為替相場の動向、要人の発言……多くの人が気にかける材料は、カタチのないファンダメンタル分析につながっています。
今日は、私たちを惑わす“情報の落とし穴”を確認するとともに、中源線の事例をもとにトレードの現実を考えます。

自分だけのために自分自身の答えを出す──多くのプロトレーダーが考えているのはズバリ、この一点です。
周囲の情報を排除し、自分自身の考えと行動をピタッと一致させようと努めます。

いくら考えても驚異的な的中率など望めないなかで、「上がると思ったら買う」「下がると思ったらカラ売りする」「わからないときは休む」と考えるのが、実践的かつ実行可能なイメージです。

迷いながら、新しい追加情報を手に入れて、また考える……プロは、そんな難しい行動を嫌い、あらかじめ限定した範囲の少ない情報で決断することを大切にしているのです。

そういったプロの行動を可能にするのが、「常に対応する」という姿勢です。
買ってみた、でも上がりそうもない……このときに「上がってくれ~」と願うだけになるのが平均的な投資家で、プロは「じゃあ、切ってしまって出直そう」と考えます。

そして、迷わずに実行します。「あれっ」と思ったら切ってしまうのです。


その迷いのない行動をスムーズにするために、ポジションサイズを調整して“経費としての損”を覚悟したり、見込み違いの損を抑えるべく分割のポジション操作を行ったりするのです。

そんなプロの行動指針を、シンプルな数式に落とし込んだのが「中源線建玉法」です。
実際の中源線チャートを見てみましょう。



赤い線が買い、黒い線が売りで、それぞれ3分割でポジションを増減させます。

「1」で黒い線にかわった、つまり陰転したところで、それまでの買いポジションは利食い手仕舞いしたのですが、陰転で仕掛けたカラ売りはヤラレです。しかも、「1」の売り値よりも約1割高いところでドテン買い直しを行っているのです(2)

結果的には「2」から「3」までの保合を経て、「4」「5」と大きく上伸しました。
この上げ過程で買いポジションを維持し続ける、つまり“ねばり”をみせるのが現実では難しいのですが、中源線は平然とねばります


「下落に転じる気配がない限り、買いポジションを持ち続ける」のです。
ちゃぶついたときに連敗もある半面、こうした大きなトレンドを逃しません。

売り手仕舞いしたあとに大きく上がる──相場“あるある”ですよね。
株数が少ない銘柄ほどよく上がる、なんてこともあります(^^)

そんなことが起こらないのが中源線ですが、ヤラレを覚悟して「2」のような場面でドテン買い出動したり、「3」までもたついてもポジションを維持する──だから、値幅取りも実現するのです。

こうした対応は、「当たる」「曲がる」といった観点、予測の的中率で評価できるものではありません。
3分割の計画や事前に決めた対応方法が実用的で、とことん納得できているから実行に移せるのです。

予測はほぼ半分しか当たらないのにトータルで利益になる──これこそがプロが考える理想の行動なのです。