上演時間でも話題の『RRR』を見るっきゃないと張り切りました


正直な感想としては『RRR』が泣ける映画なんて聞いてない!です。

巷の評判をうっすら聞いて、激しいバトルに歌い踊る娯楽作品なんかなって思ってたんですよ。

よくインド映画の感想じゃ見て強くなった気分とか、気持ちが上がるとか聞くしで、きっと『RRR』もそんな楽しい作品なんだろうなぁと勝手に想像してました。

いや実際のところビームとラーマという益荒男(マスラオ)が2人も登場して信じられないレベルで戦うし、確かに軽快に踊ってもいるし素敵な歌も流れてましたけど全然印象が違うんですよ。

だって話題のナートゥナートゥだってグッときましたもん、もう泣くポイント多すぎてどうしようかってなるレベルでした。

結構頑張って堪えていただけにラストバトルを前に2人が再会するとこなんてさ、もうアカン!ってダバーと涙が溢れちゃうしで困ってしまう程。


そもそも、開始してすぐがもう不穏なんです。

異国の少女を侍らせるイギリスの御婦人、子供は無邪気だから喜ばせてあげようとしてか歌なんか口ずさんで笑顔なんだけど、それを見守る大人たちは怯えた表情。

ようやく終わるとホッとしたのも束の間、その後の振る舞いのえげつなさったらない。

きっと歌っている内容も分からない、施してくれているヘナタトゥーがどういうものかを知ろうともしないそんな輩が、ただその様子が可愛いからとたったコイン2枚で少女を奪っていくだなんて。

いや大金ならいいんかって話じゃないんですよ、もちろん。

あの人間を人間とも思わぬ対応っぷりにメッチャ思わされるんですよ、あぁこれは虐げられた人々の物語なんだって。

その件をしっかり描いているからこそ、取り戻す為に粉骨砕身するビームこそヒーローだとつくづく実感させられてしまう素晴らしい脚本と演出。


さて、もう1人の主人公ラーマ。

彼もまたヒーローではありますが、英国政府の警察官として働いている身分。

…私はこういう役柄って弱いんですよね。

貧しい国だったりすると自分の意志とは関係なしに軍属になることってあるし、生きていく為には支配側へと従順にならざるを得ないこともあります。

イギリスの支配に苦しんでいるのはもちろんインドの人々、そのインドの民衆からも忌み嫌われるポジション…でも生きていくには仕方がないことってあるじゃない!

ちょっと違うかもなんですけど『レ・ミゼラブル』のジャベールや『アナスタシア』のグレブのようなキャラって惹きつけられませんか。

何ならミュージカル『レ・ミゼラブル』でバリケードへ市民たちは来ないぞと歌う軍人も同じフランスの人間なのに!とグッときちゃうタイプです。

そんなわけでラーマ、初っ端の孤軍奮闘している場面の職務に忠実な様子で既に泣けそうだったのに、その後イギリスの人間ではないということで出世できない展開にはもう!

あんなにも頑張ったのに…とこちらが落ち込むレベル。

そう、やはり彼もまた虐げられる側の人間なのです。

さらに大義の為という秘められた事情があるという展開…号泣もんじゃん。


奪われた少女を取り返すべく戦うビーム。

故郷の為に出世しなくてはならないラーマ。

自分を殺して他人の為に生きるって簡単なことじゃない、だのに2人は己の為には決して戦わない。

例え生き延びる為の戦いだとしても、その生かされた命の使い道は決まっている、そんな男が主役なんて当たり前。

しかもそんな人間が2人もいるだけでも凄いのに、さらに偶然出会っちゃうというのがまた凄い。

そりゃ、大人気映画だわ…とこの時点で思い知らされました。

ちなみに序盤も序盤です。


汽車の事故に巻き込まれた子供を助ける際に、初めましてのはずのビームとラーマが無言の指示と目の動きだけで息がピッタリなのが熱すぎる。

しかもこの時点でラーマは既にビームを捕縛する指令を受け行動していました。

そう、2人は決して相容れないはずの立場!

