水をドイツ語にすると「das wasser」という。そんな水のように、いろいろ形に変化できるバンドにしたいということで名づけられたのが「DAS:VASSER」だ。
1990年代末から2000年のはじめ、関西のヴィジュアル系バンドシーンは、元La:sadiesのベーシスト・KISAKIが主催するレーベル「Matina」が全盛を誇っていた(その後も「Undercode」と名を変え、様々な有名バンドを輩出していくのだけど)。「DAS:VASSER」もそのレーベルに属していたバンドであった。
僕が「DAS:VASSER」というバンドをはじめて知ったのは、確か「FOOL'S MATE」か「Vicious」といったヴィジュアル系雑誌で、なんだかコテコテそうだなあというイメージしかなかった。ちなみに、中野の「オールディーズ2」のレジ前に、いつもdue'le quartzとのカップリングCD「D」が置かれていたことを今でも覚えている。
それからしばらく経ち、とあるオムニバスアルバムに入っていた「トラウマ」という曲を聴き、衝撃を受ける。
全くコテコテじゃないじゃん!
超絶かっこいいじゃん!
乾いたギターに重なる、不安定な歌声(下手というわけでは…ないです)。ヴィジュアル系の王道からかけ離れた音を減らしてかき鳴らす演奏スタイル。ミディアムテンポのメロディーに乗る絶望的な歌詞。これはとても素晴らしいなあと思い、さっそく「シンクロ」というアルバムを新宿の自主盤倶楽部で購入した。
なんだこれは、って感じで。
パンク、UKロック、その他諸々。
こういうバンド、いたのかと驚いた。どうやらこの「シンクロ」は路線を変更して最初のアルバムであったが、おおむね評価は高かった。今聴くと、演奏や歌の拙さはかなり見え隠れするものの、それでも曲のセンスはかなり抜けているし、とにかく雰囲気作りが上手いなあと思う。今のヴィジュアル系バンドも、こういう曲をぶつけてくるバンドは少ないのではないか。
この「Over」が収録された「Un_dead children」をリリース後、主要メンバー2人が脱退し、その後ほどなく解散してしまったが、今でも節目で再結成してライブしているようである。このバンドで活動していた頃、彼らはまだ20代前半。彼らからしてみれば青春の1ページであるのかも知れないが、その1ページはまぎれもなく多くの人にショックを与えているのだ。