エゴイスト

高山真
(浅田マコト)

評価
📗📗📗📗
※📗×1点・📚×0.5点・満点は5点です※


 《エゴイスト・登場人物》
主人公・浩輔...東京の出版社で働く、ファッション誌の編集者。14歳で母を失い、鬱屈とした思春期を過ごした過去を持つ。現在は、まるで自分を守る鎧のようにハイブランドの服に身を包み、自由気ままながらもどこか虚勢を張って生きている。パーソナルトレーナーの龍太と出会うことで、誰かを心から愛する喜びを知るように。

龍太...シングルマザーである母を支えながら暮らす、健気なパーソナルトレーナー。自分の美しさに無頓着。最初は戸惑いながらも浩輔から差し伸べられた救いの手をとり、浩輔のサポートを得ながら母に寄り添う。浩輔と次第に惹かれ合うように。

中村妙子…女手一つで龍太を育てた龍太の母。

斉藤しず子…浩輔が14歳の時に亡くなった浩輔の母。

斉藤義夫…浩輔の父。


 《エゴイスト・あらすじ》
14 歳で⺟を失い、⽥舎町でゲイである⾃分を隠して鬱屈とした思春期を過ごした浩輔。今は東京の出版社でファッション誌の編集者として働き、仕事が終われば気の置けない友人たちと気ままな時間を過ごしている。そんな彼が出会ったのは、シングルマザーである⺟を⽀えながら暮らす、パーソナルトレーナーの龍太。自分を守る鎧のようにハイブランドの服に身を包み、気ままながらもどこか虚勢を張って生きている浩輔と、最初は戸惑いながらも浩輔から差し伸べられた救いの手をとった、自分の美しさに無頓着で健気な龍太。惹かれ合った2人は、時に龍太の⺟も交えながら満ち⾜りた時間を重ねていく。亡き⺟への想いを抱えた浩輔にとって、⺟に寄り添う龍太をサポートし、愛し合う時間は幸せなものだった。しかし彼らの前に突然、思いもよらない運命が押し寄せる――。


この愛に、賛否両論。
性愛も血縁も超えた愛のカタチ。
「母が死んで、、、『死にたい』と
思っていた僕の何かは死んだ」。

3度読んで、9度泣いてください。

10代で母親を亡くしたゲイの斉藤浩輔は、病気の母親を持つ美形の青年・中村龍太と恋に?落ちる。失われた実母との日々を、龍太と龍太の母に重ねる斉藤は、彼らを救いたいと願うのだが…。「母が死んで、『死にたい』と思っていた僕の何かは死んだ」。14歳で母を亡くした浩輔は、同性愛者である本当の自分の姿を押し殺しながら過ごした思春期を経て、しがらみのない東京で開放感に満ちた日々を送っていた。30代半ばにさしかかったある日、癌に冒された母と寄り添って暮らすパーソナルトレーナー、龍太と出会う。彼らとの満たされた日々に、失われた実母への想いを重ねる浩輔。しかし、そこには残酷な運命が待っていた…。

龍太と母を救いたいという浩輔の思いは、彼らを傷つけ、追いつめていたのか? 

僕たちは、出会わなければよかったのか? 

愛とは、自らを救うためのエゴだったのか? 

浩輔の心を後悔の津波が襲う。人は誰のために愛するのか。賛否両論渦巻く、愛のカタチ。







【エゴイスト試し読み📕】










原作小説『エゴイスト』は、エッセイスト高山真が綴った自伝的小説。どこか虚勢を張って生きているファッション編集者・浩輔が、母を支えながら健気に生きる美しきパーソナルトレーナー・龍太との出会いをきっかけに、愛について自問自答する姿を描いている。

【高山真プロフィール】
東京外国語大学外国語学部フランス語学科卒業後、出版社で編集に携わる傍ら、エッセイストとして活躍。著書に『恋愛がらみ。不器用スパイラルからの脱出法、教えちゃうわ』(小学館)、『羽生結弦は助走をしない 誰も書かなかったフィギュアの世界』(集英社)、『愛は毒か 毒が愛か』(講談社)など。2020年没。

『こんなオトコの子の落としかた、アナタ知らなかったでしょ』(飛鳥新社)でデビュー、『羽生結弦は助走をしない』(集英社)で一躍有名になったエッセイスト、高山真。様々なテーマを愛と毒のある切り口で、時に笑い、時に人生哲学に昇華させる彼の名コラムの奥には、哀しくも幸福なひとつの物語が存在した。2012年に小説家、浅田マコト名義で発売された「エゴイスト」には、彼の生い立ち、運命の人との出会い、そして別れがー2020年没後から1年、鮮烈な愛のかたちを描いた本作を高山真名義で復刊。

エッセイスト高山真がこの世に残した、たった一冊の自伝的小説が今よみがえる。




エゴイスト (egoist)  とは利己主義者のこと。他人のこうむる不利益を省みず自らの利益だけを求めて行動する人のこと。エゴイストと聞くと自分勝手やわがままみたいなイメージですが…この小説に描かれているエゴイストは俺的には良い意味でのエゴイストと感じました。

恋人や友達や親などに対してちょっとやり過ぎかな?的な親切心ってありますよね?自分は良かれと思っていても相手にしてみたら迷惑だと感じたり逆に気を遣ってしまったりね。

コミュニケーションって難しいですよね?互いが互いを大切に思い合っているほどその親切心は時には酷になる。

親切心が相手のプレッシャーになってしまい、その期待に応えようと頑張ってしまったり…ね?

