昨夜、リーアム・ニーソン主演の某シリーズを二本連続で観ました。



アクション映画としては面白いと思うけれど、二作目についてはストーリーが強引だし、主人公の無敵感からか、さほど緊張はなかった。
どぎつくて残酷なアクションサスペンス物は、いくらスリルを感じようとも数回見ようと思わないけれど、一作目は最後まで緊張感が持続する傑作だと思います。

犯罪がテーマの映画はストイシズムを感じる物が好みですが、このジャンルだとヒチコックが代表だと思います。
彼の映画は拳銃での殺しが殆どなく、血が流れるシーンも少ない。
『北北西に進路を取れ』なんて、ウイスキーでベロベロのケーリーグラントを崖から突き落としたり、国連ビルで短剣投げたりで、このユーモアが独特の味になっている。
また、急に大きな音を立てて(ほら、ビックリした?)という遊びもない。
ストーリーを重視し、殺しはどこまでもエレガント(?)なスタイルを貫いている。



何よりヒチコックミステリーの最大の楽しみは小道具と伏線。
細部に工夫を凝らして作り込まれているから、小道具一つにしても物語の重要なアイテムになる。
例えば『見知らぬ乗客』のライターが落ちるシーン。
このシーンは、緊張し過ぎて奥歯が痛くなったのを憶えている。



小道具が効果的に機能している作品だと、ポラックの『コンドル』や、ポランスキーの『フランティック』も好きです。

スリルとサスペンスは、あらゆる映画に含まれる要素ですが、これらの特定の製作態度、つまりミステリー精神のないサスペンス映画は、出汁の効いていない料理の様な物で、見終わっても薄味過ぎて何も残らない。
結局は作る側と観る側の双方が遊びのルールを理解しているかどうかに帰結すると思います。