〜熱力学的エントロピーとは何か?という問いに関する結論〜        (超伝導へのアプローチからわかったこと)
 







 

  §正の値をとる、熱力学的エントロピーとは何か?

 

 

 熱力学的エントロピーは



 

 ⊿S=⊿Q/T=⊿kWh/T



 

 で定義されていますが、この時の時間をh1=0時間、h2=1時間として、Tは、限りなくゼロ0に近づいた値を取る場合を考えると、



 

   ⊿kWh=kWh2―kWh1=kW2[kW]・1[h]― 0=kWh2[kWh]、

 

           T=lim(T→0)T

    なので



 

   

    ∴⊿S=kWh2[kWh] / lim(T→0)T[K]



 

 

と表されます。

 

 

 このとき、kWh2[kWh]は一定の正の値をとると考えると、⊿Sの値は限りなく大きな値となり得ます。

 

 

 つまり、エントロピー変化は、無限大に近づくと考えられますよね?

 エントロピー変化が無限大に近づくということは、その変化が、非常に起こりやすい変化になっていくということですよね?

 

 

 つまり、この式の結果は、超電導現象を意味しているのではないかと私は考えます。
 

 

 熱力学の第3法則では、「絶対零度に近づくに従い、完全結晶のエントロピーは次第に減少し、零となる」とあります。ということは、良導体の金属は完全結晶ではない(延性、展性がある)ため、このような結果が実際に起こりうるのではないかと私は思います。

 

 この式の表す意味は、限りなく絶対零度に近い温度におけるエントロピー変化の値は、限りなく大きな値となる。つまり、絶対零度に限りなく近い温度において は、電力量という仕事が相対的に見ると、限りなく得やすくなるということである。

 

 つまりは、極低温の世界で、超電導という現象を起こすことが可能であることを意味していることにほかならないと考えられます。

 

 この、温度が、絶対零度に近づくにつれて、熱力学的エントロピーは限りなく増大するというのは、まぎれもない事実であるが、化学反応は、温度が下がるにつれて、起きにくくなるというのも事実である。

 

 それは、分子の熱運動が、温度が下がるにつれて、小さくなり、反応に必要な活性化エネルギーが得にくくなるためである。だが、温度が下がるにつれて、電荷の移動などの物理的反応は非常に起こりやすくなるということを意味しているのではないだろうか?

 

 

 それは、おそらく、物質の分子の熱運動が、電荷の移動などの物理的反応の抵抗になっているためではないかと考えられる。

 

 そして、熱力学的 エントロピーは、熱量の変化を一定の絶対温度で割った値(または、電力量の変化を一定の絶対温度で割った値)であり、状態量であるということを考えると、 超高温の世界では、物質の分子の熱運動が非常に激しくなり、抵抗が非常に大きくなるため、電子の移動等の物理的反応はほとんど起こらず、化学的反応だけが起こりえて、中間の温度では、化学的反応と物理的反応が、一定の温度における平衡状態を保っているが、超低温の絶対零度の世界では、物質の分子の熱運動が、ほとんどなくなり、抵抗がほとんどなくなるため、電子の移動などの物理的反応が起こりやすくなるということを意味しているものと考えられる。

 

 

 また、金属に電流が流れると、電子の移動により、少なからず摩擦によるエネルギーが発生するため、熱を発するのであろう。

 

 また、電荷の移動などの物理的反応が起きるときには必ず磁界という磁力が発生することも事実として踏まえておきたい。

 

 

 ここで、正の熱力学的エントロピーとは化学的反応と物理的反応の温度平衡について表している状態量であると考えると、



 

 •正の熱力学的エントロピーとは、化学的反応と物理的反応の起こりやすさを表す状態量であり、二つの反応の平衡状態の度合いを表す状態量である。



 

 •正のエントロピーが限りなく大きい値を取れば、物理的反応しか起こらず、逆に、正のエントロピーが限りなく小さい値を取れば化学反応しか起こらない。その中間の値を取れば、どちらも起こり得るということが考えられる。

 

 

 これらのことをすべてふまえると、化学的反応と物理的反応は対極の反応であり、その反応には、絶対温度による平衡状態が存在すると言えるだろう。
 

 

  超高温の世界では、物質どうしの反応は化学的反応の究極の形である、核融合を連続して起こし、莫大な光エネルギーが、連続して放出されるのであろう。

 

