す※本の内容紹介あります。ネタバレにご注意下さい。
介護の明日を考える会(通称かいあす)は、多職種で、介護をめぐる教材を輪読して感想交流するweb輪読交流の会です。
ミーティングの報告の間に私が読んだ本から感想交えて綴っています。
今回
ミルトン・メイヤロフ 著
ケアの本質
〜生きることの意味〜
という原著1971年初版、邦訳1987年初版の本を取り上げました。
著者は、1921年生まれ、原著初版時点でニューヨーク州立大学の哲学教授。論文は主に哲学の雑誌に発表されたものだそうです。また、本書は、ルース・ナンダ・アンシェンという哲学者でもあり編集者でもある人物が、企画・出版した「世界展望双書」というシリーズ43冊の最後の1冊です。このシリーズの目的が、①当時の文明の新しい傾向の提示 ②西洋と東洋の動向の紹介 ③人間と宇宙・個人と社会・全ての人が共通に持っている諸価値間、の各関係の新しい認識の提示、にあるとされます。
私たちの法人では、一年足らず前から「ケアの倫理」を語ろう、と呼びかけられてきました。なかなかわかりにくい概念なので何冊か本を買ってみたところ、50年以上前に既に「ケアの本質」(原題On Caring)についての著作があることを知り、源流から学んでみようと思った次第です。
本書は、以下の6章と付録・訳者あとがきからなり、さらに細かい30の節に分けて記述されます。
序
Ⅰ他者の成長を助けることとしてのケア
Ⅱケアの主な要素
Ⅲケアの主要な特質
Ⅳ人をケアすることの特殊な側面
Ⅴケアはいかに価値を決定し、人生に意味を与えるか
Ⅵケアによって規定される生の重要な特徴
付録Ⅰケアすること
解題
訳者あとがき
最終回は、付録として収録されているものの、本編に先立って雑誌投稿された原点にあたるとされる、
付録Ⅰケアすること
を。
*
この論文は以下の16節からなります。エッセンスを箇条書きにした上で要約を試みたいと思います。
ケアの現象学
1 差異の中の同一性
2 他者の価値の感得
3 他者の成長を助けること
4 関与と受容性
5 専心
6 相手の不変性
7 ケアにおける自己実現
8 忍耐
9 結果に対する過程の重要性
10 信頼
11 謙遜
12 希望
13 勇気
14 責任における自由
広義の意味のケア
ケアという営みは、対象の成長と自己実現を、自己のそれと一体的に追求するもの。
☆著者がそもそもイメージした「ケア」は父親が子供の成長と自己実現を助ける活動のようなもの。
☆ケアは、ケアする人・ケアする対象・ともに成長発展する間柄という形を持つ関係性として一般化できる。
☆ケアにおいては、ケアする人とその対象は、別個でありながら一体的。
☆ケアにおいては、その対象がどんな状況であるに関わらず、存在そのものに備わる価値を感じとる。
☆ケアは、対象の成長と自己実現を助け、そのための保障と条件を整える努力。
ケアは、対象もまたケアできるようひたむきに一貫して関わりと受容を繰り返す。
☆対象の成長とは、対象がまた誰かや何かと自分自身をケアできるようになること。 ☆ケアは、対象に関わったり、受容したりのリズミカルな繰り返し。
☆ケアとは、対象の成長への専心=集中・没頭・専念・ひたむき。deditation,comitment,focusing on.
☆ケアにおいては、ケアする側の一貫性と、ケアの対象の不変性が必要。
ケアする生き方は、自己と対象双方に学びと成長と自己実現の方向性をもたらす。
☆ケアの対象の自己実現を支援することは、ケアする人の自己実現でもある。
☆ケアすることは、ケアする人に。方向性と継続性と発展性を与える。
☆ケアする生き方は。対象の成長を信頼し、忍耐を厭わない。
☆ケアという生き方にとっては、実績や将来性よりも過程を、過去や未来よりも、現在が重要。
☆ケアという生き方にとって、学びと事実に対して常に謙虚であることが重要。
☆ケアという生き方には、他人の同様に大切にしていることへの尊重と敬意が必要。
ケアのもたらすものー希望・勇気・責任・自由・感謝。
☆ケアにとっての希望とは、現在の持っている可能性。
☆ケアという生き方は、自分以外の他者に自己実現を重ねるという点で、勇気あるものとも言える。
☆ケアは、責任を伴う。責任ある人々が自由のある社会を創る。
☆ケアは、その周囲に、ケアのために必要な環境変化を求め、場を形成する。
☆場の中にいることの表明は、「感謝」。
*
こうして、ダイジェストしてみると、こちらを先に読んで大掴みにしてから本文読んだ方が良かったかな、と感じます。私のオリジナル曲で歌った内容に似た(もちろん向こうがはるか先ですが)「方向性」がまたでてきたので貼っておきます。↓
(医師K)
(このシリーズ終わり))