やってまいりました。

月に１度のエッセイ修行。

お題の本が提示されるので、

およそ、ふだん手に取らないような本を読むことになります。

これはこれでおもしろい。

この職業で、この年齢だとおのずと手に取るものが決まってくるからね。新しい風は常に必要！！

今回のお題は

北山建穂『四季彩　言の葉　百色図鑑』

「ももいろずかん」って、、、

なんか、、、

確かに「百」を「もも」と読ませるのは

伝統的なイメージを意識したものなんだと思うけど、

現代語として「ももいろ」というのは

どうしても別のイメージを生んでしまうからね。

そこで、敢えてこの言葉を使ったってことは、作者がこの言葉にすごくこだわりがあるんだろうな。とは思ったけど、私は正直、もったいないと思ったよ。本編にいざなうようなイメージだったらいいけど、本編とは、ずれたイメージを、タイトルで放ってしまうのは、やっぱり避けたいところ。

どうしても「百色」を使うなら、そのイメージを打ち消すような言葉と組み合わせるとか、そういう工夫をしたらいいのに。

「図鑑」ではなく、

「四季彩々」をもじって「百色彩々」とかさ、なんか、やりようがあったとは思うんだよね。

まあ、オトナの事情もあるのかもしれないし、

これは一読者としてのぼやき😊

前置きが長くなりました。

では、課題を。

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言いたいことはいろいろある。

国語を生業とする立場からしたら、日本の伝統色の名称のすばらしさであるとか、そこに散りばめられた古今の文学作品の味わいだとか、そういうものに言及すべきなのだろうとは思う。

にも関わらず。

私の心を奪ったのは、圧倒的な写真の色彩の美しさ。

いったいこれはどこの景色？

改めて「はじめに」を読んでみる。

作者の故郷の「日光」の風景とあった。

日光は、栃木県北部の町。

そして、私は実は栃木県出身者である。

大学進学で東京に出てくるまで、栃木の田舎に暮らしていた。

相互監視の村社会。

息苦しくて、息苦しくて、必死の思いで抜け出してきた。

確かに自然はふんだんにあったかもしれない。

でも。

栃木とは、私にとっては色あせたモノクロの場所でしかなかった。

それなのに。

なんなんだ。この艶やかな世界は。

めくるめく色とりどりの。

心躍るような。

ファインダーで世界を切り取る。

とは、よく言ったもんだと思う。

ここには、そうして意図的に切り取られた、作為的な、でも、果てしなく美しい世界が広がっている。

どんな気持ちなんだろう。

漠然とした田舎のひなびた景色から、

こんなに色鮮やかな世界を切り取り、形作る、って。

私が、この作者と、まったく同じ時間に、まったく同じ場所に立っていたとして、この世界が見えていただろうか。いや、ありえない。

試しに日光に行ってみるといい。

都会に比べれば、なかなか美しい自然が広がっているかもしれない。でも。

これほど色鮮やかな景色は、そうそう転がってない。

この世界は、この人が、カメラで切り取ったことで作られた、一種の仮想空間なんだ。

１つの世界の創造。神の業（わざ）。

写真は、ありのままの景色を写すのではなく、見たい世界を創造するために切り取るものなんだと痛切に感じさせる。

こんな美しい世界を切り取り、生み出した人はどんな気持ちなんだろう。

本を閉じ。めくるめく色の世界の余韻に浸りながら、新たにした思いがある。

私は、これを文字でやりたい。

こんなみずみずしい、鮮やかな世界を、文字だけで出現させられたら、どんな快感がそこにあるんだろう。

一生に一度でいい。そんな瞬間を味わってみたい。

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◆11月の課題◆エッセイ修業