 この例として、太陽は、6000度以上の超高温であり、その中で、希ガスであるヘリウムが多く存在しており、そのヘリウムの連続した核融合反応により莫大な光のエネルギーを放出していると言われている。

 

 そして、超低温の世界では、物理的反応の究極の形である超電導として、非常に大きな、連続した電気エネルギーを得られるのであろうと、私は考える。


 

 

 これまでは、エントロピーの定義式



 

 ⊿S=⊿Q/T=⊿kWh/T



 

 の2つの右辺の分数の分母である、絶対温度T[K]の、極限値を取る場合について考えてきたが、二つの右辺の分数の分子である、⊿Q(熱量変化)や⊿kWh(電力量変化)が極限値をとる場合についても考えなければならないのであろうか?

 

 

 しかし、エントロピーの定義式

⊿S=⊿Q/T=⊿kWh/T

の、2つの右辺の分数の分子の極限値について考える前に、物質の性質について考えてみたい。

 

 例えば、熱を伝えやすい物質や、熱を伝えにくい物質、電気の良導体や、不導体があるということなどである。

 電気を流しやすい、代表的な物質は、金属、炭素、極性を持つ物質の分子の液体であり、また熱も伝えやすい。

 

 半導体は、温度が上がるにつれて、電気を流す性質がでてくる物質である。

 

 

 電気を流さず、熱も伝えにくい物質は、紙、炭素以外の純物質の結晶や粉末、高分子ポリマー(プラスチック)や発泡スチロールなどがあげられる。

 

 

 熱は伝えやすいが通常、電気は流さないものは、気体物質、ガラスや陶器などがあげられると思う。

 

 

 これらの物性と、エントロピーの関係は、エントロピー定義式の2つの右辺の分子の値について述べるためにはとても重要なことになると考える
。

 

   つまり、物質にはエネルギーを伝えやすい物質と、エネルギーを伝えにくい物質があるという点を考慮する必要が、熱力学的エントロピーについて議論するに当たっては、とても重要なことだと考えるからである。


 

 それは、熱力学的エントロピーは、熱や電気のエネルギーを伝えやすい物質と、伝えにくい物質とでは、その物性により、明らかに異なる値を取るということがエントロピーの定義式より、理解できるためである。


 

 そして、エントロピーの定義式の右辺の分数の分子の値はそれらの物質の性質に左右される値であると言える。

 

 

 また、熱力学の第3法則では、「絶対零度に近づくに従い、完全結晶のエントロピーは次第に減少し、零となる。」とあり、完全結晶に関しては、エントロピーの絶対値が定義できる。

  

 

 しかし、何らかの不完全性が認められる物質に関してはこの法則は適用できないとある。

 

 これは、エントロピーの定義式において、右辺の分数の分子の値が元々小さい物質で、熱量変化や、電力量の変化がほとんどない、つまりエネルギー的に非常に安定な物質(完全結晶も含める)のことを言っているためである。

 

 

 つまり、不完全性のある物質の中でも(エネルギーを伝えやすい金属などの物質)ついては、今まで私が述べてきた、法則が適用できるものと考える。

  

 

 それは、不完全性のある物質の中で、エネルギーを伝えやすい物質においては、物理的反応と化学的反応は対極の反応であるということが言えるとともに、正の熱力学的エントロピーは、物理的反応と化学的反応の起こる度合いをその物質の状態量として示しているということであり、正の熱力学的エントロピーが大きな値では、物理的反応が起こりやすく、小さな値では、化学的反応が起こりやすいということが言えると考える。

 

   そして、その熱力学的エントロピーの極限値(限りなく無限大に近づくとき、または、限りなく零に近づくとき)では、それぞれの対極の反応(物理的反応と化学的反応)における、最大のエネルギーが得られるか、最大のエネルギーが放出されるということを意味していると考えられる。

  

 

 しかし、これは、温度が極限値を取る場合について、熱量の変化や、電力量の変化が一定の場合についてしか考えていないため、実際にある法則とは言えないかもしれない。そして、絶対温度が極限値を取る場合と、温度が一定で、熱量変化や、電力量変化が極限値をとる場合についても、考えてみなければならないのかもしれない。

 


 しかしながら、温度一定で、エントロピー定義式の右辺の分子である熱量変化や電力量変化が大きくなったり、小さくなったりする場合については、今まで、他の人々によって、散々、論じられてきた内容と判断できるため、この場で論じる必要はないものと思われるが、あえて、ここで、エントロピー定義式の右辺の分子が限りなく大きい場合と、限りなく小さい場合、つまり極限値を取る場合について、論じてみることにする。

