吉川英治 原作の小説を歌舞伎にしたものです。
昭和14年に六世菊五郎で上演され、その後も上演が重ねられていたようです。
今回は、新たに脚本から作られたとのことですから、新歌舞伎の新作のような

菊五郎劇団では、毎年一月国立劇場で、復活の通し狂言を上演されていますから、お得意分野ですね。
お正月ほどの派手さはありませんが、一つ一つの場が短めなので、展開が早い印象で、気が抜けるところが無いのが良いです。
場が長く台詞が長いと、気が抜けがちですから
お話は、太閤記。
木下藤吉郎→羽柴秀吉の出世物語。
TVの時代劇でもよく取り上げられるテーマですので、馴染みやすい内容です。
全6幕16場、本能寺の場以外は全て菊五郎さんは舞台に出ていらっしゃいます。
開幕前のインタビュー記事で、SOK(台詞が多くて困るとか?)とおっしゃっていましたと記憶していますが、若い木下藤吉郎から天下人を狙う立場へ出世するまでを、面白く表現されていました。
気取らず、堅苦しいところがない人物で、上様のためという視点から事を捉えて取り組み、周りの人たちを惹きつける魅力を持った人物に描かれていました。
時代劇ですが、菊五郎劇団にかかると、楽しい世話物になります。
菊五郎さん藤吉郎と時蔵さん寧子とのカップル。
相思相愛でした。
夫を支えるしっかり者のおかか、寧子。
すっかりお馴染みの息の合った夫婦です。
寧子の両親は、團蔵さんと萬次郎さん。
しっかりとしたお家なのだなとわかります。
藤吉郎の母なか 東蔵さんは子思いの母親です。
藤吉郎の下男権三 橘太郎さんは、菊五郎さん藤吉郎を支えている感じがハマり役だと思います。
松緑さん、長短槍試合の相手 剣術指南役上島主水は、プライド高く血気盛んな感じです。
前田利家 歌六さん。
寧子を藤吉郎に取られてしまいましたが、忠臣同士の友情、信頼関係がカッコいい!お役です。
柴田勝家 又五郎さんも藤吉郎と敵対するお役なんですね。
藤吉郎の敵役となる、普請奉行の山渕右近は亀蔵さん。やっぱり斬られてしまいました。
清洲城の普請の棟梁 権十郎さんは、職人の意気が感じられました。
軍師竹中半兵衛 左團次さんは、我が信ずる道を行くという雰囲気が良かったです。
半兵衛妹おゆう 梅枝さんは、しっかり者の感じが素敵な女性でした。
亀三郎さん 小早川隆景。秀吉と和睦の道を選ぶ思慮深い武将の雰囲気でした。
家督相続ならなかった信孝 松江さんの苦々しい表情も無念さがよくわかりました。
吉右衛門さん明智光秀が登場されると、時代物の深い雰囲気になります。
信長の仕打ちを受けての表情は、深く伝わってくるものがあり、見応えのある場面でした。
梅玉さん信長は、大将の品格を持ちながら、気性の激しさも表現されていました。
菊之助さんの濃姫は、美しく、気品と威厳もありました。
菊五郎劇団の皆様と、梅玉さん、播磨屋さん皆様のタッグで、楽しく拝見しました。
