六本木歌舞伎第2弾「座頭市」観てきましたビックリマークいやー面白かったですニコニコ
 
平日の昼間に観たのですが、満員の客席でした。
 
この作品は「かぶく」という歌舞伎の根本、最初に戻る試みなのかな、と感じました。市川海老蔵さんは、鬘なし、化粧なしのほぼ素の姿で登場します。衣装や鬘、化粧、目力で表現される様々な歌舞伎っぽい要素を削ぎ落した極めてシンプルな姿。つまり自分の身体と「かぶく」という魂だけで歌舞伎を見せてくれたのかなと思いました。
 
今伝統と言われているのは戦後70年の歌舞伎だそうで、100年前や200年前、さらには出雲のお国という女性がかぶき踊りを創始したときは違う形だった。その古い部分を残していきたい、という筋書にある海老蔵さんの言葉が印象的でした。寺島しのぶさんが出演されるのも納得です。この六本木歌舞伎は、新しいことをやっているようで、実は一番古いことをやっているというのが目から鱗でした。なるほどー。
 
 
座頭というのは江戸時代の盲目の人の階級の一つで、鍼灸や按摩をなりわいとしていた人たち。市という名の海老蔵さんは、目をつむっていても凄いオーラキラキラいつもの力強さや迫力に加えて、今回は心の闇、優しさ、包容力や余裕のようなものを感じました。(先日の海老蔵さんのブログに書いてあった「デカく生きる」とはこういうことなのかな?http://ameblo.jp/ebizo-ichikawa/entry-12245714719.html) 
 
寺島しのぶさんのおすずの姿は健気で、薄霧太夫は妖艶な美しさがありました。先日観た『梅ごよみ』尾上菊之助さんとは違った美しさ。写真で見る、痩せている頃の菊五郎さんの顔にちょっと似ているのかしらはてな引き抜きや何度もある早替りも、涼しい顔をしてやりのけていました。
 
女形さんではない生身の女性を相手にした濡れ場は、生々しくなったら嫌だなーと思っていたのですが、笑い起こるほどはっちゃけていて安心しました。真下に長唄連中が登場し、視線が2人に集中しないのも良かったかも。
 
風賀清志郎役の市川右團次さんは安定の猛々しさがありました。大きく力強い海老蔵さんの仇役として勤まるのは、右團次さんしかいない!2人の大詰めの立廻り(立師は市川新十郎さん)は大迫力でしたキラキラ市川右之助さんは、なんとオカマの役。お化粧も衣装も斬新です。おすずを怒鳴るドスの効いた声に、右之助さんってこんな声が出るんだーって驚きました。そのギャップが面白かったですニコニコ
 
 
海老蔵さんの新作歌舞伎は、音響を使わずに、下座音楽の魅力を伝えてくれるところが好きですおんぷ今回は長唄と竹本、津軽三味線が使われていて、太鼓や尺八の演奏もありました。義太夫は現代語なので読み聞かせを聞いているように聞き心地良かったです。これまでイヤホンガイドに頼る分、そもそも義太夫を聞こうとしていなかったことを反省しました。鉄砲の銃声音を、音響を使わずにあえて浄瑠璃で表現するセンスはさすが!(「あらしのよるに」は砲弾音が音響で残念だった)今回は、竹本三味線方の鶴澤慎治さんが大活躍!御簾内から出てきて舞台を歩き、海老蔵さんとライブのセッションのようなラップ演奏を繰り広げます三味線三味線ってこんな音が出るんだー!と単純に感動しましたキラキラ普通の歌舞伎だったらこんな楽しいことはあり得ない。
 
また、海老蔵さんの企画公演では歌舞伎座で見る機会の少ないお弟子さんたちが活躍するところも好きです。これまであまり知らなかった役者さんの魅力に気付くので。今回は市川右若さん、坂東玉朗さん、大谷明三郎さんの芸者衆トリオに魅了されましたおねがい石川五右衛門のときのだんご三兄弟(市川猿弥さん、市川弘太郎さん、大谷廣松さん)みたい。特に市川右若さん!芸者衆のリーダーとして客席でも舞台上でも観客を引き付けていました。芸者踊りの所作や薄霧太夫の後ろに控えているときのちょっとした仕草も美しかった照れ立役では賭場で海老蔵さんの隣にいた伝助役の片岡千次郎さん。片肌脱いだ体ががっしりしていてカッコよかったです。右若さん、玉朗さん、明三郎さん、千次郎さんと、これから注目したいです。
 
