メルマガで連載中の「新人会計士小嶋の華麗なる生活(仮)」を載せてみました。
このお話、数名の講師で作っています(基本的な部分は実務に携わっていた一人の講師が作ってます。)。
こんな事もあるのよ、って感じで読んでみて下さい。
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「おはよう!」
甲高い声の女性が僕の肩を叩いた。
今回担当する事になったこの会社(クライアント)のインチャージ(現場責任者)、大川である。大川は大学に在学中に公認会計士試験に合格、L監査法人には入社9年目で会社にも将来を有望視されている敏腕マネージャーだ。
「はじめまして・・。」
パンパンに膨れた鞄を重たそうに持ってきやってきたこの男の名は久保、入社3年目のスタッフだ。
「揃ったわね。じゃあ、いきましょうか。」
大川の号令で監査室へと向かった。
僕の名前は小嶋昌司・・・、L監査法人に今年入社したばかりの新人会計士だ。
入社後1ヶ月の研修を経て今日初めて監査の現場に配属されたのである。
今回のクライアントはこの二部上場のアパレルメーカー(株)R.Y.O。
他の監査メンバーとの顔合わせもそこそこに会社担当者との挨拶をすませ、監査室へとやってきた。
未だ解けない緊張の中、物珍しそうに部屋を見渡していると、おもむろに大川が口を開いた。
「じゃあ小嶋君は新人だからとりあえず現金・預金と借入金について3日で担当しても
らうわね。研修で習っただろうからできるでしょ!その通りやってみて。」
早速の指令だ。『現金・預金』と『借入金』は比較的監査証拠の証明力も強いため、新人が担当する科目らしい。
「まずい!」
小嶋は監査法人入社後、ほぼ毎晩監査法人の同期と飲みに行き、研修もおろそかにしていたのである。
新人小嶋の監査奮闘記が今はじまる。
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僕はどうしようかと現金・預金と借入金について研修で憶えている数少ない記憶を駆使して悩んでいると、
扉をノックして1人の女性が部屋に入ってきた。
「おはようございます。今回もよろしくお願いします。」
「あら久しぶり、ユウコリン、まだこんなクソ経理部にいたの~今年もお世話になるからよろしくね。」
「そんな言い方やめてくださいよ~。」
大川さんとユウコリンという女性は昔からの知り合いらしく打ち解けた感じで挨拶をしている。
「そうそう今日は、新人を連れてきているよ。これがうちの期待の新人の小嶋君よ」
「はいっ どうも小嶋昌司といいます。よろしくお願いします。」
何とか研修で習ったとおりに名刺を差し出して挨拶ができてほっとした。
「こちらこそ、よろしくお願いします。わたし経理部の相澤優子といいます。」
と笑顔で挨拶を返してくれた。
「久保さんも今回もよろしくお願いします。さっそく私は皆さんの分のコーヒーを入れてきますね~。」
と言って部屋を出ようとしたので、僕は、ちょっと姿勢をただして言った。
「いえそれには及びません相澤さん。僕達は、公認会計士として公正不偏の態度維持し適正な監査をしなければなりませんので、そのような事は不要ですよ。お気持ちだけありがたく受取っておきます。」
と、その瞬間、後ろからバシッと大川さんにはたかれてしまった。
「なに気取ってんの小嶋くんは~、あんたコーヒー一杯ぐらいで公正不偏の態度がグラツクなんてどんだけ意志弱いの、そんなの公認会計士という資格以前の問題よ。ユウコリンわたしは、いつもどおりのお願いね。」
「はい。大川さんは砂糖抜きのミルク多めで、久保さんは砂糖のみですよね。小嶋さんはどうしますか?」
