團菊祭五月大歌舞伎昼の部の千穐楽を観てきました。

 

満員御礼の客席は熱気に包まれていましたキラキラ
2週間前に観た時と比べて随所随所にさらに芸の磨きが掛って大変素晴らしかったです。
観れば観るほど感じ方が違って、歌舞伎って面白いですね。どの幕も選べないほど全幕晴らしかったです。以下では、前回見た時には感じなかったことを中心に書きたいと思います。

 



前回は、特に鳴神上人の怒りに感動して涙したのですが、今回は早雲王子の精魂尽きるまでの全身全霊の闘いに感動しました。この二人はどちらも怒りや恨みのエネルギーを持っているのですが、市川海老蔵さんの発する荒事の怒りエネルギーは、ドロドロしていなくてとても清らかです。そして、怒りのエネルギーの発散を受けてでさえ、観る者は心を浄化されることを知りました。

毛抜の粂寺弾正は、前回よりもさらにカラっとした明るさで、陽気さがハッキリ出て、歌舞伎座全体を支配するより大きな粂寺弾正でした太陽今までいろいろな方の毛抜を観ましたが、今日観た毛抜が一番良かったです!怖さと陽気さのバランス、重さと軽さを出したり引っ込めたりするのが絶妙でした。

鳴神上人は、前回観た時は神聖さを強く感じたのですが、今日は神聖さに凄味が加わって、畏れ多くて怖い上人でした。そして同時に赤子のような心を持つ人。

 



今日一番感動したのは大詰の早雲王子です。あの、恨みを持った冷たく挑発的な視線、かっこいいですね。そして、その恨みのエネルギーも、きちんと筋の通ったまっすぐなエネルギー。自分の信念を突き通し、精魂尽きるまで何十人もを相手にたった一人で戦い切る姿には、潔さ、清らかさ、純粋さを感じました。あぁ、この人は本当は悪い人ではなかったのに、運命のいたずらによって、不運の道を仕向けられたのだなとえーん

そうした人の世の運命を全て支配するのは、もちろん朝廷でも天皇でもなく仏の世界。不動明王です。死後、さまよい続ける鳴神上人の魂も、最後まで悪あがきをやめなかった早雲王子も、すべて不動明王の力によって成仏させられます。

荒事や勧善懲悪は、限られた役でしか表せないのではなくて、どんな人物や役柄でも見せることができる。このお芝居からは、そんな無限の可能性を感じましたビックリマークその可能性に挑む資質を備えているのが海老蔵さんなのでしょう。

尾上菊之助さんの雲の絶間姫の仕方話にも引き込まれました。やはりこの2人の息の合った共演は嬉しいですラブラブいつか坂東玉三郎さんの雲の絶間姫も観たいです。鳴神上人を堕落させたことに対する「畏れ多く勿体ない」という感情。そして勅諚でやらざるを得なかった心の葛藤をどのように見せてくれるのか気になりました。

尾上松也さんは、相変わらず声が良かったです。あと、今回大奮闘だったのはやはり片岡市蔵さんですね。こういう芸達者な役者さん、次世代では誰かいるのでしょうか。

『雷神不動北山櫻』、良い席で見てよかったです。いつもは3階席で見ることも多いのですが、これからも観たいものは迷わず良い席で見ようと思います。素晴らしいお芝居を見せてくれた役者さんたちに感謝です。

さて、明日は楽しみにしていた成田屋さんの懇親会音譜去年は仕事で出られなかったので、今年は出席でき嬉しいですニコニコ