※無断転載を禁止します。

 

 

第1、時間割等

割振り: 10月28日(日) 午後 8番 民事実務 

試験時間: 15時20分~15時40分丁度

 

 

第2、再現答案

※書式についてはまどかさんのブログを参考にさせて頂きました。

 

ニキ→俺

内心→俺の内心

主査→主査

副査→副査

 

ニキ: 失礼いたします。○室8番です。よろしくお願いいたします。

 

主査: はい。それでは座ってください。

 

内心: (おっ、主査は満面の笑みやな。副査はやる気なさそうやな。)

 

ニキ: はい。失礼いたします。

 

主査: (満面の笑みで)今から事例をいいますので、パネルを読みながら聞いて下さいね。あまり緊張しないでね。みんな緊張しちゃうんだよ。

 

ニキ: はい。

 

内心: (単純な事例でよろ!)

 

主査: ─パネル表の読み上げ─

(パネル表)

 

 

      A

 

 

 

      X  ───→  Y

 

 

 

 

Xは、父親のAが死亡して、本件土地を相続した。なお、登記名義はAのままである。本件土地にはYの建築資材が置いてあり、Xはこれを除去したいと考えている。

(実際はもっと事実があった)

 

 

本件土地(登記名義人はA)

 

 

内心: (ふむふむ、相続きたな。これは問研、類型別しかやってない受験生に差をつけられそうだ。)

 

主査: あなたはXの代理人Pです。訴状に記載する請求の趣旨を教えて下さい。

 

ニキ: はい、被告は原告に対して本件土地を明け渡せ、です。

 

内心: (落ち着いてゆっくり大声で話そう。次は訴訟物かな?)

 

主査: うん。訴訟物は?

 

ニキ: はい、所有権に基づく返還請求権としての土地明渡請求権です。

 

内心: (さっきから副査は肘ついて下向きっぱなしだな。寝てんのかな。)

 

主査: 請求原因を教えてくれるかな?一般的なもので構わないから。

 

ニキ: はい。原告の土地の所有、被告の土地の現占有、です。

 

内心: (問研レベルの簡単な質問が続いてるな。)

 

主査: うん、そうだよね。それでは、ちょっと事例が進むよ。XがYに訴えを提起しました。その後、Yが死亡しました。なお、Yには、訴訟代理人がいなかったものとします。Pは何をすべきですか?

 

ニキ: ?…当事者承継します。

 

内心: (微動だにしなかった副査が、馬鹿にした感じで笑った!アカンのか?)

 

主査: いや、どういう手段を講じるかだよ?このままでいいの?

 

ニキ: …駄目だと思います。

 

内心: (メダパニなう。)

 

主査: じゃ、どうするの?

 

ニキ: 被告の相続人を被告にする手続きをとります。

 

内心: (用語が分からん…)

 

主査: それをなんていうか分かる?

 

ニキ: すみません、失念しました…

 

内心: (いじめないで。)

 

主査: じゃあ、Yが死んだら訴訟はどういう状態になる?

 

ニキ: 中断します!

 

内心: (おっ、主査の笑顔が戻った。)

 

主査: 条文はわかる?

 

ニキ: 124条1項です!

 

内心: (主査嬉しそう。)

 

主査: その付近を読んでみて。六法使っていいから。

 

ニキ: はい。(10秒経過)あっ、受継の申立てをします!

 

内心: (完全に誘導頼みの回答。時間くってもた…)

 

主査: うん、そうだね。では、六法を閉じて、パネルを裏返して下さい。事例をいうので、読みながら聞いて下さい。─パネル裏の読み上げ─

(パネル裏)

 

Yは、旧知の仲であるAから本件土地を10万円で購入した。売買契約書は作成されていない。以降20年以上、Yは、建築資材置き場として使用している。また、本件土地は山間部にあり、この地域では登記を移転しないことはよくあることである。固定資産税は支払われていないが、安価であるため、支払は不要となっている。

(実際はもっと事実があった)

 

 

 

内心: (うーむ、取得時効の単純な典型事例だな。)

 

主査: 今度は、あなたはYの代理人Qです。Qはどんな抗弁を主張しますか?