相澤さんはちょっと笑いながら僕にも聞いてくれた。僕は火が出るほど恥かしかった。なんとか良いところを見せようとしたのか
「もちろん僕はブラックで…。」
と大人を気取ってしまった。じつは僕は常に砂糖とミルクを大量に入れて甘くしないとコーヒーは飲めないのだ。
分かりましたと返事をして相澤さんは部屋を出て行ってしまった。大川さんは僕に向き直り
「小嶋くんのいう通り公正不偏の態度も確かに重要だけれども、クライアントは敵ではないのよ。監査をうまくやっていくためには、クライアントとのコミュニケーションをとって良好な関係を築くことも重要なの。受験学校のテキストには書いてなかったかもしれないけど覚えておいてね。」
「はい」
その日のコーヒーは普段よりさらに苦い気がした。。。
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僕は飲めないブラックコーヒー片手に相澤さんから入手した現金・預金と借入金の勘定明細と格闘していた。
現金 1,254,975円
普通預金 ・三丼住友銀行 19,002,463円 ・三菱UFO銀行 5,233,192円
当座預金 ・三丼住友銀行 12,815,762円 ・三菱UFO銀行 6,762,544円
借入金 ・三丼住友銀行 38,000,000円 ・三菱UFO銀行 10,000,000円
「この数字の裏付けをとればいいんだよな・・・う~ん当座預金ってなんだっけ?あ~もう全然わからないや!!」
しょうがないので僕の向かえにすわっている先輩である久保さんの方をチラッと見てみる。
久保さんは、すごく姿勢よく一切の迷いなく淡々と仕事をこなしている。
いや~3年目にもなるとすごいな、久保さんてすごく真面目そうで本当に仕事ができそうな人だよな、ずごい七三だし。あれっ僕は久保さんが掛けている黒ぶちのセルフレームのメガネに目がいった。
よくみてみるとレンズが入っていないのではないか?
伊達メガネ?
と疑問に思った僕は久保さんをじっと見てしまった。
「小嶋君。僕に何か用かい?」
「あっいえ、あの~久保さん。現金・預金と借入金の監査手続、
全く研修での知識が思い出せないのですが・・・すいません」
久保さんは全く手を休めずに僕に言った。
「前期調書みれば前期にどのように監査が行われたかわかります。
ちなみに、僕が前月の会計期末に当社に実査★に来た時の調書がそこにあるから使ってみるといいですよ。
あと、そのときに作成した銀行確認状も全件発送して回収してあるから、それを見れば銀行側の残高が確認できるはずです。」
久保さんはメガネを触りながら面倒そうに答えた。
「はっはい!」
そういえば、その手があったか。
しかし、久保さんももうちょっと優しく教えてくれてもいいのに、この人苦手だなと思いならが好奇心からメガネのことを聞いてみた
「久保さんのメガネレンズが入ってないですか?」
久保さんは
「そうだけど、何か」
と僕に聞き返してきた。
「いや別に…何というわけではないのですけど、じゃ目は悪くないですね。」
「ううん、コンタクト。」
「えっ何で????」
メガネをする意味がまったくないではないか!?僕の頭は混乱した。
久保さんはもう仕事にもどってしまったのでそれから話が続けられなくなってしまった。
伊達メガネにコンタクト、コンタクトに伊達メガネ…。
僕は当期の実査・確認状調書と前期調書を手に手続を進めることにした。現金については、前期調書を見ると実査調書と突合している。つまり、今年の実査調書と今年の現金の数字を突合すればいいんだな!
実査調書の現金は・・・1,254,975円
「ビンゴ!」
よしよし勘定明細の金額と一致しているな。
この調子で次は預金か!かかってきんしゃい!
