明けましておめでとうございます
初日の新橋演舞場を昼夜通しで観てきました。
昼の部も夜の部も見所満載海老蔵さんは七変化
鳶頭から、傘売、盗賊、また鳶頭、そして僧都、少女、獅子の精と本当に多くの役柄を深めていらっしゃいます。
昼夜通して観て、改めてその芸の幅広さと質の高さに驚きました。
また、昼夜出づっぱりなので、座頭としての並々ならぬ思い入れと覚悟を感じました。
勸玄君と麗禾ちゃんも立派台詞も所作も多く、立廻りまでします!見得もたくさん切って、こういうのが観たかったーという華やかな舞台でした。
まずは昼の部の感想から。
1. 『義経千本桜 鳥居前』
初めて観ます。
中村獅童さんの佐藤忠信は静御前を守る勇ましさと時々現れる狐の本性が愛らしかったです。
大谷廣松さんの静御前は綺麗✨美しいだけでなく哀れみもあって良かったぁ。立役もなさいますが、やはり女形が本分の役者さんですよね。こういう立派なお姫様役を今後ももっとたくさん観たい
良かったのは逸見藤太の澤村國矢さん。三味線に乗り地の台詞が心地良かったです「静御前」を「騒々しい御前」といったり、半道敵(はんどうがたき)がユニークで笑いました
源義経の大谷友右衛門さんは、持ち前の鷹揚さが主君らしかったです。
弁慶は市川九團次さん、力強く大きいお芝居が良かったです。
なぜ弁慶が義経に怒られているのかわからなかったのですが、同じ源氏だけど鎌倉方の海野と土佐坊を殺したから怒られているのですね。源頼朝への謀反の疑いがいよいよ避けられなくなってしまったから。
この続きの『吉野山』は観たことがあるので、どうやって初音の鼓が静御前に下賜されたか、また着背長(きせなが=鎧)と源九郎という名前が佐藤忠信に下賜されたかが分かって興味深かったです。
歌舞伎らしい派手な衣装と隈取り、見得でお正月らしくて華やかに楽しめました
2.『極付 幡隨長兵衛』
これも初めて見ます。
序幕 村山座「公平法問諍」
序幕の劇中劇は面白いですね!坂田公平の子孫だという人が現れた時の役者さんの慌てっぷりが可愛かったです。
特に片岡松之助さん本当に「しまったぁ~」という気の毒な顔して、襖に張り付く後ろ姿がお茶目
観客に扮してたくさんの役者さんが客席から登場します。
市川海老蔵さんがすぐ近くを通ったのでドキドキ
片岡市蔵さんの「じゃあどこから始めましょうか」というやりとりも可笑しくて笑いました。市蔵さん、本当に芸達者な役者さんで大好きです
二幕目
堀越勸玄君が花道から市川男女蔵さんに背負われて登場「歩いて行こうか、負ぶさってやろうか」というような台詞を、花道七三で大きな声で元気いっぱい言います。立派~
家の中に入ってからも役者の真似をして「つがもねぇ~」と立派に見得を切ります
小さいけれど大きな華があって、光る玉みたいな存在です(光る君ってこんな感じなのかな?)。
鳶頭としての海老蔵さんは、水野邸に討たれに行くことを覚悟し、妻子を案じたり、町奴と旗本奴の諍いを憂える表情がカッコ良かったです。
水野邸へいくという長兵衛(海老蔵さん)に、「おとっつぁんの代わりに行ってやろう」という長松(勸玄君)はなんともいじらしかった
勸玄君は難しい感情表現も豊か。明るく良く通る声で、難しい間に動きもたくさんあるのに、すべて上手でした。
長兵衛と長松の今生の別れは泣けます。「おとっつぁんと分かれるのはおいらは一番つらいから、行かずに下さいまし」という勸玄君の台詞は涙を誘いますまた、家の中から飛び出してきて「おとっつぁん、早く帰っておくれよ」と海老蔵さんの袖を引っ張る勸玄君の台詞が心に残ります
三幕目
湯殿で討たれる長兵衛(海老蔵さん)は壮絶でした。髪を乱し町奴の面目のために自ら討たれる。その大きさ潔さを敵も褒めるのですが、「早く帰っておくれよ」という勸玄君の台詞が思い出されて泣けてきます
町奴としての粋やプライドと、家族の情愛に挟まれた鳶頭の生き様を海老蔵さんが見事に演じていました。
Thunderpartyに素晴らしい演目解説が載っていてありがたいです!
*「」内は正確な台詞ではありません。
3.『三升曲輪傘売』
3年前に京都顔見世で見ました。
暗いところから、チョパで明かりが付くと、場所は吉原仲之町。舞台中央に桜の木があってとても華やかです
やはり最後に、白塗りの海老蔵さんの所作事で追い出されるのは大満足です
片岡市蔵さん、市川九團次さん、大谷廣松さん、市川男寅さんらの男伊達に、市坂東玉朗さん、市川右若さん、市川蔦之助さん、市川福太郎さんらの新造が踊りを見せてくれます。
傘売に扮した市川海老蔵さんは、体の色々なところから傘が出る手妻(てづま=手品)を披露し、客席からわぁーっと歓声が上がります
最後は石川五右衛門の正体を現し、軽快な立ち廻り。
頭巾を取った衣装と、弾き茶筅がカッコいいです。
もっと観ていたかった!
最後は手拭い撒きもあり、大満足のうちに幕となりました
そういえば、テレビカメラが10台ぐらい来ていました。
どこかのテレビで舞台映像が放送されるかもしれませんね。
あと客席には小林麻央さんのウェディング・ドレスをデザインされた世界的有名デザイナーさんのお姿がありました。
昼の部も良かったですが、もちろん夜の部もすっごく良かったです
麗禾ちゃんと勸玄君はセリフも所作も完璧に勤め上げ、海老蔵さんの俊寛には涙しました。
春興鏡獅子は前シテ後シテともに完成度が高く、さすがお家芸と感服しました
まとめて書きたかったのですが無理でした。
日を改めて記します
(1月5日写真と文章を追記)