今月は遠征できる日が限られているので、夜の部からの観劇になりました。
新薄雪物語は、以前に花形役者さんの公演も拝見しています。
今月は、幹部俳優の皆さま勢揃いの、大歌舞伎。
やっぱり雰囲気を味わいたく、行くことにしました。
夜の部は、園部家の広間、奥書院からです。
園部兵衛 仁左衛門さん
梅の方 魁春さん
腰元呉羽 高麗蔵さん
夜の部の薄雪姫は米吉さん。
薄雪姫は園部邸に預けられています。
園部兵衛と梅の方は、薄雪姫の行く末を案じて、落ち延びさせようと決めます。
薄雪姫は、自分だけ逃れるのは、となかなか納得しませんが、園部兵衛に説得されて出て行くことにします。
園部家と薄雪姫の別れを惜しむ場面は、それぞれ苦渋の決断なのだということがよく伝わってきて、じーんときました。
仁左衛門さんも、魁春さんも、表情に親としての想いや武家の品格がぎっしりと詰まっているように感じられます。
薄雪姫の米吉さんは、身体全体から、初々しい姫の精一杯の気持ちが溢れていました。
高麗蔵さんの腰元は、園部家と薄雪姫をしっかりと支えているお役でした。
幸崎伊賀守からの使者(又五郎さん)が、左衛門の首を打ったという刀を持って口上にやって来ます。
刀に付いた血糊を見て、その意味を察する兵衛の仁左衛門さんの表情の変化には、重大な決意が伝わってきて、引き込まれました。
「科は同罪とはよく言った」
緊迫した場面でした。
幸崎伊賀守がやって来ますが、梅の方は兵衛の言いつけ通り、恨み言一つ言わずにじっと耐えています。
魁春さんは、武家女房らしく、気丈さが伝わってきました。
幸崎伊賀守は幸四郎さん。
左衛門の首桶を持って来たのですから、敵役に見えますが、心と身体の痛みを持っていると解り、一歩一歩がとても重く感じられます。
未練な左衛門が園部家を訪ねて来たのを一喝する伊賀守には、親として子を守りたい気持ちからくる厳しさも伝わってきました。
幸四郎さんの姿から、幸崎家でも園部家と同様のやり取りがあり、決断があったのだと感じました。
左衛門は花道より先の園部家には入れないのです。錦之助さんから、その辛さがよくわかりました。
伊賀守と兵衛の陰腹。
そのお互いの気持ちが共有されての、三人笑い。
兵衛には、秋月大膳に陥れられた無念さと子を守った安堵のようなもの。
梅の方には、遺される者の悲しさ。
伊賀守には、これで子らを守ることができる達成感のようなものがあるように感じました。
最後にやって来た松ヶ枝の芝雀さんも親として、夫の決意を見守っていたのだな。
四人の親の気持ちが一つになっての幕切れとなりました。
ベテランの役者さん方の舞台を拝見することができて、すごく良かったです。