宙組大劇場公演の集合日、元々は台風7号が各地に猛威を振るっていた15日だったのては?と疑っている。
だって公式サイトのニュースページのurlが月組の公演時間のお知らせが01、まどさんのお知らせが04、かれーさんのお知らせが05なんですもの。
15日は星組が大事をとってトップスターがお休みになるという緊急アナウンスがあり、そこへきて花組のトップスターの退団という寝耳に水が飛び込んできたので…いや、もうこれ以上新しいお知らせは受け止められないよ!という気持ちでいっぱいでした。
ただ、そろそろ宙組はお稽古が始まる時期だろうというタイミングな上に、集合日のお知らせといえばその他の配役決定と退団者…ちょうど数が合っている。
いや絶対に退団される方がいるとは限らんやん!と祈るように16日を過ごしていましたが、ありましたね。
まさかこの2人が!となる程に惜しまれる存在であることは素晴らしい。
でもファンとしてはただただ寂しい、寂しくて仕方がありません。
ゆいなちゃん(優希しおんさん)は100期。
ダンスが抜群なのだけど、それは優れたバレエダンサーだからこそで、つまり幼い頃から鍛錬を積んでいたに違いないんですよね。
歌劇団に入るとバレエを踊る機会は減るし、上級生になるにつれレッスンに通うのも難しくなるくらい忙しくなるはずなのに、ここぞというときに場を与えられると素晴らしすぎる技を披露してくれるので、きっと今も努力を惜しまない方なんでしょう。
努力できることも才能だから、まずそこが凄いなとなります。
『HiGH & LOW-THE PREQUEL-』ピー役ではその優れた身体能力を惜しみなく発揮し、お芝居としても存在感を放っていました。
そう上級生になるにつれダンスだけではなく、お芝居でも目を引く活躍してたんですよね。
『FLYING SAPA』のズーピンや『The Game Is Afoot!』のウィギンズなどの好演が目立っていただけに、どうしても若者を演じるイメージだけど、私は歌う時に1番低いパートを任されることが多い彼女の魅力溢れる声が活きるような大人の役に期待してたんです。
だから『カジノ・ロワイヤル』のジャンが1番好きな役。
あの渋くて、髭面で、若者従えて、マッスルで、タカラジェンヌなのに「うぉら!」なんて脅しが似合うだなんて中々出来ませんもの。
それを成立させていたのが嬉しくて、もっとどっしりした役が来るかも!とワクワクしていました。
あんなにも大人数を引き連れてセンターで踊るだなんてスターじゃん!
スターにしか出来ない仕事じゃん!!
もう大興奮の役でした。
それ以外にもビジュアルに並々ならぬこだわりがあるのだなぁと思ってまして、何しろ近頃髪が男役にしては長めなのですがフィナーレになるとハーフアップでまとめているのが美しい。
他にそんな方がいないだけに珍しくてついつい見ていると、それだけじゃない覚悟みたいなものを感じるんです。
髪が長いと女性らしく見えてしまう可能性がありますし、それは男役という表現にとっては難しい要素だろうにあえてやるという部分にこだわりが詰まっているのではと。
そうまでしてまでビジュアルこだわる、そんな彼女は増々これから魅力が溢れていくのだろうと期待していました。
そこへきた『大逆転裁判』のバロック・バンジークス役。
もう正に当たり役でしたよね。
彼女が表現する美がまずゲームのキャラクターを演じるという部分にマッチしていていました。
リアルの世界にバンジークスいたんだ!となる程のこだわり、さらにバレエをやっていたからこその優美な動きがピッタリ。
仮面舞踏会の場面で情報漏洩の現場を押さえられるかもしれないと睨みを効かせ歩く姿、裁判が終わり成歩堂龍ノ介達の背後にすっと立つ姿、どれも美しく何よりピタッと止まる様が絵のよう。
本当にゲームから抜け出てきたみたいで、まさにこれまでのキャリアが活きた役でした。
そして裁判でのあり方!
端々に感じるこだわり、そして主役を邪魔しない動き。
机に踵落としってあんなにも急にキメられるものなんですか?!
上半身の動きが少なく、ゲーム同様ドン!と突然美脚が降ってきたよう。
配役が発表された頃から、踵落としを自然にキメられるのはゆいなちゃんしかいない!納得のキャスティング!!と期待に胸を膨らませていましたが、想像以上に格好良かったです。
ノールックで袖へと放り込む小道具、実のところ危険なはず。
それをいとも簡単にキメてます!と見せられるのも彼女の身体能力の高さと芝居力があったからに違いありません。
グラスはともかくボトルは大きくないだろうか、重くないのか?と心配もしてましたが難なくやってくれるんですもの。
ある日の観劇では背後が原作ゲームファンの方々っぽかったのですが、バンジークスの動きに息を飲むのが分かって鼻高々でした。
そりゃ嬉しいよね、私もプレイしてから行ったから嬉しかったもの!