なのに兄弟同然の友情を一瞬で育みます。

ここで2人の仲良しMVみたいなのが流れるんですけど音楽もいいし歌詞もいいしで、ただタンデムでバイク乗ってるだけで号泣。

筋トレしてるだけなのに号泣。

だって2人は知らないんですよ、互いにどういう立場の人間なのか。

どう考えてもそれはいつか発覚するだろうに、あんなにも楽しげに肩車とかあり得ます?

それが可能な筋肉の話は横に置いておくとしても、メッチャ泣けます。


ビームのラーマへ掛ける「兄貴」呼びが堪りません。

あぁいつまでも2人が仲良しでありますように!と願いますが、たぶん無理。

友情の行き先もですが、2人の使命がどうなるかも気になる映画なんです。

約3時間ダレる暇もない!


で、ナトゥーナトゥーよ。

これさぁ、単純な楽しいダンスシーンじゃないってのがまた泣きポイントでした。

まずビームが少女が捕らわれている屋敷で暮らすジェニーと少し良い感じになります。

これがまた本来なら使命の為に非情な展開であっても仕方ない、結ばれるはずのないインドとイギリスとルーツの違う2人なのに何だか微笑ましい仲なのが良いんですよねぇ。

そしてベタにパーティでワルツダンスを踊っていたのをジェニーを狙っていた男性に転ばされてしまいます。

ビームに恥をかかせようと招待客の面前で踊れるもんなら踊ってみろと罵るイギリス人、この時に俯いて顔を曇らせる給仕やミュージシャンを描いているというのが上手いなぁと。

そして状況を打破すべく響くドラムの音を鳴らすはラーマ!

こんなナイスアシストある?

またオーケストラでドラムを担当していたのが顔を曇らせていた1人というのがね、きっとラーマが踊り始めてからは彼が引き継いで叩いてくれていたのでしょう。

つまりビームとラーマが踊るというこの展開、これは単純なイケてるダンスではなくイギリスへの抵抗や反乱の気持ちを現してるってことやん。

そしてやがてそのダンスが国を超え、性別も超え皆が同調していくのがまた熱い。

こんなん泣くやろ!ってメッチャなりました。

それだけでもグッと来るのに、あまりに激しいダンスに1人また1人と倒れいき、さぁどっちが最後まで立ってられる?という熱すぎる最中にラーマがジェニーの応援している姿に気づき勝ちをビームに譲るのがヤバい。

メッチャ良い奴〜!

ここもまた泣けるのです。


とにかく胸熱、号泣展開が約3時間。

それもダラダラと蛇足と感じることもなく、むしろ過不足なく物語がラストまでしっかりと描かれていることにも感動しました。

あと背景にそれとなく仏像とか、逃げ込んだ先が寺院というような感じで神仏の導きみたいな場面があるのも好きでした。

というかもう最後の戦いなんて最早2人が鬼神のようで凄かった、そりゃここまで長時間付き合ってた先であんなに強い姿を見せられちゃ、それだけで感動ですよ。

まさかの序盤で見せてくれた筋トレ肩車スタイルで2人が駆け抜けてくなんて想像もしないじゃないてすか、あり得ない!ってなるかもなんだけどビームとラーマなら出来るとここまで見ていた観客なら皆そうなること請け合いですよね。

間違いない!


あと仲良しMVのナンバーがリプライズされるのもヤバかったです。


最後に交わす言葉もグッときました「読み書きを教えてくれ!」…うぅ、メッチャ大事なやつ。

そしてその学びの先に未来開けるやつやん!


からのエンドロールが最高、あの旗を掲げろってやつ。

インド、独立したんだね…。

歌詞の中で恐らく独立に貢献した偉人を称えてるのとかベタだけどいい!

歴史知らなすぎて誰か分からなくてすいませんなんですがいいです。


とりあえず体調が許すならスクリーンで見たい、そう最後は思いました。

…約3時間はやっぱりお手洗いが心配ですから悩みます。

でも幸いまだ上演しているようですし、爆音『RRR』とか体験してみたいくらい好きになりました。


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