マルジェラのドキュメンタリーを観て


大衆の反応こそが真実なのだ。

作者やスポンサーがいくら自身の作品の良さを訴えたところで、大衆が受け入れなければ失敗。


マルジェラ自身、賞賛と批判の中で『大衆の為の服職人』を表現し続けた。

またその精神には、ベーシックで伝統的なものへの敬意を感じ取る事が出来る。


「大衆が作品を評価する。作品は作家の手を離れ世に出た瞬間から大衆のものとなる。」


これはヴァレリの言葉だが、学生時代に貪る様に読んだ事で知ったこのフレーズは、今でも黄金の様に心の中で輝きを放っている。


これはSNSに投稿される文章についても同じ。


あるSNSの「感想文まとめ」を読んで感じた事なのだが、そこには「個性」を守ろうと努力している人々が多数存在していた。

しかし残念な事に、彼や彼女達は、守ると言う目的の為に「個体」の価値を教えた人の模倣をしているに過ぎない事に気付いていない。


【作家は私達に何を言いたいのか】




本音の読書感想文こそ、作家にとっては大変有難い筈だし、完璧な作品が世に存在しない様に、批判の無い創作物は長くは生き残れない。

つまり、作品と作家を2つ同時に抹殺してしまう恐れもあるって訳だ。


作品から何を受け取り、どう感じ、どう評価したか。


小説もアマチュアの感想文も一つの創作物。

本音の、更に奥の奥を見せて欲しいものだ。