 

ニキ: 所有権喪失の抗弁を主張します。

 

主査: 所有権喪失の抗弁にもいろんな種類があるよ?本件では何?

 

ニキ: あ、はい。売買契約を原因とする所有権喪失の抗弁です。

 

内心: (不特定すぎた…)

 

主査: 他にはある?

 

ニキ: はい。取得時効を原因とする所有権喪失の抗弁も考えられます。

 

内心: (副査は寝てないで仕事しろ。)

 

主査: そうだよね。取得時効の抗弁を言ってみて下さい。

 

ニキ: はい。ある時点の占有と、20年後の占有、時効援用の意思表示です。

 

主査: 20年後って?

 

ニキ: 失礼しました。20年経過時点の占有です。

 

内心: (しまった、不正確だった。緊張しているのか。)

 

主査: うん。では、売買契約に話に戻るね。Qは、AY間の売買契約を立証したいのですが、どのように立証しますか?売買契約書はありません。

 

内心: (うーわ立証方法きた。苦手やねんな。)

 

ニキ: 立証…ですもんね…(15秒間の黙秘権モード!)

あっ、預金通帳に10万円の移動の記録があるかどうかを確認して、それを間接証拠とします。

 

主査: そうだね、それもあるね。もっと簡単なのないかな?

 

ニキ: うーん。(ブツブツ独り言モード)

 

内心: (契約書ないしなー。なんやろう…)

 

主査: Yは、10万円で買ったんだよね?

 

ニキ: あっ!領収書があります!

 

内心: (ナイス誘導!これが即答できなかったのはマズイ…挽回せねば…)

 

主査: うん。じゃあ、Xの請求の認容判決がされました。Yは土地からどこうとしません。執行文が付与されました。その後、Pはどのような手続きをとりますか?

 

ニキ: 強制執行の申立てをします。

 

内心: (うーわ、ほぼ一夜漬けの執行法きた最悪や…せめて保全法にしてくれ…)

 

主査: うん。どこに申し立てるの?

 

内心: (知らんよ。)

 

ニキ: 受訴裁判所に申し立てます…か?

 

主査: 私が聞いてるんだけど(笑)。受訴裁判所でいいの?

 

内心: (ミスったっぽい。副査による馬鹿にした笑い発動!)

 

ニキ: あっ、いえ、不動産の所在地に申し立てます。

 

内心: (受訴裁判所じゃなかったら、不動産所在地しかないやろ。)

 

主査: 所在地を…?(満面の笑みで前のめり)

 

ニキ: 所在地を…管轄する…裁判所です。

 

内心: (答え言われてるのに等しいだろこれww)

 

主査: あっはっは、そうだよね(笑)。

 

ニキ: はい…

 

内心: (また誘導に助けられた…てか、この主査は受験生で遊んでるよな。)

 

主査: 次は、さっき言ってくれた取得時効の話に戻ります。取得時効の抗弁に対して、どのような再抗弁がありますか?一般的なもので構いません。

 

内心: (色々あるけど、どこまで言えばいいねん。)

 

ニキ: 時効の中断……他主占有権原、他主占有事情…

 

主査: (遮って)うん、そうだよね。他主占有権原と他主占有事情は、どの要件の話なの?

 

ニキ: 162条1項の所有の意思の要件の話です。

 

内心: (186条1項の質問がしたいのかな?)

 

主査: そうだね。ちなみになんで抗弁じゃなくて、再抗弁なの?

 

ニキ: 186条1項によって所有の意思が推定されるからです。

 

内心: (キタ!おっ、嬉しそうな笑顔。)

 

主査: うん。じゃあ、一般的な話から本件の話に戻って、本件では再抗弁として何が考えられるかな?

 

ニキ: 他主占有事情の再抗弁です。

 

主査: 他主占有権原は主張しないの?

 

ニキ: はい。しません。

 

主査: どうして?

 

ニキ: AY間では売買契約が締結されており、他主占有権原の該当事実が存在しないからです。

 

内心: (この後、どうせ判断方法聞いてくるんだろう?)