 
個人的には、海老蔵さんのブログによく登場する三福くん(市川福太郎さん、市川福之助さん、市川福丸さん)が揃って見られたのも嬉しかったです。可愛らしい子役さんたちで応援しています音譜私が前回福太郎さんを観たのは7月『柳影澤蛍火』の小坊主、福之助さんも7月『景清』の人丸、福丸さんは昨年1月の『弁天小僧』の丁稚でした。今回、福太郎さんは芸者、福之助さんは禿、福丸さんは丁稚姿を見せてくれます!特に福太郎さんは幕開き、和風と現代風がミックスした踊りがお上手でした。

お芝居の所々には時代風刺やトレンド情報が散りばめられており、江戸時代の歌舞伎もこうして政治ニュースや芸能情報、さらには最新ファッションをチェックする場だったのかな?と思いました。そうそう、お衣装もかなり凝ったものなんです。蛍光色の厚底サンダルやチュールがあしらわれてた着物だったり。楽しかったのは、客席を歩く海老蔵さんのお客さんとの会話。こういう何が起こるかわからない「遊び」の部分があるのは楽しいです音譜そして客席のどんな言葉も即座に面白く切り返す海老蔵さん。頭の回転速っ!
 
 
今回すごかったのは幕間に出演者さんが舞台から飛び出して客席やフロアーを普通に歩いているんですね!市川新十郎さん、市川新次さん、三福君ら、上記芸者トリオ、他にも他にも大勢の役者さんが客席に来てくださいました。エスカレーターに乗る亀(市川新八さん)はシュールでした笑その中でも特に人だかりができていたのがダンディーな片岡市蔵さんと大谷廣松さん。六樽組親分権三の片岡市蔵さんは大勢の組員を引き連れて、まさに舞台から飛び出してきたよう。大谷廣松さんは近くで見るとふくよかで、ひと際美しかったです。舞台では、廓の二階に佇んでいるだけで色気がありました。
 
楽しいだけでなく、お芝居の所々で発せられる市の言葉は心に突き刺さりました。市とトメの信頼感や守り合う絆の強さは、幼馴染で信頼しあうお二人の姿に重なりました。
 
余談ですが、海老蔵さんとしのぶさん、そして菊之助さんの小さいころのエピソードが筋書にたくさん書かれていて楽しく読ませていただきましたラブ興味深かったのは、しのぶさんが見た小さい頃の海老蔵さんと菊之助さんの遊び方の違い。そのままお二人の芸風の違いに現れているのかなはてな海老蔵さんと菊之助さんの美男美女カップルは5月歌舞伎座の『吉野山』で共演するので楽しみですドキドキ
 
私が海老蔵さんの歌舞伎に魅了されるのは邪心のない無垢なエネルギーを感じるところ。様々な雑音が存在する現代社会で、心の無垢さや純粋さを持ち続けるのは大変でしょう。幼いころから海老蔵さんの根本にある純粋さを知り、そこに頼っている姿がしのぶさんのブログやインタビュー、筋書に溢れていて嬉しいです。
 
 
取り留めもなく書いてしまいましたが、やはり歌舞伎は現代を生きる大衆演劇である!ということを感じた舞台でした。私のような初心者でもすごく楽しめたのでおススメですニコニコ
 
出演者の方々のブログを拝見していると、毎日少しずつ演出の変更があるようです。千秋楽までにどんどん進化していくでしょう。みなさんの感想を読ませていただくのが楽しみです音譜できることなら、もう一度観たいのですが、もうチケットは完売なんですね~しょぼん
 
私の2月の観劇は、先日観た歌舞伎座夜の部と、この座頭市のみ。次回は3月歌舞伎座ビックリマークもちろん目当ては海老蔵さんの『助六』キラキラ演目が発表された時からず~っと楽しみにしていましたラブ花道の出端をたっぷり観たいので今回は1階席を取りました。
 
 
先日配役の追加発表もありましたね。新たに坂東巳之助さんの福山かつぎや中村梅枝さんの白玉などが追加発表されました。他にもそうそうたる出演者で豪華ですキラキラ昼の部の片岡仁左衛門さんの知盛や、舞踊どんつくも楽しみです。本当は初日開いてすぐに観たかったのですが、どうしてもスケジュールが合わず3月下旬まで観に行くことができません。ですが下旬には2回『助六』を観る予定です音譜それまではみなさんの感想を読ませていただき楽しもうと思いますニコニコ
 
 
 
ちなみに筋書の一番最後に今年のABKAIの案内が出ていました音譜
 
 
今年は1月~7月まで毎月海老蔵さんの歌舞伎を観られそうで嬉しいです。こんなに毎月歌舞伎を観に行くようになるなんて・・・。歌舞伎を知る前の自分だったら考えられない生活です。