統一原理の間違いを認め、ノルマ生活から解放される喜びを感じながらも...
それまで命を懸けて自分がやって来た教団の活動が全て無意味であるとともに、詐欺という犯罪行為でもあった、と言う事実を突き付けられ、私は大きな衝撃を受けていた。
そして、
・もし統一協会をやめれば、「地獄と言う霊界へ落ちる」と、繰り返し教え込まれた強迫観念。
・自分こそ「氏族のメシアである」と信じ、活動の原動力となった大きな使命感の喪失。
・このまま非原理社会に戻ったとして、普通の価値観で、生きていくことが出来るのかと言う社会復帰への不安。
・正しいことと信じ込まされ多くの人から献金を騙し取ったことへの罪悪感。
マインドコントロールから解放される時に吹き出した、あらゆる感情は、簡単に払拭出来るものではなかった。
戸惑いながら、引き続き、原理講論の検証を進めていたが、一旦間違いを認めてしまうと、それから先、次々と突き付けられる間違いを指摘されるのは、とても苦痛となっていた。
「お前はこんなにアホらしい教えを信じていた馬鹿だ!お前は大馬鹿者だ!」
と、繰り返し言われている気がした。
その段階で、教団に戻る気持ちは失くなっていたが、もし今後、脱会した後の生活の中で何か困難にぶつかることがあったとき、万が一
「教団に戻りたい」
と思うことがあったとしても
教理が100%間違いだと言う確信があれば
戻りたくても絶対、戻ることはない、
と言う観点から
原理講論を最後まで検証していった。
教えの間違いには気付くことが出来た。
だが、なぜ?
教祖、文鮮明の目的は一体なんなのか?
堕落した人類を救済してくれるメシアと崇め、私の人生全てをささげてきた存在に対し、
教団を運営する目的に、何か悪い企みがあろうなどとは、にわかに想像し難いことだった。
カウンセリングして下さった二人の先生に
次々わいてくる疑問を率直にぶつけた。
そもそも教団の教祖
文鮮明
と言う人物は
祖国、韓国においては
「宗教家」より
「実業家」と言う認知度の方が高いとのこと。
それを裏付けるべく
韓国4Days(フォーデイズ)と言う
教祖の祖国を訪ねるセミナー
に参加したときの記憶が甦った。
本部教会は、私が想像する教団の勢力から
考えると、拍子抜けするほど
簡素な建物であった。
それについて
「建物を簡素化し、その分、世界統一のための活動に費用を回している」
と都合良く解釈し、勝手に文鮮明を尊敬し誇りに思う気持ちを強くしていた。
それに比べて、文鮮明が設立したリトルエンジェルス芸術団の会館は、客席が三階まであり、とても豪華だった。
出演者のエンターテイメントとしてのクオリティーも高く、
「お父様は芸術においても人々を喜ばせようと努めておられる。なんと、素晴らしい!」
と…これもまた都合の良い解釈をするだけで
理不尽な金の使い途、などと言う疑念は微塵も持っていなかったが、カウンセリングの場で、
全ては教団内で都合良く解釈してしまう癖がついていたことを理解出来たし、
「実業家」という韓国国内の認識が高いことも納得出来た。
だが、そうとは言え、教団の信者たちを馬車馬の如く働かせ、人生全てを捧げさせてまで献金を集めさせなければならない教祖の心境が、どうにも腑に落ちなかった。
これを解き明かしてくれたのは
二人の先生から紹介された二冊の本だった。
一つは
金賢姫著「今、女として」・・・・・・