ストップ高を見事に予測!
倍化銘柄を10銘柄的中させた!


広告で、こんな感じの気になる表現を目にすることもあります。では、実際に契約して期待通りの結果を得られるのでしょうか?

自慢の実績があれば、それを掲げるのは当然です。
とはいえ、その宣伝文どおりの未来が約束されている……そんな錯覚に陥ることなく、「どんな考え方に基づいているか」「自分にとって継続的に利用する価値があるか」など、本質的な部分を考えるべきです。

また、「当たった」だけではダメで、実際に「取れる」値動きである必要があります。
予測と対応(単純な「維持」も含めたポジション操作)の方法を、どのように設定しているかなど、現実の問題まで落ち着いて評価しなければならないのです。

「表面的な実績自慢はすべてウソ」ということではありませんが、プレーヤーとしては以下の2つを考えるべきです。

『将来的な再現性が、どれだけ期待できるか』
『さまざまな値動きに対して、どんな対応が用意された手法なのか』


実践家は、「なにを持ち出しても同じ」と考えます。
(「どう取り組んだって、長期的な予測の的中率は同じ」という超現実的な認識

根本的な考え方、予測法の基準、そしてポジションの取り方──これらが“バランスよくつながっているか”、次に“自分の好みかどうか”を考えます。
ストレスなくカンタンに儲けさせてくれる情報なんて、どこにも存在しません。

私たちの私生活や一般的な商取引では、交渉の余地があったり融通が利いたりすることもあります。でも、金融マーケットでは、その法則が通用しないのです。

私生活で「18時」と「午後8時」を混同しても、「あれっ、ちがうんじゃない?」「あっ、そうだね。えへへ」で、問題なく終わります。しかし、ネット取引では、数量や売り買いの別を間違えたら、そのまま約定してしまいます。

商取引ならば、「今回は少し安くしてもらえないかなぁ」といった交渉が可能ですが、株の場合、「先週まで400円台で買えたのに、今は500円台前半かぁ……」と思っても交渉する相手がいません。
ふだんの感覚を持ち込みたくなるのですが、金融マーケット独特のジョーシキに“ダイヤルを合わせる”しかないのです。

価格の交渉が不可能なかわりに、銘柄や市場を自由に選べますし、「買うか買わないか」「買うタイミング」「数量」などは、すべて自分で自由に決めることができます。
「そこをなんとか、お願いします!」という浪花節など入る余地がなく、価格はマーケット次第なので、「自分の行動をどうコントロールするか」が課題です。

「おたくは、上がる銘柄を教えてくれるの?」
こんな電話がかかってくることもあり、返答に困ってしまいます。
タイムマシンは持っていません。少しでも未来がわかるのなら、とっくの昔に、世界中の市場がぶっ壊れるまでシコタマ儲けています。

平均的な投資家の興味は、「なにが上がるの?」「株式市場全体は、まだ上がるの?」といった事柄、つまり“予測を当てる”ことです。対するプロは、「そんなことできない」という前提で、やり方を工夫しています。

だから、プロ同士が「まだ高いかな?」なんて強弱判断に触れるときは、お互いの観測法やトレード哲学を理解したうえで、かるく俗っぽい会話をしているにすぎません。
プロが主に興味をもつのは、「考え方とポジションのつくり方を、どう結びつけるか」ということです。

林投資研究所の『研究部会報』で連載した「相場師インタビュー」は、そんなプロ同士の相場談義。耳を傾けて行間を読むことで、自らの手法を築くエネルギーになると確信します。

トレードという行為の一部分である「予測法」を聞きかじるよりも、誤解や錯覚を生じることなくプロの領域に近づく情報だと自負しています。
そのインタビューをまとめた単行本が『億を稼ぐトレーダーたち』『凄腕ディーラーの戦い方』『億トレIII』の三部作です。