~第2章~




 何とか学校には間に合った美咲は席に着くと、静かに深呼吸をした。すると唯一の友達である菜花が近

づいてきた。






「おはよう、美咲。何アンタ、今日遅くない?」






「うん、ちょっと寄り道しすぎた。」






「へ~珍しい。なんかやってきたの?」






 菜花は面白半分で聞いている。美咲もそれを察し適当に対応した。すると突然菜花が言い出した。






「あっ、そうそうなんか噂じゃあこのクラスに転校生が来るらしよ。まぁ、アンタは興味ないだろうけど~。」




 


菜花の言うとおり美咲は興味を示さなかった。それどころか週番の仕事をどんどん進めていた。







 そういうとそそくさと席を立って行ってしまった。菜花は腰に手をあてため息を吐いた。すると、近くにいた

何人かの女子が話かけてきた。





「菜花さ、よくあんな奴と仲良くできんね。無理してんならうちんとこのグループ来る?うちらは大歓迎だ




 よ。」




「それはどうも。でもねぇ、無理してないしそれに、美咲のこと知らないくせにそんな風にいうんじゃない

よ。」





 菜花はきつい眼差しを向けると自分のせきについた。





「何、アイツ。良い子ぶってバカじゃないの?」





 女子たちはまた悪口を言い合った。





「失礼します。」





 美咲は担任の石黒のところに来た。





「先生、週番なので来ました。何か用はありますか。」





「おお、今週は山桜か。あぁ、あるぞ。お~い、神田くん~」




 
石黒はソファーに座っていた男子を呼んだ。男子は石黒の前まで来た。男子は細くて肌が白く、特に顔

立ちは普通だがどこか魅力を感じさせた。  





「今日、お前等のクラスメイトになる転校生で、名前は神田真琴くんだ。」




 
石黒から紹介されると真琴は軽く美咲にお辞儀をした。





「先に教室まで連れていってくれないか。で、神田くんは俺が来るまで教室のまえで待って居てくれ。俺、ちょっと用事あるからさ。」





 そう言うと石黒はさっさと職員室を出て行った。残された美咲と真琴はしばらくその場で固まっていたが、予鈴がなり我に返った。





「予鈴も鳴ったし、行こう」





「あ、うん。えっと~君は・・・」




 
真琴が戸惑っていると、美咲は自分のことを紹介していないことに気づいた。





「山桜美咲です。あなたのクラスメイトで今週の週番です」





「よろしくお願いします」




 
真琴はにっこりと笑った。その笑顔は美咲でさえもたじろぐほどの天使のような笑顔だった。





(こんなにも笑顔が似合う奴なんて居るのか・・・。)





 教室まで真琴は美咲の少し後ろで歩いていると真琴が話かけてきた。





「山桜さんは他の女子とはきっと違いますよね」




 
急にそんな事を言われさすがに美咲も真琴の方を向いた。





「それはどういう事?」




 
真琴はにっこりと美咲に笑顔を向けた。





「何となくだよ。なんか他の女子とは違う雰囲気を感じるんだ」





「ふ~ん。まぁ、確かに私は他の奴等とは違うかもね」




 
そう言うと美咲はまた歩き出した。真琴も美咲の後に歩いた。





「じゃあ、ここで待ってて。もうそろそろで先生、来るから」





「うん、ありがとう」




 
先に教室に入った美咲は真琴が外見に合わず、緊張しているなんて知るよしもなっかた。






                                 ~続く~