魔法の杖を見つけたい!
誰もが理想として思い描くことですが、現実がどこまで応えてくれるのでしょうか。
中源線は、ルールが極めてシンプルです。
つまり「アレンジの余地がある」のですが、その前に「勝った理由が明確」「負けた理由が明確」という点に目を向けるべきです。
中身がわからないトレードシステム、一貫性を見出すことのできないオススメ銘柄配信……要するに、「ブラックボックス」です。
なぜ買いなのか不明、なぜ売りなのか理解できない……それでも、勝ったり負けたりします。
サイコロをころがして相場を予測しても、当たったり外れたりします(実は当たり前なのですが)。でも、当たった結果が感情に刺さって「次の儲けを逃したらイヤだ」などと考えてしまうので、実行力や技能を高めることのないブラックボックス情報でも、宣伝さえ上手ならば投資家が集まるのです。
人間の心理のゆがみですね。
中源線の結果を見たときも、そんな心理のゆがみが働きます。
中源線はルールがシンプルでアレンジの余地がある、といっても、長所と欠点はセット、表裏一体のものなので、カンタンに欠点を消し去ることはできません。
中源線が機能する場面だけ中源線に従い、機能しない場面は休む、あるいは別の方法で売買する……こんなムチャなことに正面から挑んだら、迷走してしまいます。
中源線に限ったことではありません。ある特定の予測法、ある特定のトレードシステムを見ながら、「その当たり外れを当てる」なんて……神通力がないとムリです。
そんな神通力があれば、昭和の大道易者の決まり文句「黙って座ればピタリと当たる」のごとく、システムなどに頼らずとも、短期間で億万長者になれるでしょう。
どんな方法を用いても、見込み違いが格段に減ることはありません。
参加者の売り買いで値段が決まるのがマーケットの構造なので、頭のいい人でもズバ抜けた結果は出せないものです。
そんな現実を踏まえ、「トレードとの向き合い方」を考える時間が必要です。
私が常に強調するのは、予測が当たったり外れたりするなかで、「理想的な勝ち方」と「理想的な負け方」を予定通りに実行することです。
言い換えると、「自分を見失うことなく、自らの売買行動をコントロールし続ける」能力です。
いいときは上手に勝ち、わるいときはカッコよく撤退する──そんな姿勢を“そこそこ”のレベルで継続するのがプロトレーダーです。
背伸びして全く同じことをする必要はなく、本業をもつ兼業トレーダーとして十分に対応可能な“守備範囲”を定め、そのせま~い範囲内だけでOKなので、プロと同じ行動スタイルを目指すべきです。
誰にも明日の株価なんてわからず、真剣に「買いだ!」と考える投資家と「売りだ」と結論づけた投資家が同じ数だけいて値段がついているのですから、いわゆる「正解」を求めずに自分だけの答えを導き出すこと、それをかたくなに続けることです。
投資家1,000人のうち999人が「ちがうよ」と言っても、自分1人が「正しい」と思えば、それが本当の意味の正解。その正解を捨ててしまったら、自分で自分をコントロールするという当たり前のことがブレてしまうのです。