~第12章~
「えっと・・・ここで良いんだよね・・・」
いつも、Tシャツとジャージというお洒落とは程遠い格好の美咲は、今日はなんとヒラヒラの薄桃色のワンピースに、かかとが高いサンダルを履いていた。押し入れで眠っていた母のワンピースだ。
「お父さんが捨てとくって言っていたものだったのに、結局捨てられなかったのね・・・」
そえ呟きながら歩いていると、ふとガラスに写っている自分の姿を見た。そして、無言でその場でクルッと回った。
「・・・やっぱり変な感じがするわ」
「いや、凄く似合っていると思うけどな~」
美咲は、声のする方にバッと向いた。そこには、空男さんが立っていた。たが、空男さんもいつもと違っていた。無精髭は全部剃られ、シワ一つもないスーツ姿で、美咲も最初は誰だか分からなかった。
「・・・見ました?」
美咲は赤くなりながら、上目遣いで空男さんを見た。
「え~見てないよ~」
(あっ、見られてたな)
美咲は、軽くため息をついた。空男さんは相変わらず笑ってた。
「ではお嬢様、目的地までご案内致します。」
空男さんは、わざとらしく右手を胸の前に置いてお辞儀をした。
「やめて下さいよ、お嬢様なんて。それに、場所も場所ですし」
美咲は、困った口調で言ったが、慣れない場所で迷っていたため内心ホッとした気持ちだった。
ホテルに入ると、そこは映画に出てきそうな構造をしていた。空男さんの後に着いて行って、エレベーターホールでエレベーターを待つのにも、自分が場違いな気がしてならなかった。
すると、空男さんが指でこっちに来るようにという仕草したので、美咲は素直に空男さんによって行くと、急に顔が近づくと思いきや耳元で囁いた。
「そんなソワソワしてないで、堂々といな。美咲ちゃんもここに居る人達みたいだよ」
空男さんがニコッと微笑むと同時に、美咲は囁かれた耳から全身にどんどん熱くなるのを感じた。
(・・・いつもこの人に調子、狂わされている気がする・・・)
着いたエレベーターに乗ると、七階で降りた。受付でチッケトを出し、パンフレットも貰った。そのパンフレットの表紙の絵は、広大さを感じさせる空の絵だった。
「この表紙、キレイですね・・・」
空男さんは、嬉しそうに笑うだけだった。
美咲は、展覧会の中に入った。
この展覧会は、この後の美咲にとって大きな変化の元となるのだった。
~続く~
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「えっと・・・ここで良いんだよね・・・」
いつも、Tシャツとジャージというお洒落とは程遠い格好の美咲は、今日はなんとヒラヒラの薄桃色のワンピースに、かかとが高いサンダルを履いていた。押し入れで眠っていた母のワンピースだ。
「お父さんが捨てとくって言っていたものだったのに、結局捨てられなかったのね・・・」
そえ呟きながら歩いていると、ふとガラスに写っている自分の姿を見た。そして、無言でその場でクルッと回った。
「・・・やっぱり変な感じがするわ」
「いや、凄く似合っていると思うけどな~」
美咲は、声のする方にバッと向いた。そこには、空男さんが立っていた。たが、空男さんもいつもと違っていた。無精髭は全部剃られ、シワ一つもないスーツ姿で、美咲も最初は誰だか分からなかった。
「・・・見ました?」
美咲は赤くなりながら、上目遣いで空男さんを見た。
「え~見てないよ~」
(あっ、見られてたな)
美咲は、軽くため息をついた。空男さんは相変わらず笑ってた。
「ではお嬢様、目的地までご案内致します。」
空男さんは、わざとらしく右手を胸の前に置いてお辞儀をした。
「やめて下さいよ、お嬢様なんて。それに、場所も場所ですし」
美咲は、困った口調で言ったが、慣れない場所で迷っていたため内心ホッとした気持ちだった。
ホテルに入ると、そこは映画に出てきそうな構造をしていた。空男さんの後に着いて行って、エレベーターホールでエレベーターを待つのにも、自分が場違いな気がしてならなかった。
すると、空男さんが指でこっちに来るようにという仕草したので、美咲は素直に空男さんによって行くと、急に顔が近づくと思いきや耳元で囁いた。
「そんなソワソワしてないで、堂々といな。美咲ちゃんもここに居る人達みたいだよ」
空男さんがニコッと微笑むと同時に、美咲は囁かれた耳から全身にどんどん熱くなるのを感じた。
(・・・いつもこの人に調子、狂わされている気がする・・・)
着いたエレベーターに乗ると、七階で降りた。受付でチッケトを出し、パンフレットも貰った。そのパンフレットの表紙の絵は、広大さを感じさせる空の絵だった。
「この表紙、キレイですね・・・」
空男さんは、嬉しそうに笑うだけだった。
美咲は、展覧会の中に入った。
この展覧会は、この後の美咲にとって大きな変化の元となるのだった。
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