生かされて。
イマキュレー・イリバギザ/スティーヴ・アーウィン 著
堤江実 訳
ずっと前から読みたかった一冊。
1994年、「永遠の春」と呼ばれた
ルワンダで大量虐殺が起こった。
人口比9割のフツ族が突如ツチ族に襲いかかり、
100日間で100万人の人々を殺したのだ。
牧師の家の狭いトイレに
7人の女性と身を隠した著者は、
迫り来る恐怖と空腹に負けず、
奇跡的に生き延びた。
祈りの力によって、
希望の光を灯したその後の彼女は、
虐殺者たちをも許す境地に達する…。
心揺さぶる感動の書。
ボクも含め、たいていの人は
今まで生きてきた中で
他人から(身内でも)ひどい目にあったり
裏切られたり、傷つけられたりして
心のどこかで
「あいつだけは許せない」とか、
「一生恨んでやる」とか、
下手したら殺意すら覚えるようなことも。
そこまでは思わなくても
顔も見たくないレベルでいえば
きっと誰にで心当たりが
あるのではないでしょうか?
この小説は実際にルワンダで起きた
悲惨としか言いようのない事実。
それまで仲の良かった隣人や友人、
信頼していた大人や先生までもが
自分の愛する家族や同じ友人を虐殺していく…
そんな、想像もできないほど
壮絶な出来事のなか
奇跡的に生き抜いたイマキュレー。
愛する者を惨殺された憎しみを
ボクなんかでは到底考えられない、
理解を超える愛、
神様と信仰を信じ
最後には殺戮者たちを赦す
という気持ちに至るまでの、
どのようにして神を見出したのかの物語。
自分は助かった、生き残ったではなく
生かされたという意味が
この本を読み進めるうちに
わかってくると思います。
憎しみからは何も生まれない。
憎しみの連鎖を止め
乗り越えていく心を、
赦すという心を
少しでも理解し見習いたい
という気持ちにさせてくれる良書です。
Koh