 

 エントロピーの定義式より、右辺の分数の分子が極限値を取る場合については次式で表すことができる。

 

 ① ΔS=lim(ΔQ→♾)ΔQ [J] /lim(T→0)T[K]


    =lim(ΔkWh→♾)ΔkWh[kWh] /lim(T→0)T[K]

 

 ② ΔS=lim(ΔQ→0)ΔQ[J] /lim(T→0)T[K]

    =lim(ΔkWh→0)ΔkWh[kWh] /lim(T→0)T[K]

 

 この場合、①の場合については、実際にはありえないため、ここで論じることは控えたい。

 

 ②の場合については、完全結晶では、実際にあり得るため、論じる必要があろう。

 

 ②の場合については、熱量変化や、電力量の変化が限りなく小さい場合であるから、熱力学的エントロピーはこの場合、限りなく小さい値に近づく。


 

 そしてこの場合については絶対値が定義できる。

 

 つまり、式で表せば、

 

 ∴ ③ l ΔS l = lim(ΔQ→0)ΔQ / lim(T→0)T

 

                 = lim(ΔkWh→0)ΔkWh / lim(T→0)T

 

                 (ただし、ΔkWh<T )

 

となる。

 

 この③式は、熱力学的エントロピーの第三法則の式と言えると思う。

 

 つまり、エントロピー定義式の右辺の分子が限りなく小さな値を取る場合、エントロピーの絶対値が定義でき、完全結晶においては、ゼロになりうるということをこの式は表している。

 

 つまり、この式が表しているのは、熱力学の第3法則で言っている「絶対零度に近づくに従い、完全結晶のエントロピーは次第に減少し、零となる。」ということになる。

 

そしてつまり、この場合については、熱力学の第三法則で論じていることと同じであるから、あえて、ここで論じる必要はないということになろう。

 

 

 

 

 §負の値をとるエントロピーとは何か?

 

 

 次に負の値をとるエントロピーについて考えてみる。熱力学では、系の内部から周囲に対してのエネルギーの放出がある場合、または系の周囲から系の内部へ仕事を加えた場合を、負の値で表すという約束事がある。

ここで、エントロピーの定義式を持ち出すことにしよう。



 

 ⊿S=⊿Q [J]/ T[K] =⊿kWh[kWh]/ T[K]

 

 このエントロピーの定義式において、負の値をとるということは、絶対温度に関しては負にはなり得ないので、熱量変化や電力量の変化が負になる場合についてのみ、考えればよい。

  

 

 この場合についても、正のエントロピーと同様に、考えることができると思う。ただし、エントロピーが負の場合については系の周囲へエネルギーを放出する場合、または系の周囲から系の内部へ仕事を加えられた場合であると考えられる。

 

 そして、系の周囲に対するエネルギー放出や、周囲から受ける仕事についての負のエントロピーも、温度の大きさに左右される。

 

 

 つまり、エントロピーが負で小さい状態とは、温度が非常に高い場合、つまり化学的変化で、系の周囲へのエネルギー放出が小さい、または、系の外部から系の内部へ加えられる仕事が小さい状態である。

 

 このときのエントロピーの値は負の方向に小さい値をとる。

 

 

 逆に、エントロピーが負で大きい状態とは、温度が非常に低い場合、つまり、物理的反応で、系の周囲へのエネルギー放出が大きい、または、系の周囲から内部へ加えられる仕事が大きい状態である。

 

 このとき、負のエントロピーの値は負で大きな値をとる。

 

 

 しかし、このような、非常におかしな化学的反応や物理的反応は実際には起こり得ないであろうことから、負のエントロピーは、実際にはあり得ない状態を表す値であると言われるのではないだろうか? 