 

主査: じゃあ、例えばYが内心では自分の土地じゃないって思っていたとしても、他主占有権原は否定されるの?

 

内心: (ホラキタ。)

 

ニキ: はい。否定されます。

 

主査: どうして?

 

ニキ: 確か…判例からすると、所有の意思は、内心の如何を問わず、権原の性質によって客観的に判断されるからです。

 

内心: (集合室で読んでた判例出たよ。長時間待たされてみるもんやな。)

 

主査: そうだね。

 

内心: (そうです。)

 

ニキ: はい。

 

主査: じゃあ、他主占有事情として、Pとしては、どういった主張が考えられますか?

 

内心: (パネルから事実を探すしかない。)

 

ニキ: はい。えーと、Yに登記が移転されていないことが考えられます。

 

主査: そうだよね。じゃあ、Qはどうやって反論しますか。

 

内心: (探せ。探すのだ。)

 

ニキ: はい…AとYが旧知の仲であったため、登記を移転しなかったと反論します。

 

主査: それをどうやって立証しますか?

 

ニキ: うーん…(沈黙モード発動!)

 

内心: (分からん…)

 

主査: AとYに共通の知人とかいるよね。

 

ニキ: はい!その知人を証人とします。

 

内心: (あー答え言われちゃったよ。)

 

主査: (早口で)他には?

 

ニキ: 中庭?すみません、もう一度お願いします。

 

内心: (主査の声が小さく、かつ、早口になってるぞ。ちゃんと質問聞いてない奴と思われたら嫌やな。)

 

主査: (笑顔で)他には?

 

ニキ: 本件土地が所在する地域では、山間部であり、登記を移転しないことが珍しくないと反論します。

 

内心: (まだやるのか…)

 

主査: じゃあ、それをどうやって立証したらいい?

 

ニキ: うーん。(黙秘権モード発動!)

不動産屋にききます。

 

内心: (俺のガラスのハートは限界だぜ…)

 

主査: (笑顔で)まあそれもあるね。地域の慣習に一番詳しいのは?

 

ニキ: あっ、住民です。

 

内心: (早く楽にしてくれ…)

 

※この後、固定資産税が誰にかかるかとか値段だどうとか民法の質問を超えた謎の講義が始まり、混乱。原告側・被告側のどっちのことを言ってるのか分からなくなり、とりあえず、はい。と言っておいた。

 

主査: 以上です。何かありますか?

 

副査: いえ。

 

主査: では、終わります。パネルを表に戻してください。

 

ニキ: はい。ありがとうございました! 失礼いたします。

 

内心: (もうだめぽ。)

 

 

第3、感想

民法は例年通り要件事実がメインだった。取得時効や売買は問研レベルで基本中の基本。再抗弁の他主占有事情と他主占有権原は類型別レベルで中級だが、皆準備してきているだろう。総じて、この問題の民法の難易度は低いと思われる。

民訴法では、訴訟の受継方法・売買と他主占有事情の立証方法・執行の管轄が出題。知識としては、いずれもマニアックだから、現場で上手く誘導に乗れるかがポイントだろうと思った。

1日目刑事、2日目民事の受験生は、法曹倫理の出題が無かった。倫理の自信がなかったため、出題されなかったのは運が良かった。

 

ほとんど主査の誘導頼みだった。主査は熱くなるとたまに早口になることがあり、聞き取りに苦労することもあった。最後に混乱したのは痛い。

副査は三かすることなく完全に採点表への書記係へ化していた。

 

大きな声でハキハキと、かつ、謙虚に答えることを心がけた。内容についてはおいといて、オッサンが放つ剥き出しのがむしゃら感は伝わったはず。

 

2日目は、受付を済ませてから4時間近く待たされ、精神的にも肉体的にも疲れた。

59点の可能性も否定できんイケてない解答だった。

 

色々とだめぽ。

 

※明後日は予備試験口述の合格発表日です。合否にかかわらずご報告が遅くなると思います。ご了承ください。遅くとも日付が変わるまでにはご報告差し上げます。