マダックス
グレッグ・マダックスが2008年シーズン終了後に引退を表明した。
決して剛球投手ではなく、
コントロール重視のスタイルを追求し、打たせてとるピッチングを貫いた。
「90年代最高の投手」
「精密機械」
「マッド・ドッグ」
「プロフェッサー」
さまざまな異名を持ち、時代を支配したマダックス。
その抜群の制球力で、「投手はスピードよりコントロール」を体現して見せた。
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通算355勝は歴代8位の記録であり、
1922年以降に生まれた投手の中では最多である。
先発投手5人でのローテーションがほぼ確立され、
「セットアッパー」「クローザー」と分業化されている現代においては、
驚異的というよりほかにない。
例えば、歴代最多勝を誇る「サイ・ヤング」は
1890年から1911年にかけての22シーズンで511勝、年平均23.2勝をあげた。
この22年間(1900年までナ・リーグ、1901年以降ア・リーグ)の最多勝平均値は37.7勝。
ヤングの勝利割合は最多勝投手の61.5%ということになる。
対してマダックスは
1986年から2008年の23シーズンで355勝、年平均15.4勝であるが、
同じくこの間の所属リーグ(ナ・リーグ)の最多勝平均値は20.6勝。
なんとマダックスの勝利割合はヤングをはるかに越える74.8%に達する。
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1994年、95年、マダックスは絶頂期を迎える。
史上最高の左腕の一人「サンディ・コーファックス」以来となる、
31年ぶりの2年連続防御率1点台を記録したのだ。
この連続する2年間の防御率は1.60以下という抜群のものであり、
1918、19年の「ウォルター・ジョンソン」以来、実に76年ぶりの高水準であった。
さらには、2年とも2位以下を大きく引き離してのタイトル(1994年が1.18差、1995年が0.91差)で、
しかもそれぞれの年の防御率リーグ平均との差が歴代1位と2位にあたるほど圧倒的だった。
※現在は2000年のペドロ・マルチネスが歴代1位。
この頃のマダックスは、まさに時代を支配していた。
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そしてマダックスしか成し遂げていない大記録といえば
「20年連続2桁勝利」
「17年連続15勝以上」
がある。
共にサイ・ヤングの記録を約100年ぶりに更新してのものであるが、
特に17年連続15勝以上は前人未到にして空前絶後というべきものである。
どのくらい偉大な記録なのかを、現役選手と比較するとよく分かる。
4年連続以上の達成者をあげてみると次のようになるが、
なんと最高でもランディ・ジョンソンの6年連続に過ぎない。
6年連続・・・ランディ・ジョンソン
5年連続・・・ヨハン・サンタナ※、マーク・マルダー
4年連続・・・ペドロ・マルチネス、マイク・ムシーナ、バートロ・コロン、ティム・ハドソン
※継続中
この中で継続中なのはサンタナのみであるが、
2009年1月現在で29歳のサンタナがマダックスの記録に並ぶには
41歳までの12年間、毎年15勝以上勝ち続ける必要があり、
もちろんその間ずっと故障することなくローテーションを守らなければならない。
現役最高の投手の一人・サンタナを持ってしても、
その可能性はやはり限りなくゼロに近いだろう。
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マダックスは、「3,000奪三振」を「1,000四球以下」で成し遂げているが、
これは史上5人しかいない記録である。
他の4人(ファーガソン・ジェンキンス、カート・シリング、ペドロ・マルチネス、ジョン・スモルツ)は
速球を主体とする本格派だが、
マダックスはサークルチェンジに代表される変化球主体の投手であり、
それでありながら3,000奪三振に到達しているのは
やはり絶妙のコントロールがあってこそだといえるだろう。
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そして「18度のゴールドグラブ賞」・・・
これは全てのポジションを含めても史上最多の受賞回数で、
これもまた空前絶後になる可能性は高い。
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マダックスの凄さは
史上まれに見る「継続性」、「安定性」、「耐久性」、「制球力」、「守備力」 にある。
毎年最も素晴らしい成績を残した投手に贈られる「サイ・ヤング賞」を
マダックスは1992年から4年連続で受賞している。
(これはランディ・ジョンソンとマダックス、2人だけの記録である)
「マダックスはサイ・ヤング賞を受賞したが、サイ・ヤングはマダックス賞を受賞できない」
もちろん「マダックス賞」というものは今のところまだ存在しないが、
このフレーズは、
マダックスがサイ・ヤングを凌駕したことを、時代をも超えて称えている。
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メジャーリーグの歴史において最も安定した投球を長期間続けた男
「グレッグ・マダックス」
数々の大記録を達成し、
静かにメジャーの表舞台から去る。
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1930年代-MLB・年代別ベストナイン
1930年代 -1930~1939- |
