痛みをこらえながら、ベッドごとエレベーターに乗って分娩室のある病棟に連れていかれた。

 

分娩室に空きがなかったらしく、急遽別の部屋を使うことになった。

 

助産院でのゆったりとしたスペースの部屋の半分ぐらいの大きさだった。

 

急についてくれていた助産婦2人の他、医師やコンサルタント(シニア医師)数名駆けつけて何やら準備(?)をしている様だった。

 

女性の医師が逆子だと判明してから云々と説明をしてくれたが、痛すぎてどうでもいいから帝王切開で早く終わらせてくれ~としか頭になかった。

 

しかし、「もう赤ちゃんの体がだいぶ下に下がっていて、おしりも出てきてるから帝王切開はできません。このまま自然分娩で行きましょう。」と医師。

 

ええーなんで!っていうかこのまま産めそうな気がないんだけど。。。と頭で思いながら、「はい。わかりました。」と完全にあきらめるしかなかった私。


この尋常ではない痛みは、あとどれくらい続くのだろうかと考えていた。

 

私の横では、助産婦さんたち、エコーで赤ちゃんの位置を確かめる人、横でなにやら機械をセットアップしている医師、その他いろんな人がモニタリングをしている様だった。

 

この段階では何も痛み止めもなくそのまま陣痛に合わせていきむだけだった。

 

どうでもいいから早く出てこいーと思いながら頑張っていきんでいた。

 

なにかするっと出てきたなと見てみたら一直線になっている真っ白なおしりと足、全く動いてない。が、心拍は確認できていた。

 

あまりにも大変過ぎて、額に汗がにじむ。。。陣痛の合間にものすごい眠気に襲われて20秒ほどバタッと眠ってしまった。

 

「頑張って~!もう少しよ~!よくできてるわよ~。」と声かけがあった。


いきんで、少しばたっと寝ての繰り返しを何度か続けた。


どうやら頭がなかなか出てこないらしい。エコーで確認すると何やら頭が大きいらしい。


Forcepsと呼ばれる大きい丸みがかったピンセットみたいなものまで出てきた。後で調べたら日本語では鉗子というらしい。


こ、これが入るの??とビックリしたが、やはり入らず、先生使うのを断念。


最後は、助産婦さんと女性の先生の手であそこを思いっきり四方に引っ張られながら、会陰切開もし、イメージ的には先生が手をズブッと突っ込んで引っ掛かっていた頭をくるっと回してビューンと引っ張ってやっと息子誕生!!!


  You're a superwoman!! と何度も先生に誉められる(笑)。


そして、普通なら数分は切らないはずのヘソの緒を瞬時にきられて、赤ちゃんは他の先生たちが待機していた部屋の角に移動となった。


いろんな機械に囲まれて、先生たちが慌ただしく何か処置をしているようだった。


でも何をしているかはベッドの上からは全く見えない。


痛み止等一切もらっていないのだが、出産直後でなんだか頭がぼんやりとして何も考えられない状態だった。


でも赤ちゃんの鳴き声がしない。


「赤ちゃん大丈夫?」と横で私の手を握っている彼に問いかけた。何か大変そうなムードが先生たちがいる方から感じられるが、頭がぼんやりして何も聞こえない。


「赤ちゃんは大丈夫。心配しないで。心臓もずっと動いてるから大丈夫だよ。ただ検査してるだけ。」といった彼だけどすごく心配そうな顔をしてたのを覚えている。


この間に、胎盤を出すのを促進させる注射をしてもらいそのまますぐに胎盤も出てきた。その後、切開した部分を縫ってもらった。何ヵ所も縫われている気がしたが、彼がいうには2重3重と同じ部分を重ねて縫っているようだった。


赤ちゃんどうなってるかな~早く会いたいな~とぼんやり考えていたが、体がボロボロで頭がぼんやりしていて何もしゃべれないし動けない状態だった。


これは後から彼が教えてくれたのだが、この時点で赤ちゃんの呼吸は生まれてからずっと止まっていたらしい。先生たちは2人係で人工呼吸をしてくれていたらしい。


今から思うと、ある意味その時に事の深刻さに気づいてなくてよかった気がする。