「睡眠負債」とは

前回のブログで急に「睡眠負債」という言葉が出てきましたが、負債というと資産やお金的なイメージが強い中、なぜわざわざ睡眠が足りないことを負債と言っているのか。一応理由があります。

 

良質な睡眠により

・記憶の整理と定着

・不快な記憶を処理し心を安定させる

・認知力、社会適応能力を向上させる

 

など、脳機能にかかわる処理・改善が行われ、脳から分泌される体内のホルモンバランスが整うことで、様々な効果が得られます。

 

これはすなわち、良質な睡眠により自身のパフォーマンスにも大きく寄与することになります。

 

逆に言うと、睡眠がよくない状態が続くと、自分自身の生産活動、生産性が大きく下がることになるため、仕事や労働の結果にも影響が出てきて、それが経済的な「負債」になるということです。

 

 

  日本の睡眠の現状

世界の中でも「日本人の睡眠時間が短い」とか「日本は睡眠負債の多い国だ」というのを聞いたことがある人は多いと思います。

 

では、どれぐらいなのか。いくつかのデータを見てみましょう。

 

まず、経済協力開発機構(OECD)が行った国別平均睡眠時間です。

 

数字は「分」となります。

 

経済協力開発機構(OECD)が行った調査対象国32カ国中、日本は堂々の「最下位」となりました。しかもダントツです。

 

次は、総務省の「社会生活基本調査(2016年)」の「年代別平均睡眠時間」です。

 

 

社会人の睡眠が相当少なく、特に女性は平均で見ても相当低いことが分かります。

悩んでいる人も相当多いと考えられます。

 

さらに深刻になってきているのは子供の睡眠状態です。

 

 

このグラフは睡眠学会2019(有吉祐睡眠クリニック/久留米大学)で発表された睡眠外来18歳以下の受診者数の年次推移です。

 

2012年まで「2ヶ月に1人」だったのが、2018年には「3日に1人」になっています。

2012年からの増え方が尋常じゃないですね・・・

 

様々な理由があるとは思いますが、私はスマートフォンが子供も持つようになってきたぐらいじゃないかと思っています。

当然他にも要因はあると思いますが、グラフを見ても今後さらなる増加が予想でき、とても深刻な状況です。

 

  日本人の睡眠負債

こういった日本の睡眠状態から、冒頭述べたとおり、「睡眠負債」としてみた場合どうなるのか。

以下の図を見てください。

 

 

日本人の睡眠負債を推計すると、GDPの2.92%(ランド研究所ヨーロッパの調査)とされています。

 

これを金額に換算すると「年間15兆円

 

国民1人当たりにすると、「生涯で1,000万円」になります。

 

健康面の影響による様々な病気もさることながら、これだけの経済損失があるのに、まだ睡眠の改善を後回しにしますか?

 

当然薬を処方して睡眠時間だけ増えても、上記問題は解決されません。

 

あくまでも「良質な睡眠」を目指さないといけません。

 

じゃあどうしたらいいのか・・・・

 

まずはどのような問題があるのかなどを学んでから、対策を学んでいきます。