 

   なぜならば、化学的反応ならば、系の外部への大きな仕事が可能であり、物理的反応においては、系の外部から系の内部へのエネルギー流入が可能であるため、この事実と矛盾しているためである。   

 

 エントロピーが負の値を取る場合は3通りある。

 

 

 一つはエントロピーの大きさ自体が負の値を取る場合と、もう一つは、正の大きさをもつエントロピーが、系の周囲から内部への仕事をする場合、さらにもう一つは正の大きさを持つエントロピーが、系の周囲に対してエネルギーを放出する場合の3通りである。

 

 

 また、正の値を取るエントロピーにも3通りある。

 

 

  一つはエントロピーの大きさ自体が正の値を取る場合で、もう一つは、その正の大きさのエントロピーが、系の内部から周囲への仕事をする場合と、系の周囲から内部へのエネルギーの流入がある場合、さらにもう一つは、負の大きさをもつエントロピーが、系の周囲から内部へ対しての仕事をした場合と、系の内部から周囲へのエネルギーを放出する場合の3通りである。

 

 

 しかし、通常の反応におけるエントロピーは、常に正の値しかとらないと考えられる。

 

 それは、
物 質の性質として、物質には、必ず質量があるため、その質量を無視することが許されないので、通常の反応では、必ず、エントロピーは正の値をとると考えることが正しいのであろう。

 

 また、エントロピーの大きさは、物質が持つ内部エネルギーの大きさに左右されるため、必ず、正の値をとると考えたほうが良いと考えられる。
 

   

 この場合のエントロピーは、物質の内部エネルギーに起因するエントロピーなので、ここでは、内部エントロピーと呼ぶこととしよう。

 

 

 物質の持つ、内部エントロピーが系から出たり入ったりすることは考えられる。

 

 しかし、内部エントロピーのもともとの大きさが負の値を持つことは考えられない。

 そして、この場合は、負のエントロピーをとる場合は、物質の正の内部エントロピーが、系の周囲から内部へ対して仕事をする場合と、系の内部から周囲に対してエネルギーを放出する場合の2通りしかないこととなる。

 

 

 また、同様に、正のエントロピーをとる場合は、物質の正の内部エントロピーが、系の内部から周囲へ対しての仕事をした場合と、系の周囲から系の内部へエネルギーが流入する場合の2通りが考えられる。



 

 

 このことについて、考えを巡らせてみよう。

  

 

 まず、エントロピーが負の値をとる場合、つまり、物質の正の内部エントロピーが、系の周囲から内部に対して仕事をする場合と、系の内部から周囲に対してエ ネルギーの放出をする場合については、熱力学の約束事で、負と定められているのであるから、これは、何らかの力が、系の外部から内部に対して掛かる場合 と、系の周囲への熱エネルギーの形での放出であると考えられ、このときの何らかの力とは、磁力を意味しているのではないかと思われる。

 

 
このことを裏付ける証拠が、電流が電線を流れると、必ず、磁界による磁力が発生し、同時に熱を放出するということに他ならないと私は考える。
 

 

 つまり、電流が電線を流れる時、必ず発生する磁界による磁力と熱について、その原理が、負のエントロピーについて論ずることにより、説明ができるようになるわけである。

 

 また、エントロピーが正の値をとる場合についても、正の内部エントロピーを持つ物質が、系の周囲へ対して、熱エネルギーによる膨張仕事をする場合と、系の周囲から系の内部に対して、熱エネルギーが流入することを意味していると思われる
。  

 

 そして、磁力は、同極ならば反発力、異極ならば、吸引力となる。

 

 つまり、同極どうしの仕事ならば反発力が働くため、系の内部から外部への仕事になるため、仕事の範囲は無限となり得るので、その値は、熱力学上は正になる。

 

 異極どうしの力が働けば吸引力としての仕事が行われるため、ある一定の範囲の仕事しかできず、その時の値は、熱力学上は負となる。
 

 

 また、この場合、残りの仕事のエネルギーは、系の内部から周囲に対して、熱のエネルギーという形で放出されると考えられる。
 
 

 

 また、仕事も熱も通常は正の値をとることにも注目してほしい。

 

 これは、熱力学的エントロピーが物質の持つ内部エネルギーに起因する値であることを意味しているわけである。
 

 

 つまり、物質は、必ず内部エネルギーを持っているため、通常は正の値をとるのだと考えられるのである。
 
 

 

 また、物質は実際に、電子や陽子という電荷を持っているため、また電荷の動くところには、必ず磁場ができることからも、磁力のエネルギーと、エントロピーとの関連性を考えることは、容易にできると私は考える
。

 

 そして、それは、物質内部でも、電子が、電子の軌道をスピンしながら回っているので、物質内部にも、磁場は存在すると考えられるためである。

 

 

 これらの仮定や、事実を踏まえて考えると、正負のエントロピーの大きさは、物質の内部エネルギーに起因するため、必ず、0≦⊿Sとなる。


    