★実査…監査人自らが、現物を実際に確かめる監査手続
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久保先輩の伊達メガネに混乱しつつも現金の金額について何とか実査調書と突合することにより現金の監査に成功した小島は勢いに乗り、続いて預金・借入金の監査に挑もうとしていた。
現金 1,254,975円
普通預金 ・三丼住友銀行 19,002,463円 ・三菱UFO銀行 5,233,192円
当座預金 ・三丼住友銀行 12,815,762円 ・三菱UFO銀行 6,762,544円
借入金 ・三丼住友銀行 38,000,000円 ・三菱UFO銀行 10,000,000円
「普通預金・当座預金と借入金か…
確か三丼住友銀行と三菱UFO銀行からの確認状を回収したって久保さん言ってたよな。」
僕は確認状の調書を確認すると2枚の回収した銀行確認状が挟んであった。
「わ~これが受験界で噂の確認状か。実物を見るのははじめてだ。どれどれ…」
三丼住友銀行からの確認状
『普通預金 19,002,463円 当座預金 12,815,762円 貸付金 38,000,000円』
三菱UFO銀行からの確認状
『普通預金 5,233,192円 当座預金 6,762,544円 貸付金 10,000,000円』
普通預金・当座預金・借入金の金額とも銀行残高と会社残高は一致していた。
「よし!なんだ全然余裕ジャン」
僕は前期の調書と同じように銀行確認状と勘定明細を突合した。
「久保さん。現金預金・借入金終わっちゃいました!」
僕はできる男をアピールしようと報告すると、すぐに久保さんは
「小切手Cutoffやった?それも現金預金担当者の仕事だよ。実査の際に決算日前後に振り出された小切手の耳の情報を小切手Cutoffの調書に書いてあるんだけど、わかるよね。よろしく。」
と訳のわからないことを捲くし立てまた仕事に戻ってしまった。
「えっコギッテカットオフ…」
「小嶋君、もしかしてそんなことも知らないの?」
「やめてくださいよ。ももももももももちろん分かってますよ。ちょちょちょちょちょちょちょうど今やろうとしていたところで…いやだな伊達さん」
コギッテカットオフ、何だそれは!?
しかもカットオフに気を取られて後の方よく聞いていなかったけど、何か小切手に決算日前後の耳より情報が書いてあるとかないとか…。
これは・・・・小嶋史上最大のピンチ。
「小嶋君、動揺してすごいどもっているけど…?しかも目がきょろきょろしているし、貧乏ゆすりに、凄い汗だよ。
ちなみに小切手の耳って小切手帳から小切手を切り取ったあとに小切手帳に残る控えのことだからね。
それと僕は伊達メガネをかけているのであって伊達さんはないよ。」
「久保さん、な何言っているんですか、ど動揺なんてまったくしてませんよ~。ちょっとトイレに行ってきます。」
僕はトイレに行って何とか落ち着きをとりもどし、パソコンを開きインターネットで「カットオフ」を検索してみた。すると以下の画面がでてきた、
(カットオフは、衣類を切って新しいデザインにリメイクすること。新品のジーンズをはき古したようにしたくて裾を切ることもこの範囲に入る。カットオフしたジーンズを水着代わりにするのが流行ったこともあった。ほつれた糸をそのまま垂らして・・・・)
なるほど、なるほどってバカやろう!!
