今年は水曜が仕事始めで、今日から三連休なのですが、どうも調子が上がらない。
いつもの年始は、正月ボケから出来るだけ早く抜け出す為にジムで体を動かすけれど、今年はまだ行く気にならない。

多分、ブコウスキーを読んだ所為だ。
心と体は連動しているのだから、きっと影響されたのだろう。(という事にしておこう。たった3日での現実逃避は早過ぎる。)



ブコウスキーの小説って大して難しい単語も出てこない。
小難しい表現もなければ、冗長な言い回しもない。

マイナスのレッテルを貼られ、地べたを這う様にして生きる男の社会に対する異議申し立てを、簡素な言葉と魅力的な会話で、実にリアルに描かれている。
まぁ作家本人の自由気ままな生き方が災いして招いた結果なんだろうが、それでもブコウスキーには人間らしさを強く感じられる。

物語の主人公の多くは、働く意欲はあるけれど、職に就いても長くは続かない人達だ。
また、その殆どが解雇によって失職しているのだが、情景描写を極力省き物語を簡潔に描いているので、彼の作品では登場人物の会話が非常に重要になる。
両親や勤務先の上司に、自分の狡さや弱さ、酒や女性に対する執着と意地汚さなどを堂々と曝け出す場面が非常に多い。
しかし、この生きている会話、下劣な単語で纏められた上質で現実的な会話に巨大なエネルギーを感じてしまう。
ですから彼の作品を読んでいると、今の世界や社会、勤務先へブコウスキーに代弁して貰っている様で、「本当にそうですね。よくわかります」という気になる。

ブコウスキーの作品を初めて手にしたのは24歳だった。
当時は、弱さや狡さを口にするなんて恥だと感じながらも何処か憧れはあった。
でも今は、現実から距離を置きたい時や疲れた時に思い出す友人の様に、弱さも醜さも聞いてくれて肯定してくれる、そんな存在ですかね。
だから、今後はストレス発散の時に読む様にしよう。

しかし、手元にあるのはこの2冊のみだけれど、今はこの長編と短編集で充分だ。