 そして、正のエントロピーは通常の物質の反応におけるエントロピーを表し、その値は、一定の温度において、通常の反応で、取り出しうるエネルギー量を示しており、負のエントロピーは、磁力が関係する反応におけるエントロピーを表し、その値は、一定の温度において、磁力反応で、取り出しうるエネルギー量を示していると考えられる。
 

 

 ここで、もう一度、マイナスのエントロピーが何を表しているのかということについて、ここで言及したい。

 

 マイナスのエントロピーは、起こり得ない反応の起こりやすさについて表していると言われている。

 

 つまり、マイナスのエントロピーが極限値まで負の方向に増大するということは、起こり得ない反応が限りなく起こりやすくなってくるということである。 

 

   しかし、実際に起こり得ない反応なのだから、どのような状況になったとしても起こり得るはずがないのである。

 

 しかし、マイナスのエントロピーが、磁力反応において、取り出しうるエネルギー量について表しているとすると、熱力学でマイナスで表すのは、系の内部から周囲に対してのエネルギーの放出がある場合、または系の周囲から系の内部へ仕事を加えた場合であるから、磁力がマイナスのエントロピーの正体であると考えると、そのような実際には起こり得ないと言われる反応についても実際には起こり得るという説明が容易にできるようになるのである。

 

 例えば、気体の充填された鉄でできたピストン系を考えると、系の外部から内部への仕事を加えた場合、ピストンは、内部の気体を圧縮するようにピストンは動くが、そのような反応は、ピストンとピストン壁の間に働く磁力における吸引力が働くことで、エントロピーがマイナスの値であったとしても実際に起こり得るのである。

 

 そして、系の外部にエネルギー放出がある場合は、電荷の移動により発生した熱のエネルギーが系の外部に逃げ出すことで、エントロピーの値がマイナスであったとしても実際に起こり得るのである。

 

 実際に、電線を電流が流れる時、磁界を発生し、それと同時に熱が放出される現象において、マイナスのエントロピーが磁力及び電気的反応において取り出しうるエネルギー量を表しているとするならば、マイナスのエントロピーが負の方向に増大するということは、磁力及び電気的反応の起こりやすさが増してゆくことを表しているとするのが妥当な考えである。

 

 そして上記のピストン系において、ピストン系の下部から、上部に対して電線を通し、電流を流せば、右ねじの法則とフレミングの左手の法則から、ピストンは気体を圧縮する方向に磁力の力が働くため、ピストンにはそのような磁力の力が働き、その力は、あたかも、系の外部から内部に対して仕事を加えたように見えるということと考えられる。

 

   そのようなことから、マイナスのエントロピーという状態量が実際に説明できることになるのである。

 

 そして電流が流れる時には、必ず、同時に熱も放出するため、マイナスのエントロピーが、このことによってもうまく説明ができることになる。つまり、マイナスのエントロピーが表しているのは、磁力及び電気的反応であり、その反応において取り出しうるエネルギー量であるという説明は、正しいと考えることができる。

 

 そしてまた、電流が電線を流れる時、物質は必ず内部エネルギーを持つため、内部エントロピーを持ち、その内部エントロピーに起因する磁力が発生するのは、電流による電子の摩擦により、マイナスのエントロピーを発生するため、磁力による仕事のエネルギーと、熱のエネルギーを同時に発生するということが、マイナスのエントロピーについて論じることで立証できることになるわけである。

 

 そしてこのことから、極低温下では電流による電子の摩擦がほとんどなくなるため、電流による磁力は弱まるということも予測できる。 

 

 つまり、マイナスの熱力学的エントロピーの正体とは、電磁気学的分野において説明ができる状態量であり、磁力及び電気的反応において取り出しうるエネルギー量を表す状態量であるという結論に達するのである。

 

 そして、今まで説明してきたことをまとめると、熱力学的エントロピーとは、それぞれの一定の温度における物質の反応において、エネルギーとして取り出しうるエネルギー量を示す状態量であり、正の熱力学的エントロピーが表すものは、物理学的反応と化学的反応の起こりやすさの温度平衡の度合いについてを表す状態量であるということ、また、マイナスの熱力学的エントロピーが表すものは、磁力及び電気的反応の起こりやすさの度合いについて表しており、磁力及び電気的反応において取り出しうるエネルギー量を示す状態量であるという結論に達する。

 

 そして、極低温においては、永久磁石等で磁力が得にくくなる現象が起きるのは、極低温の世界では、物質原子の熱運動が、温度が下がるにつれて弱くなっていくために、磁力を生み出す元である、電子の摩擦が得にくくなることに起因していると思われる。