しょうがない、また前期と同じようにやるしかないな。前期の小切手Cutoffの調書をみると、決算日前後に振り出された小切手について『当座照合表』というもので出金日を確認している。『当座照合表』が必要なんだな。僕はユウコリンに当座照合表の資料を借りに経理部に行った。僕が資料お願いするとユウコリンは快く貸してくれた。監査室に戻り、前期調書と同じように、決算日前後に振り出された小切手No.と対応している当座照合表の日付を記入して、「小切手Cutoff」の調書を完成させた。
「よーし。もう終わった。主任にレビューしてもらおう!」
僕はさっきまでの動揺をすっかり忘れて大川主任(インチャージ)のところへ作成した調書をもって行き、レビューしてもらうことにした。
「全然簡単だなー監査って。実は俺って監査の才能があるのかもしれないぞ。多分、監査の神様の申し子なんだなあ~」
監査の神様の申し子を自負する小嶋は余裕ぶっこいて自分の席でコーヒーを飲んでレビューの結果を待っていた。このあと、とんでもないことが起こり監査の神様などいないことを思い知るとも知らずに…
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「コ~ジ~マ~」
背筋も凍るような聞いた事もない重低音で僕を呼ぶ声がする。主任の大川さんだった。
「ちょっとこっち来て!」
僕は恐る恐る大川主任のところへ向かった。
「小嶋君!あなたのやった今回の監査は猿でもできるわ。ただ単に前期に行っている手続を真似て数字・日付などを埋めているだけよね。」
「はっはいっ。でもさすがにサルに監査はちょっと無理なんじゃ・・」
「うるさい!!いい小嶋君、監査手続は形式を整えればいいというものじゃないの。必ずその手続きは勘定科目の実在性・網羅性・期間帰属などを確かめるという意味をもつもので、データを埋めただけじゃそんな調書は紙クズよ!大事なのは『Thinking Audit』考える監査なの。」
大川さんは僕の『現金・預金』『小切手Cutoff』の調書を見せて言った。
「あなたが記入したデータが本当ならこの調書には不正の可能性を示している証拠があるわ。もう一度考えてみなさい。」
「はいっ。すっすいません!」
僕はすぐに調書を手に自分の席に戻り調書を見返した。
『えーと。現金は実査の金額と合っているし、預金の残高も銀行からの確認状と一致している。何がおかしいんだ????』
僕はパニックに陥っていた。
「なるほど。」
いつの間にか僕のとなりで久保さんが調書を覗きながらボソっとつぶやいた。
「先輩。助けてください。」
メガネにもすがる様な思いで久保さんに言うと、久保さんはスッと『小切手Cutoff』の調書を指差した。調書をよく見ると、会社が決算期末の3月31日に振り出している三菱UFO銀行の小切手6,000,000円の当座照合表上の出金の日付が4月1日になっている。そして、その小切手の摘要欄には三丼住友銀行への資金移動と書いてある。借りてきた三丼住友銀行の通帳を見ると、小切手を3月31日に受け取っており、預金残高に含まれている。
「なんだ?」
僕はまた訳がわからなくなった。銀行残高は銀行からの確認状と一致しているのに、銀行間の小切手を用いた資金取引にズレがある。
「どこがおかしいかわかったようね。」
後ろに大川さんが立っている。
「大川さん。これどういうことなんですか?」
「これはカイティングという手法の粉飾手口よ。現金預金の会社の管理担当者は確かユウコリンよね。。。」
大川さんは少し寂しそうな顔でつぶやいた。
『カイティング』…それは小切手の受入日と小切手が実際に引き落とされるまでのタイムラグを利用した単純な粉飾手口だった。
つまり…
3月31日の小切手を振り出す前の銀行残高は
普通預金 ・三丼住友銀行 13,002,463円 ・三菱UFO銀行 5,233,192円
当座預金 ・三丼住友銀行 12,815,762円 ・三菱UFO銀行 6,762,544円
3月31日に三菱UFO銀行の小切手6,000,000を振り出し、その小切手を三丼住友銀行で受け入れる。すると、銀行残高は
普通預金 ・三丼住友銀行 19,002,463円 ・三菱UFO銀行 5,233,192円
当座預金 ・三丼住友銀行 12,815,762円 ・三菱UFO銀行 6,762,544円
三丼住友銀行では受け入れた日に銀行残高が増加する。しかし、銀行取引の仕組み上、小切手受入日の翌日以降に三菱UFO銀行の当座預金から引き落とされるため、3月31日時点では三菱UFO銀行の当座残高は減少しないのである。
つまりあるべき3月31日の銀行残高は
普通預金 ・三丼住友銀行 19,002,463円 ・三菱UFO銀行 5,233,192円
当座預金 ・三丼住友銀行 12,815,762円 ・三菱UFO銀行 762,544円
だったのだ!