こんなにも素敵なハマり役に出会ってしまったから、ついつい次をと観客は欲張ってしまうのに、その大劇場公演でご卒業だなんて信じられません。
新トップのキキちゃん(芹香斗亜さん)やさーちゃん(春乃さくらさん)と絡む役ならいいなぁと願っています。
私の中ではやっぱりお芝居の人だし、ショーで踊らないわけないですもの!
だから良い役でありますようにとメッチャ願っています。
さらちゃん(花宮沙羅さん)は102期。
お歌の人という印象、そして声が良い。
優しくて聞き取りやすい発声が素敵な人。
そして彼女もアクセサリーなどビジュアルへのこだわりが凄くて、自己プロデュース力が強いという印象です。
私が最初に惹かれたのは、宝塚おとめの好きな役に挙げてあって喜んでしまった『天は赤い河のほとり』のシャラ。
大好きなひろこちゃん(水音志保さん)と双子の姉妹という役どころで、サイズ感こそ近いけど似てるかと言われたら持ち味の違う美人さん2人だったからソックリに見せるの大変だったろうなぁという思い出。
でもシンクロした動き、揃った台詞、よく稽古したんだろうなぁ、すっごく可愛くて!
何より途中歌があって、その時に上手いんだ!となったんですよね。
だから歌唱で抜擢されるといいね〜となったのが忘れられない。
聞き取りやすい声なので、必然的にお芝居の印象も強くて『夢千鳥』の芸者菊子の上手さったらありません!
可愛らしくて、強かで、それでいて主役和希そらさん演ずる竹久夢二を大胆に誘う役をあんなにも自然に嫌味なくサラッと演じられるのは素晴らしかった。
中でも三味線をつま弾きながら戯れに歌う芝居が良かったです。
バウホール公演は基本オケがいなくてBGM等は前もって録音されたものが流れるだけに、彼女が本当に三味線を弾いた時の生音の貴重さたるや歌声と相まって魅力的な場面でした。
仮に音楽学校で三味線の授業を選択してたとしても久々に触ったでしょうし、何より役柄が芸者なのでプロとして演奏しなくてはならないわけで難しい役どころをキュートにこなしていたなぁと本当に大好きな役です。
そして声の良さが活きた『カジノ・ロワイヤル』マネーペニー。
1968年とは信じられないQの超絶発明によりジェームズ・ボンドと通信にて会話する場面が多く、上手花道にて芝居しているとはいえ美しく聞き取りやすい声だからこそ選ばれたんじゃないかな?となりました。
だって申し訳ないけれど本舞台センターにいるジェームズに夢中だと、そちらまで見られないんですもの。
だからこそM長官役の松風輝さんと2人、しっかり芝居を任せられると選ばれたのでしょう。
ジェームズの祖父について語る大ナンバーでは1人娘役としてしっかり美声を響かせてましたし、お土産をおねだりするなんて行動もあまりにキュートすぎて納得でした。
さらに『カジノ・ロワイヤル』ではマネーペニーの出番がないところでは、舞台となったホテルの客として登場していました。
もうその時のドレスの着こなしが素晴らしくて!
マネーペニーとは雰囲気の違う鬘にプラスして髪飾りも良かったのですが、中でも腕に這うように着けられたゴージャスなジュエリーが素敵でした。
ティアラを大勢で追うシーンでは、そのアクセサリーで手首から上しか見えないのにさらちゃんだ!と分かるほどで、きっとその効果も考えて作ったのではないかと思います。
やはり1番の思い出は『オーシャンズ11』でのエトワール。
何が嬉しかったって選ばれたことももちろんだけど、それが初舞台生のいる公演で彼女が研4だったこと。
きっと大階段で周りを囲んだ105期達は、3年頑張ればきちんと評価されてこんな大役をもらうこともあるんだ!と期待に胸を膨らませたに違いないんですよ。
あの時のさらちゃんは希望の旗頭でした。
♪何も怖くない、飛ぶんだ、Let's jump !
今や各組で105期生が活躍していて、本当に大きく羽ばたいたねってなります。
あの初舞台生の背中を押すかのような優しくて伸びやかな歌声、本当に天使のようでした。
歌声が天使すぎて、前は何の役やってたんだっけ?と振り返ると『HiGH & LOW-THE PREQUEL-』で苺美瑠狂の明日香を演じていた衝撃!
そんなことある?
凄いよ、宙組。
敵対することになった苦邪組KIDAへ向けての「純子さんのお古!」は歴史に残る名台詞ですが、ここだけピックアップすると謎すぎる。
メッチャこなしてましたけど、凄いね。
次回大劇場でも美声を響かせてくれるのでしょうか。
楽しみにしています。
今回ご卒業を発表されたお二人、組の中で重要な役を任される立場に成長していただけに尚更に寂しいのですが、変わらず、いやもっと素敵な姿を見せてくれるだろうと宝塚大劇場へ向かう日が楽しみです。
しっかり見ないと!ですね。
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