名古屋御園座で行われている市川海老蔵特別公演を観てまいりました。

はじめての御園座キラキラ新築ピカピカでとても過ごしやすい劇場でした。

 

 

 

 

一幕目は中村児太郎さんによる舞踊「舞妓の花宴キラキラ起承転結がはっきりして、「京鹿子娘道成寺」を凝縮したような、華やかな舞踊です。

 

舞踊をみるときは、できるだけ詞章(歌詞)を調べるようにしているのですが、この「舞妓の花宴」(別名「男舞」)は、いくらネットで検索しても詞章が見つかりませんぐすん上演回数が少ないからかなはてなマーク

 

私と同じように、「舞妓の花宴の歌詞を知りたいと思っている方がいるかもしれないはてなマーク(いないか!?)ので、このブログでは中村児太郎さんの舞踊の感想を書きつつ、「舞妓の花宴」の詞章全文を記しておこうと思いますニコニコ

 

長唄「舞妓の花宴」

 

暗闇からチョンパで灯りがつくと、吉野山の桜が満開桜

真赤な振袖を着た中村児太郎さんが男装した白拍子姿で格調高く踊ります。

 

〽あの山見さい この山見さい 

雲もうえなき梢の春の 袖を連ねて

ももちもと 盛り久しきためしには 

ちまたにうとう和歌の声

 

満開の桜ガーベラを背景に、赤い振袖、金烏帽子。華やかな舞台で、見る人の心を楽しませてくれますニコニコここで能三拍子(大鼓、小鼓、笛)による能がかりの演奏となりました。

 

次は、町娘の恋心のせつなさを唄ったクドキ。烏帽子づくしの唄に、烏帽子を使った舞となります。

 

中村児太郎さんは、唄の一節ごとに、男装から町娘へ変身ラブラブ金御幣を取り、太刀をはずし、水干を脱ぎ、金烏帽子を取り、ついに赤い振袖の娘姿になったところで「うゎ~」「綺麗~」と客席から喜びの声が漏れました照れ

 

 

 

 

 

 

〽袖を屏風に えぇ憎らしい

恋の手つけと引き寄せて 

顔に照る日のつい溶けかかる

春の氷の紐鏡 胸の思いをうつしてならば

おなご心に偽りなしうち烏帽子

恋して神に誓いを立て烏帽子

今宵忍ぶと待ちあかし 堅気をもち烏帽子

風折に あわぬつらさも 逢う夜半も

恨みつづけて 乱れ鳥

想夫連理の楽しみに ことの葉草の四季のいろ

 

娘の恋心の切なさを踊る部分なので、児太郎さんもすこし悲しそうな、憂いのある、情緒的な踊りでした。ここで児太郎さんはいったん引っ込みます。

 

その間三味線と囃子の見事な掛け合いに大きな拍手が起こりましたルンルン成駒屋さんの舞台なので、演奏の方々は芝翫茶祇園守の紋がついた裃を着ておられます。

 

続いて児太郎さんが早替りで桃色の振袖で登場桜春夏秋冬、四季の移ろいに恋心を重ね合わせた音頭風の踊りになります。

 

〽浮き立つや のゆうべの氏神詣で

恋に願いを八重山吹の 

言わで知れかし文のつて

の月影短か夜は 

やるせないではないかいなサァ

天の川 星の契りのうらやましくも

橋は紅葉のいろ 糸のあや

誰に合図か松風の

の木枯らし人目の関も 

通う千鳥じゃないかいなサァ

唄うすさびの 可愛らし

 

鳴物に柄付太鼓やチャッパが加わり、とても華やかな音楽でしたルンルン児太郎さんのお顔も笑顔で柔らかく、可愛らしかったです。うちわ太鼓を月🌕に見立てたり、天の川🌌に見立てたり、小道具の使い方も効果的でした。

 

 

 

 

最後は、吉野山の桜桜を愛でる踊りになり、肩ぬぎで上は白い着物に変わりました。

 

〽花のながめは吉野山よ 峯もふもとも白妙の

雪かと見れば花の吹雪か 散りかかる 

払わば袖に匂い さんさん桜の香をとめて

とめて美し春衣 それさそれさ 

それうつろういろじゃえ 

八重も一重も乱れ咲き

 

ここは、振り鼓(鈴太鼓)を使ったリズミカルで華やかな踊りです。手数も多く、テンポも早い!児太郎さんが後ろに傾きながら振り鼓をかざす部分は、「おぉ〜」と大きな拍手に包まれました拍手

 

〽君が代は 君が代は

清き流れの未迄も こけむす軒をもてあそぶ

雀はちんちゅうちんちゅうをうたい

舞鶴は一声に齢をのべて

この舞台栄えちゅう久う

千代よろず祝してこそは奏でけれ

 

最後は、桜の花びらが舞い散るなか、華やかな幕切れとなりました桜3月に見た時よりも、全体的に柔らかく滑らかな踊りの印象を受けました照れ

 

たくさん小道具を持ち替え、早替りもあるのですが、後見の中村芝のぶさんと中村福太郎さんとの息もピッタリ。舞踊を盛り立てていました拍手

 

今回、詞章を書いてみることで、唄の内容=踊りの内容に起承転結があり、味わいがはっきり分かれていることに気づきましたニコニコ舞踊ってすべて起承転結に分かれていたのかな?(いま気づいた!

 

また、児太郎さんの踊りの表情や心情も、歌詞と連動していることに、改めて気付くことができましたニコニコ

 

この踊りは「京鹿子娘道成寺」にも似ています。格調高い能がかり→クドキ→花笠・鞨鼓→振り鼓と。「道成寺」をコンパクトに凝縮させたような、華やかで変わり映えのする楽しい舞踊でした。もっと頻繁にこの演目が掛かっても良さそうラブラブ

  

 
 

 

初めての御園座は、とても過ごしやすい劇場でした。御園小町に売っているお弁当お弁当やお惣菜の種類が豊富で、歌舞伎座や新橋演舞場よりも品揃えが良く便利でした。

 

日本各地のお土産カップケーキもたくさん売っています。また、劇場内はトイレがたくさんあり、座席横にはドリンクホルダーまでついていて、機能的でした。

 

 

 

 

 

 

さて、御園座公演も明後日で千穐楽ですね。

無事に千穐楽が迎えられますようにニコニコ

 

 

参考:演劇出版社2004『日本舞踊曲集成−歌舞伎舞踊編』より「男舞」p.291-292。