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| <打者> | |||||||||
| 選手名 | P | AVG | HR | RBI | SB | 備考 | |||
| NYY | ビル・ディッキー | C | .336 | 23.4 | 111 | 4 | 強打・好守備の名捕手 | ||
| NYY | ルー・ゲーリッグ | 1B | .359 | 40.4 | 167 | 11 | 悲劇の「鉄人」・最高の打撃王!! | ||
| DET | チャ-リ-・ゲリンジャ- | 2B | .348 | 17.8 | 113 | 14 | 攻守に完璧な精密機械 | ||
| PHA | ジミー・フォックス | 3B | .355 | 48.2 | 161 | 9 | 右のルース「ザ・ビースト(野獣)」 | ||
| WS1 | ジョー・クローニン | SS | .321 | 15.8 | 119 | 10 | 26才で監督兼任!攻・守の要 | ||
| PHA | アル・シモンズ | LF | .355 | 26.4 | 135 | 6 | 闘志溢れる驚異の変則スラッガー | ||
| PIT | ポール・ウェイナー | CF | .360 | 9.4 | 84 | 10 | 弟と共に大活躍のビッグポイズン | ||
| NYG | メル・オット | RF | .329 | 34.6 | 126 | 8 | 超早熟・一本足打法の強打者 | ||
| DET | ハンク・グリ-ンバ-グ | DH | .326 | 36.6 | 130 | 8 | 凄まじい破壊力で君臨! | ||
| <投手> | |||||||||
| 選手名 | R/L | W | ERA |
SO |
WP | 備考 | |||
| PHA | レフティ・グローブ | L | 25.6 | 2.53 | 171 | .810 | スモ-クボ-ルを操る最高レフティ | ||
| NYG | カール・ハッベル | L | 23.0 | 2.23 | 151 | .699 | 球宴で伝説の連続奪三振&24連勝 | ||
| STL | ディジー・ディーン | R | 24.0 | 2.92 | 194 | .654 | 豪腕でねじ伏せる破天荒投手! | ||
| NYY | レフティ・ゴメス | L | 22.0 | 2.74 | 168 | .724 | しなる腕が生む速球の「グ-フィ-」 | ||
P:ポジション AVG:打率 HR:本塁打 RBI:打点 SB:盗塁
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INDEXへ
1920年代-MLB・年代別ベストナイン
1920年代 -1920~1929- |
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| <打者> | |||||||||
| 選手名 | P | AVG | HR | RBI | SB | 備考 | |||
| PHA | ミッキー・コクレーン | C | .313 | 8.6 | 67 | 7 | 伝説に彩られた強肩捕手 | ||
| STA | ジョージ・シスラー | 1B | .375 | 12.0 | 107 | 35 | 甦る伝説の記録保持者! | ||
| STL | ロジャ-ズ・ホ-ンズビ- | 2B | .402 | 34.2 | 139 | 11 | 右打者の頂点・史上最高の二塁手! | ||
| PIT | パイ・トレーナー | 3B | .339 | 6.4 | 109 | 19 | 鉄壁のサード守備・打力も一流 | ||
| CLE | ジョー・スーウェル | SS | .331 | 4.6 | 100 | 10 | 三振しない男・小さな大鉄人 | ||
| STA | ケン・ウィリアムス | OF | .338 | 27.0 | 110 | 27 | 史上初の「30-30」! | ||
| DET | ハリー・ヘイルマン | OF | .391 | 17.4 | 125 | 9 | 首位打者4度の4割打者 | ||
| NYY | ベーブ・ルース | RF | .379 | 54.8 | 157 | 14 | 史上最高の英雄・不滅の本塁打王! | ||
| WS1 | グース・ゴスリン | DH | .349 | 16.6 | 114 | 18 | 大舞台に強いスラッガー | ||
| <投手> | |||||||||
| 選手名 | R/L | W | ERA |
SO |
WP | 備考 | |||
| BRR | ダジー・バンス | R | 21.6 | 2.80 | 213 | .673 | 7年連続奪三振王の剛球投手! | ||
| NYY | ウェイト・ホイト | R | 20.2 | 3.11 | 90 | .667 | 11年連続2桁勝利・ルースとは親友 | ||
| BRR | バーリー・グライムス | R | 22.6 | 2.94 | 125 | .671 | 強気の投球で5度の20勝 | ||
| CIN | エッパ・リキシー | L | 20.8 | 2.90 | 86 | .613 | 巧みなピッチングで活躍した左腕 | ||
| CHW | レッド・フェイバー | R | 19.6 | 3.05 | 108 | .608 | マウンド捌きと制球力は超一流 | ||
P:ポジション AVG:打率 HR:本塁打 RBI:打点 SB:盗塁
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