野毛の「センターグリル」でスパランチ。スパゲティをおかずに白ご飯を食べさせる背徳的なメニュー。この店はナポリタン発祥の店とされるけど、一方で「ホテルニューグランド」が発祥との説もあり、どちらが元祖なのかは議論の分かれるところ。

終戦後、進駐軍の米兵がケチャップを麺に絡めたスパゲティを好んで食べていたのに着想を得た、当時のニューグランドの料理長が「スパゲティ・ナポリテーイン」というメニュー名で提供したことがナポリタンの始まりとされる。そのためニューグランドでは発祥説を喧伝するのだけど、これはかなり眉唾。というのも、このとき提供されたのはケチャップではなく、トマトソースのパスタでいわゆる“ポモドーロ”だったから。トマトソースのスパゲティなら戦前から銀座とかにもあったし、全然ナポリタンじゃない。。

ニューグランドが発祥説を唱え始めたのは、開港150周年を控えた16~17年ぐらい前から。それまでナポリタンになんて一顧だにしてこなかった。高まるホテル需要にみなとみらいの高級ホテルに対抗すべく、生み出されたのが“発祥商法”だったとおぼしい。みなとみらいのホテルに比べて、施設・サービス面で劣っていたニューグランドが誇れたのはそれぐらいしかなかっただろうし。。ナポリタンだけでなく、今じゃドリアやプリンアラモードにまで“発祥”を主張している。

一方、センターグリルでは昭和21年の開業時からケチャップ味のナポリタンを提供していて、創業者が入手困難で高級品だった生トマトの代わりに、安価で入手しやすいケチャップ使用したメニューを考案したとのこと。どうやら、こちらが発祥と言ってよさそう。

ただし、センターグリルで絶対食べるべきはあくまでもスパランチで使われているのはナポリタンではなく、「イタリアン」というミートソース風のスパゲティ。ナポリタンよりずっと美味い。スパゲティと白ご飯に揚げたてのチキンカツ、ポテサラ、キャベツが盛り合わされた銀皿は最高のワンプレートと言うし。崎陽軒のシウマイ弁当と並ぶ横浜市民のソウルフードではないか。