株式市場には、警戒すべき“切り取られた情報”が数多くあります。

 

最たるものは、「短い期間だけを見せる都合のいい説明」です。

こんなインチキ的な情報のつくり方を、実際の中源線チャートをもとに考えてみます。

赤が買い線、黒が売り線。いずれも3分割のポジション操作を行います。



4714リソー教育、2014年11月から約1年間の中源線チャートです。
大まかには、上げ→下げ→上げという流れですが、中央の下げの途中でダマシの陽転が出現しています。この部分について、まずは、2つの観点で“プレーヤー目線”の解説をしましょう。

1)「見送る」という裁量
陽転の段階では、「下げの期間が足りない」「日柄も不足している」と感じます。
それをもって「売りポジションは手仕舞いするが、買わずに様子見」という対応があり得ます。実践的だと思います。

でも、「はい、こんな対応で欠点のマイナス効果を極めて小さくできます」と言いきってしまったら、さすがにインチキくさいのです。理由は後述します。

2)切り取ることも可能
ちまたにある“警戒すべき”宣伝では、上記のようなビミョーな部分を捨ててしまいます。
チャート後半の下げ、切り返していく上げだけで、「ほら、こんな機敏に反応するんですよ」と示します。
実にわかりやすい情報で、宣伝の効果も高いのですが、相場の真実を隠した“商業的ウソ”だと言いたくなります。

同じリソー教育について、こんどは2016年10月~2017年10月の中源線です。

(同じく、中源線の判断は、赤が買い、黒が売りです)

 


陽線(買い線)のまま大きく上伸し、「中源線で大幅利益」と説明できる上昇をみせました。
「1」の一時的な下げでも陰転せず、「2」で本格的なジリ高に移行、「3」の急落でも買い線のまま「4」の高値まで上昇した、という見事な結果です。


でも、「4」以降はいいとこなし……「5」の陽転もワクワク感がいまひとつ。

さてここで、「後述する」と宣言したことに触れます。
1つめのチャートでは「下げの値幅不足、日柄不足だから買いを見送る」作戦が大成功でした。
でも、2つめのチャートの「4」以降は、その作戦も通用しません。

売っても買っても取れない動きが何カ月も続いているのです。

これも、途中でちょん切って「4」までの上げ過程だけで「ほ~らスゴいでしょ!」とやれば、飛びつきたくなる“ピカピカ”な情報に仕上がります。

同じ銘柄なのに、時によって機能したり機能しなかったり……どんな方法を持ち出しても、連戦連勝なんてゼッタイに望めません。
これが、相場・トレードの現実なのです。