~第3章~
真琴が廊下で待って居ると、石黒が来た。
「いや~、ごめんね一人で待たせて。なんだ、山桜は神田くん残して教室に入っちまったか~。」
石黒は一人で苦笑した。真琴はそんな石黒の様子を見ていた。
「すまんな、神田。アイツは特定の人以外は興味がないらしくてな。それ以外の人は冷たく接してしまうんだよな。」
そういうと真琴は石黒の後ろを歩いた。一緒に入るとやはり教室内がざわついた。美咲は窓をずっと見
ていた。石黒が教卓の前に着くと珍しく教室が静かになった。「はい、みんな席には着いてるな。見ての通り今日から転校生がこのクラスになる。じゃあ、黒板に名前を書いて自己紹介をしてくれ。」
真琴は石黒の言う通りに黒板に名前を書くと、自己紹介を始めた。
「神田真琴です。東京から来ました。よろしくお願いします。」
案の定、女子たちが少しざわめいた。美咲もちらっと見ると真琴と目が合い、思わず目をそらしてしまった。そらした後美咲は真琴い悪いことをしたと後悔をしていた。
(俺、嫌われたかな・・・。)
真琴は美咲にそらされ少しだが、気にしていた。
「じゃあ、神田くんはあの空いている席い座ってくれ。」
石黒が指を指した席は窓側である美咲の席とは反対に廊下側の席だった。指定された席に座ると前の女子が後ろを振り向いた。
「アタシ、橘ユイ。ユイで良いから。よろしくね。」
すると、石黒がこっちを向いた。
「こらっ橘!さっそく転校生を逆ナンすんなっ。」
「逆ナンなんかしてませんっ!てかアタシ、彼氏いますしぃ~」
ユイは頬をプ~と膨らました。その顔は何人かの男子を虜にしていた。ユイは校内で一、二を争うぐらいの男子から人気の高い女子なのだ。だが、真琴はただ苦笑を浮かべているだけだった。そんな様子を美咲はさりげなく横目で見ていた。
休み時間、真琴の周りに女子たちが集まった。
「ねぇねぇ、神田くんって東京からきたんでしょう?やっぱ彼女とか居たの?」
真琴は動じずにさっきの笑顔で答えた。
「う~んどうかな?今はいないけどね。」
「じゃあ、今彼女無しなんだ。」
明らかに真琴を狙っている口調だ。そこでその女子は明らかに攻めてきた。
「じゃあ私、彼女希望しちゃおっかな~」
真琴は相変わらず笑顔を保って言った。
「そんな~冗談でしょう?」
女子は「だよね~」と言いつつも顔がひきっつているのを美咲は見逃さなかった。
「なに?あの転校生気になる~?」
菜花が冷やかし口調で言ってきた。美咲は軽く菜花を睨んでから反対方向を向いた。
「そんなんじゃない。たまたま視界に入っただけよ。」
「へ~そうなのぉ~?」
菜花に見透かされているのがわかり、渋々美咲は答えた。
「・・・なんかあの転校生、普通の奴とは違う気がして。」
菜花は相変わらずニヤニヤして美咲の様子を見ていた。
「やっぱ気になるんじゃない。」
美咲はもうそれ以上は反論しなっかた。これ以上反論しても菜花が面白がるだけだということが分かっ<たからだ。ただ、美咲本人も何故真琴を気になってしまうのか分からなかった。
~続く~