先日、2度目の夜の部『源氏物語』を観に行ってきました。

 



今月の客席は、男性も女性も若い方が多いですねニコニコお子さんも。いつもの歌舞伎座より平均年齢が20歳ぐらい若いように思います。

この「源氏物語」は、市川團十郎を継ぐものとして、歌舞伎に新しい風を吹き込もうと果敢に挑戦しているのが伝わってきます。「GQ」のインタビューに書いてあったことが印象的です。

 

 


「歌舞伎を世界に通用するものにしたい」と。一般的に伝統芸能に携わり、さらに江戸歌舞伎の総本山成田屋の当主であると、保守的になりがちだと思います。ですが海老蔵さんは違う。正統でありつつ革新的でもありますね。

皆さん書かれていますが、今回の源氏物語は父と子の物語ですね。これまで見た源氏物語はいつも海老蔵さんが光源氏と重なりました。でも今回はじめて桐壺帝が海老蔵さんと重なりました。愛する桐壺更衣を亡くし、桐壺更衣と瓜二つの子供を溺愛する姿が・・・。

 

海老蔵さんと勸玄君だけではなく、その背後には團十郎さんの海老蔵さんに対する大きな愛を感じます。父が亡くなった後で、昔は理不尽と思っていたことが実は大きな愛だとわかるところなど・・・。

 



この日も勸玄君は素晴らしかったですラブ初日に観た時よりも一つ一つのセリフをゆっくりはっきり話していました。海老蔵さんのブログに、オペラの歌と歌の間に花道七三に移動してセリフを言う、難しいシーンが載っていました。きちんと摺り足で舞台上を歩き、歌を聞いてセリフを言っていました。

また、須磨へ行く光源氏と春宮(勸玄君)の別れでは、海老蔵さんが勸玄君を熱く抱擁していました。初日にはなかったような気がします。

海老蔵さんは、何度も衣装替えしますが、私が一番好きなのは「花宴(はなのえん)」の場面です。ここは光源氏の「光」のシーン。花道から登場すると、「はぁ~」「きれい~」というため息が客席に溢れましたドキドキこのとき光源氏20歳の春。美男の魅力満開です。舞を舞う光源氏の美しいこときらきらきら~♪

 


この作品は音楽も大変すばらしいですね音譜最近の新作歌舞伎では録音の音楽を使ったものがあり私は好みでないのですが、海老蔵さんの新作歌舞伎は生演奏にこだわっているので嬉しいです。オペラと竹本、長唄、能の地謡、下座音楽などをかみ手・しも手から一度に味わうことができ大変贅沢ですきらきらきら~♪私はその中でも、オペラと鼓の合奏が華やかだった«Vi ricorda, o boschi ombrosi»という曲が頭に残っています(Youtubeにリンクを貼っています)。

 

あとフチフチフッチ・・・音譜というフレーズが印象的なこちらの曲も。"Fuggi, fuggi, fuggi"

何度も聞いてしまいます。

 

彌勒忠史さんのFacebookには、今回「源氏物語」で歌われた全オペラの曲名と日本語の歌詞が載っています。

オペラの音楽に合わせて女官が舞う場面などを見ると、芸術に枠はないことを改めて感じました。この世に存在する様々な固定観念や枠組み、カテゴリーを覆してくれる試みと思います。あなたも、既存の枠組みにとらわれて、鵜呑みにしていいの?と疑問を投げかけられた気がします。
 

 

能の地謡では、亀井忠雄親子四人の共演も見どころですね。亀井忠雄さんは能楽師の人間国宝。長男が能楽師の亀井広忠さん、次男が歌舞伎囃子方の田中傳左衛門さん、三男が歌舞伎囃子方の田中傳次郎さん。

ただ単に能と歌舞伎の組み合わせているのではなく、「葵上」「須磨源氏」など元々能にある演目を取り入れているから効果的です。

七代目團十郎は、能の演目をなんとか歌舞伎に入れたいと苦労したそうです。海老蔵さんの頭の中には七代目團十郎や九代目團十郎の思いが生きながらえているのでしょうか。



紫式部役の市村萬次郎さんは、夜の部も昼の部も独特の存在感でよかったぁ。
六条御息所の中村雀右衛門さんも。セリフは少ないのですが、源氏と葵の上に対する嫉妬、悲しさ、悔しさを、表情や佇まいで十分に表現していました。

そして、今回も宙乗りをしながらの海老蔵さんの荒事の所作は迫力満点ビックリマークビックリマーク宙乗りであんな激しい荒事の所作と見得を観たことありません!次の幕間では、みなさん口々に「凄かったわねー」と言い合っていたのが印象に残っています。

大詰は、若手の御曹司たちの踊りが華やかでした。市村竹松さん、大谷廣松さん、市川男寅さん、中村鷹之資さん、中村玉太郎さんなど。そのなかでもやはり中村鷹之資さんの踊りに目が行きました。村人たちの総踊りでは、市川福太郎君(村の男)と福之助君(村の女)兄弟に釘付けに照れ

 



2016年から海老蔵さんの3つの源氏物語を観てきました。どれも光と闇の「闇」の部分にフォーカスした作品です。今度はぜひ光の君の「光」に着目した作品も見たいなぁ。じ~っくり観たいのは「花宴(はなのえん)」。頭中将との連れ舞が観たい音譜今回であれば海老蔵さんと坂東亀蔵さんと連れ舞が見たかったドキドキ(配役的に無理ですが)。これからももっと海老蔵さんと坂東亀蔵さんの共演を観たいですニコニコ

2000年の源氏物語では海老蔵さんと尾上松録さんが「花宴」の連れ舞をしたそうですね。あぁ、なぜその時歌舞伎の魅力に気づいていなかったのか・・・。当時、国語の先生の勧めでクラスの女子皆んなで「あさきゆめみし」(源氏物語のマンガ)全巻を回し読みしていたのに。残念ながら歌舞伎座で市川新之助さんの「源氏物語」が発売当日に完売になる盛況ぶりだったということはつゆ知らずでした・・・。

千穐楽は大変盛り上がるでしょうね、私は観に行けないのですが、皆さんのブログを拝見し、お福分けを頂こうと思います。