自問自答…。いつだってそう。人は答えを求めてしまう。この恋は正しかったのか?って。

色々な視点で考えさせられるそんな物語でした。

尊い愛と美しい命…同性愛者の純粋過ぎる純愛が此処に在る。

お互いを気遣い合う優しく切ない物語。

尊い愛が溢れ出る。

生きる意味。

愛する意味。

相手を思う気持ち。

笑う事、泣く事、怒る事、喜ばせたい、幸せにしたい、助けてあげたい…そんな当たり前な感情が沢山詰まった素敵な物語です。

……でも運命は時に残酷で現実を突きつける。

凄く読みやすいのでLGBTQの方は勿論、異性愛者の方にも是非読んで頂きです。


エゴイストを読んで…自分の幼少期の頃に感じた思いや病気で亡くなったパートナーの事や母親の事など重なる部分があったり、気づかせてくれたり、少し胸が苦しくなりました



病気をして働けなくなり資金繰りが大変だった彼のお金を工面したこともあったけど…でもそういう事ってただの独りよがりな無償の愛なんですよね

やってあげたい、助けてあげたい、少しでもお金や他の心配事から解放させてあげたいっていうね

でもその好意が良かったのかは?今でもわからないです

結局彼に気を遣わせてしまっていた部分もあったと思うし…

彼は最後幸せだったのかな?とか最後のパートナーが俺で良かったのかな?とか…自問自答じゃないけど、そんな事ばかり考えていた事もありました


彼はいつも俺の家に来て帰る時に部屋の何処かにお土産を隠して帰るんです

それはプレゼントだったり、手紙だったり、あめちゃんだったり、レシートみたいなゴミだったりね(笑)

彼が亡くなり、暫くして俺も部屋を引っ越すことになった時に片付けをしていたんです

その時に本棚から見覚えのない封筒が出て来たんです

で、その封筒を開けたら彼が撮ってくれた写真が入っていたんです

海へ行った時やデートした時やスキーに行った時などの色々な写真が…

当時はスマホではなくカメラでまだ写真を撮る時代だったので、彼はよくカメラを持ち歩いていたんです

確かにそれまで写真を撮ってもらっても彼からその写真を貰った事がなかったので、その時に気がついたんです(笑)

その写真を見た時に封筒の上に【ボタボタボタッ】って涙が落ちて来て…やっと素直に泣けたというか、彼の死をちゃんと受け止めることが出来たんです

彼からの最後のプレゼントでもあり、彼からのお礼だったのかな?って

いつもはお土産を置いて行くとあとで隠した場所のヒントを教えてくれるのに…この写真の時だけは教えてくれなかったんですよね

多分、彼が俺の家に来た最後の日に隠したと思うんですが…彼も俺にヒントを言うのを忘れていたんだと思います

その後、すぐに入院してしまったので

彼らしいユーモアたっぷりな素敵な贈り物でした


彼の家系は少しお堅い感じだったので…彼自身が同性愛者とは家族にはカミングアウトはしていませんでした

彼は父親を早くに亡くしていて母親と妹の3人家族だったので一家の大黒柱として無理をしていた部分もあったと思うし、母親を安心させる為にいつかは女性との結婚も考えていたかも?しれないので結婚へのプレッシャーは相当彼にはあったと思います

同性愛者(ゲイ)寄りな両性愛者(バイ)だったのでその辺りは彼なりに色々な葛藤もあったと思います


彼の母親と初めて会ったのは亡くなった彼の病室でした

葬儀の後に…『これで最後にして下さい。』と、いう言葉の意図はきっと母親も息子の部屋の整理か何かした時に《ゲイ》という事を知ったのか?もしくは元々気がついていたのか?分かりませんが…俺にその言葉を伝えたということが母親の気持ち全てだったと思います

だから通夜と告別式には参列させて頂きましたが彼のお墓は知りません

だからお墓参りには行けません

でもそれでも良いと思います

もしあの時、彼の母親にお墓の場所を聞いていたら…一番辛いのは母親ですからね

認めたくないと言うか…色々な思いがあの時はあったと思うので

それに自分の子供が親より先に亡くなる辛さや淋しさは俺もよく分かるので

俺の姉貴も両親より先に亡くなっているので

でもね、今ではそんな彼のことを母親もきっと理解してくれていると俺は勝手に思っています😊


そろそろハナミズキの花が咲く季節

病院を抜け出してハナミズキの木の下で
2人でタバコを吸ったことを思い出します


愛の形は人それぞれ

答えはなくとも

正しさを求め

また迷子になる。

あなたに逢いたくて

空を見上げる。

青空、曇空、雨空、星空、夜空…

見上げた空は一つなのに

あなたには逢えない。

だから…もう探すことは諦めた。

でも、忘れない。

あなたを確かに愛していたことを。



朧気な夜桜に想いを馳せる。