国立劇場の通し狂言「南総里見八犬伝」を見てきました。


初めて見る演目ですニコニコ

曲亭(滝沢)馬琴作、日本文学史上最大の長編小説だそう。室町時代の房総(千葉)を舞台にした物語です。あらすじはネット上にたくさん載っているので、感想だけ書きたいと思います。


はじめ尾上菊之助さんが、房総の大名里見家の娘伏姫と飼犬八房の関係をナレーションで語りました。伏姫が持つ水晶の八つの玉には、仁、義、礼、智、忠、信、孝、悌の文字が刻まれていて、8人の若者(八犬士)のもとに飛び散ります。





序幕

蟇六内では、宝刀村雨丸が二回取り換えられるのが面白かったです。

浜路の中村梅枝さんはしっとりと愛らしく、犬塚信乃の尾上菊之助さんは声がよく、前髪のある若衆。網乾左母二郎の尾上松緑さんはやんちゃな悪人っぽさがぴったりでした。

逃げることを逐電と言うというのが勉強になりました。

 

チャリ場では、木製ドローンが登場して面白かったです爆笑オリンピックのドローン文字のように富士、鷹、なすびでめでたい門松

 

円塚山

犬山道節の尾上菊五郎さんの登場で、今日一番の拍手が起こりました拍手

石段の上り下りや、岩に足を掛けた見得は、足元がおぼつかなく心配になりましたが、貫録や大きさがあるのはさすがですね!


だんまりで八犬士が登場する場面は、壮観でした。このお芝居で一番泣きそうになったのは、犬江鬼兵衛の尾上左近さんと犬飼現八の尾上松緑さん親子の花道七三での見得おねがい左近さん、もう16歳になるそうで、早いなぁ。頑張っていらっしゃいますね拍手

 

二幕目

成氏館では、犬塚信乃の菊之助さんが桃色の着物に水色の裃で瑞々しい。


芳流閣

個人的には、ここが一場面白かったです。まず、浅葱幕の前での大薩摩の演奏は大きな拍手が起こりました拍手


迫力ある立廻りというよりは、様式美のあるおおらかな立廻り。信乃は赤い襦袢に股立ち姿が麗しい。女として育てられた中性的な信乃は菊之助さんにぴったりです。対する力強い松緑さんとの息も合って、2人の見得は華やかでした。


しかし、浜路が殺されてから、女形が出てこないのはちょっと寂しいなぁと思いました。腰元さんとかはいますが。

 




四幕目

馬加館は真っ赤な紅葉に、極彩色の大道具が目に焼き付きます。市川左團次さんの扇谷定正は国崩しの大仇としての大きさがありますね。

女田楽の中村時蔵さんが剣の舞を披露しながら、はりつけになっている犬川荘助(坂東彦三郎さん)の縄を切ります。


大詰

八犬士で扇谷定正をやっつけるのですが、案外あっさりやっつけられてしまいました。八人いたのに、結局やっつけたのは菊之助さんと松緑さんだけ?あれ八犬士の意味は?


八犬士それぞれに因縁があるのはわかりましたが、扇谷定正をやっつけるのにそれぞれがどう貢献したのかはよくわかりませんでした。


個人的には、坂東亀蔵さん(犬川荘助)と、中村萬太郎さん(犬村大角)、尾上左近(犬江親兵衛)さんらの、八犬士としての活躍の場をもっと見たかったです。上演時間の都合で難しいのかなぁ。


また、ナレーションで冒頭に語られた、伏姫と八房の里見家は、最後どうなるのかも気になりました。




坂東楽膳さん、市川團蔵さん、市村萬次郎さん、片岡亀蔵さん、市村橘太郎さんなど役者さんの層が厚く、それぞれに見せ場があって良いですね。これだけの役者をまとめる菊五郎さんのまとめっぷりもすごいと思いました。そして菊之助さんは、菊五郎さんに守られているなぁと感じました。一方で父親のいない松緑さんらのご苦労も感じました。今度同じ座組で、松緑さんや彦三郎さんが主役をやることがあったらぜひ見たいですおねがい


ロビーには役者さんの奥様方がたくさんいて華やかでしたガーベラと同時に男手一つで2人を育て舞台にあげている市川海老蔵さんの大変さも現実味を帯びて感じました。


あと国崩しの中では、最後まで往生際の悪い早雲王子が好きだと改めて気付きました。パワーやエネルギーが爆発していて人間味があるからかなぁ。


この戯作が江戸時代にできたというのはすごいですね!やっぱり歌舞伎は日本の宝が詰まっていて好きだなぁラブラブ歌舞伎をきっかけにこの物語を知れて良かったですニコニコ