先日、夏季休暇をいただき、伊豆下田まで足を運んできました。
伊豆半島の端の伊豆下田辺りは
ちょうど黒潮(南からの海流)が通る場所のため、
南の海を思わせるような透明度の高い海でした。
そんな夏季休暇中に
今月のハーバードビジネス・レビューで
ブロックチェーンについて特集が組まれており
気になったので、
夏休みの読書感想文の感覚で
図書館に行って読んでみました。
特集の中で
ブロックチェーンの世の中への浸透について
インターネットの通信規格であるTCP/IP(インターネット・プロトコル・スイート)が
世の中への浸透を例にしたブロックチェーンの技術浸透の記事、
および記事中に出てくる基盤技術の浸透マトリックスは
分かりやすかったです。
図の詳細は
DIAMONDハーバードビジネス・レビュー2017年8月号を
購入し79ページをご覧ください。
記事では基盤技術の浸透は4段階に分かれており
【第1段階】単体としての利用による浸透
TCP/IP単体の使用例だと、
TCP/IPが研究段階だった時代の
研究者同士でのメールとして利用。
ブロックチェーンの単体の使用例としては
ビットコインでの支払いとしての利用と記事で紹介されています。
【第2段階】は局地的な利用による浸透
斬新さはあるが限られた利用者の範囲での利用。
TCP/IPの例だとメール用の社内ネットワークの利用。
ブロックチェーンの例としてはある取引処理に使われる
非公開型オンライン台帳としての利用を想定。
【第3段階】斬新さはないが利用者の幅を広げた浸透
TCP/IPの例だとECとしての利用。
(リアル店舗がオンラインに置き換わったという点ではあまり斬新さはないが)
ブロックチェーンの例としてはビットコインを用いた
特定地域の商品券としての利用を想定。
【第4段階】利用者の幅を広げ、かつ変革的な利用をした浸透
TCP/IP例だとスカイプ(ビデオ通話)。
ブロックチェーンの例としてはスマートコントラクトの利用を想定。
ブロックチェーンの例が分かりづらいと思うので
不動産業界に置き換えると
第1段階はブロックチェーンを用いて賃貸借契約情報や
不動産登記情報を記録し改ざんできないようにすること
第2段階は多くの物件を所有している企業が
本社と支店、または自社と建物管理をお願いしている他社間で、
1つの台帳上で賃貸契約や修繕に関する発注・受注等様々な処理を
行う感じだと思われます。
第3段階は、
ブロックチェーンを用いたオンライン完結型の賃貸契約書が
一般的に用いられるようになることだと思われます。
第4段階は、
賃貸であれば、
賃貸契約成立と同時に借主の口座から契約に関わる費用が
即座に引落しされ、かつ契約した物件の鍵(電子鍵)の使用が
できるような仕組みが実現すると思われます。
ハーバードビジネス・レビューの記事では
第4段階が実現するのは
TCP/IPの第4段階が実現した実績(第1段階から30年後)から
2047年頃と予測しております。
また世の中の流れを見ると
- 日本の人口減少傾向にあること(否応なしに生産性向上が求められる)こと
- 現在の20~30代においてスマホ、パソコンが当たり前な時代であること、
- 今年の秋からIT重説が本格稼働すること、
- スマートロックなどIOT機器が進化していること、
- ロボットや人工知能による業務改善が始まりつつあること
といった事から
不動産業界のICTに関する将来への方向性としては
30年後には人を介した賃貸契約はほぼ無くなり
売買においても取引内容によっては
人を介した売買契約はなくなると思われます。
※契約において人がいなくなるだけで、高級賃貸などで
コンシェルジュのような立ち位置では人は残るかもしれません。
ただ、2000年を
インターネット革命による業務のICT化だとすると
それから17年経過した今でも
日本の不動産業界(特に賃貸仲介)においては
FAX、電話が主流で、不動産業界において
ブロックチェーンが浸透するか疑問が残ります。
これは個人的な印象の意見ですが、
2000年当時、
- 法律で賃貸契約は書面による記名・押印が必須であったこと(現在も同じです)
- 貸主側(いわゆる大家さん)の主な層がICTに馴染みが薄かったこと、
- あるいは紙に対する信頼感が圧倒的であったこと
以上のようなことから
ICT化が進まかったのかもしれません。
IT重説の次に
賃貸契約のオンライン完結ができるよう規制緩和され、
貸主の層がICTをよく利用する層になったとしても
単なるIT技術では紙に対する信頼感は崩せないので
前述の第1~4段階を経ることで
ブロックチェーンに対する信頼感が高まり
結果、人を介さない賃貸契約が浸透するのだと思います。
不動産業界に身を置く1人としては、
そうした技術や法改正の方向性を
キャッチアップしつつ、自分が所属する組織の利益に
貢献していきたいと思います。
■夕飯
伊豆下田産の金目鯛の煮付け
※本記事は個人的見解です。