「大川さん、じゃあ6,000,000円はどこへ消えたんですか?」
僕は少し冷静になって考えたが何でこんな取引をしているのかわからなかった。
「さぁ、カイティングは売上を架空計上した際などに辻褄合わせに水増しするケースやただ単に担当者の着服をごまかす時に使う手法よ。でもそんな古典的な粉飾、小嶋君以外が監査すればすぐにバレちゃうわよ。」
「担当者の着服って…そんな…」
僕の脳裏にはユウコリンの笑顔があった。
主任と共に僕は経理部に向かった…現金預金の『担当者』であるユウコリンのもとへ。
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経理部に向かうといつもと変わらない様子でユウコリンが仕事をこなしていた。
「あら、大川さんに小嶋さん!監査は順調に進んでますか?」
いつもの笑顔でユウコリンが話しかけてきた。
この後の事を思うと僕は少し切なくなってしまった。
「相澤さん、ちょっとお話をお伺いしてよろしいでしょうか。」
大川さんが真顔でユウコリンに話しかけた。
「ええ…」
ユウコリンは少し不安そうに了承すると、監査室へ移動した。
「どうしたんですか?皆さん真剣な顔をされて…何かあったんですか?」
ユウコリンはいつもと違う雰囲気を感じ取ったようだ。
「相澤さん。3月末に小切手を振り出して資金移動しているわよね。これは、銀行残高を帳簿残高に合わせるための粉飾なんじゃないの?」
大川さんがユウコリンに粉飾の事実を質問した。もう年貢の納め時である。
「はい?そうなんですか!?」
あっけらかんと答えたユウコリンに僕らも拍子抜けしてしまった。
とぼけているのかと思い大川さんもその後問い詰めたが、
どうやら本当に知らないみたいだ。
僕は少し安心して『カイティング』について丁寧にユウコリンに説明した。
「これは大変なことですね!私は『経理部長』から依頼されていつものように小切手を作成して、いつものように部長の承認を受けてから小切手を振り出しただけなんですけど…」
「ふーん。ユウコリンの言ってることが本当なら『経理部長』がくさいわね。もしくはこの粉飾は会社ぐるみかも。これは伊勢さんにも来てもらわないと…」
大川さんが話し終えようとするタイミングで監査室のドアが開いた。
「やあ!監査は順調かな?」
少し背の高い中年の男性が入ってきた。
このクライアントを担当する我が監査法人のパートナー。つまり監査チームのトップである伊勢権三さんだ。
「ゴンちゃん!グッドタイミング!」
大川さんは今回の内容を伊勢さんに説明した。
「よーし。じゃあちょっくら経理部長さんにお話を聞きにいきますか!」
伊勢さんはそういうと監査室を出ていった。僕は気になり、少ししてから経理部へ行った。
すると経理部長がその場で崩れ落ちている。
その後の伊勢さんの話によると、カイティングの事実を突きつけるとすぐに顔を真っ青にして不正を認めたという。経理部長はキャバクラにハマって会社のお金を流用してしまい、監査で発覚を恐れた挙句、流用がバレない『会心の方法』を自分で思いつき小切手を振り出させたという。そんなのすぐバレるのに・・・・
僕はユウコリンでなくて良かったと思う反面なんとも悲しい気持ちになった。
~監査最終日~
「今回はちょっと大変だったわね!
まったくユウコリンもよくこんなクソ経理部にいるわね~。」
大川さんがまたユウコリンに毒を吐いている。
「もー!またそんな事言ってー。私がここを辞めないのはね…」
ユウコリンが大川さんに耳打ちしている。気になる…
僕は会社を出ると大川さんに何を耳打ちしていたのか聞いてみた。すると…
「ああ。ユウコリンは社長の令さんと付き合ってるんですって!だからどんなにクソ経理部でも辞める気にはならないらしいわ。」
僕は少し好きだったのでショックだった。
「マジっすか~」
突然久保さんが崩れ落ちた!
どうやら久保さんの方は『マジ』だったらしい。
伊達メガネから涙がこぼれ落ち、大川さんは大笑いしていた。
「ユウコリンは眼鏡かけた知的な人が好きだったからね~」
「あ~なるほど」