 

 つまり、電子が摩擦するときに、磁力というエネルギーは生まれるのだと考えることができるのである。

 

 また、熱力学的エントロピーで、正のエントロピーが、反応の起こりやすさを表し、負のエントロピーが、起こりえない反応の起こりやすさを表していたという由縁は、エントロピーという概念が、熱力学的分野だけでは、説明がつかない状態量であったためであると判断できる。

 

 つまり、熱力学的エントロピーという概念は、電磁気学的分野まで、とらえて考えれば、説明がつく状態量であるという結論に達するわけである。

 

 これが、熱力学的エントロピーについて私の導き出した結論である。

 

 これらのことから、磁力による反応も物理的反応であるから、超低温の世界では、電気エネルギーが非常に得やすくなることから、磁力反応による発電や送電も容易になると思われる。

 

 例えば、永久磁石を使い、液体(液体窒素など)の流れを生み出し発電する、磁力流力発電機などを作り、発電を行えば、大きな電気エネルギーが無限に得られる可能性があることを、私は、ここで、最後に述べておきたいと思う。

 

 そして、熱量Qに関して言えることは、熱量Qもエネルギーであり、kWhであらわせることから、状態量であると言える。このことは、実際に数学の理論である必要条件、十分条件、必要十分条件より、証明することも出来るのである。

 

 また、この論文により、それぞれ、反応には抵抗と言うものが存在し、その抵抗は、エネルギーを生み出す元にもなることもお分かりいただけたことと思う。

 

 そして、この論文が、もたらす成果は、自然科学的分野(物理学的分野、化学的分野、天文学的分野)だけでなく、経済学分野、また、金融工学分野にまで及ぶものと、私は信じてやまない。

 

                       

                        
以上。 

 

 

 注1:本来なら、⊿Q=⊿(W・s)で論じるのが正しいが、ここは、敢えてkWhで考えてみた。つまり、実際にはkWhで論じるためには、3,600,000という、定数を考えなければならないため、わかりやすく論じるために、その定数を省いて論じてみた。

 

   注2 : 十分条件を、熱量Qはエネルギーで電力量kWhと等価であるとし、必要条件を、電力量kWhはエネルギーで状態量であるとすれば、十分条件+必要条件=必要十分条件となるため、熱量QはエネルギーでありkWhと等価な状態量である。ということになり、熱量Qも、電力量kWhと同じく状態量であるということが言えるのである。

 

 エントロピーの変化はある温度において加えた熱量の変化であらわされる。式で表すと
    dS=dQ/T [J/K]
左辺に温度Tを移行すると、その式の表す意味は、ある一定の温度でのエントロピーの変化は熱量の変化を表すことになる。つまり
    

    dS・T=dQ
 

これを積分すると
            

    S・T=Q2-Q1[J] ・・・・(1)
 

 この式の表す意味は、ある一定の温度とエントロピーの積は熱量の変化であることがわかる。
 ここで、熱量の変化をkWHhに置き換えると(1)式は次のように表すことができる。 
                        
   S・T=kWh2-kWh1
         

  ∴ S =⊿kWh/T [kWh/K]
 

 この式の表す意味は、ある一定の温度における電力量の変化がエントロピーである。ということで、  
すなわち、エントロピーという不確定要素という状態量は、実際に測定可能な状態量であるということが証明されたことになる。
 

 つまり、エントロピーは概念ではなく、実在する状態量なのである。

 

 そして、熱量Qについても、エンタルピーという形で測定が可能なのであるから、kWhと等価な状態量であるということが言えるのである。

 

                                                                                                 

 これで、熱力学という非常に難解な学問にひとつの結論を導けたことを私は、非常に嬉しく思う。ひとつに学問と言っても勉強するだけじゃ学問とは言えないこと、研究を通して学問は成り立つのである。このことをよく理解すべきだと私は思う。

 

 

富士山が綺麗に見える自宅にて書す。      

 

 

       東京理科大学理学部第二部化学科 

                                   

       平成6年3月卒業 理学士       松尾 浩一                                       

 

 

 

 

参考資料

: 

 

 新版熱計算入門Ⅰ―熱力学の基礎― 大屋正明

                                          省エネルギーセンター

 

 新版 カステラン物理化学 上 目黒謙二郎  森信雄 共訳書 

                                          東京化学同人