浮世又平  鴈治郎さん
女房おとく  猿之助さん


又平のやるせなさ。弟弟子修理之助(壱太郎さん)に先を越されて、師に土佐の名字を与えて欲しいと訴えますが、生来話すことが不自由なため、聞き入れられず。何より、功が無いため。

銀杏の前が連れ去られたと、狩野雅楽之助(松緑さん)が注進に来ます。
言葉の不自由な又平より、若年の修理之助に救出を託されてしまいます。

師の土佐将監(彌十郎さん)も、熟慮しての決断なので、意地悪で言っているのではないとわかります。
将監北の方(竹三郎さん)も、又平とおとくにすまなそうに部屋へ入っていき、又平のことを全く気にかけていないわけではないとわかります。


今生の望みは切れたぞェ
又平は自害しようと考えますが、おとくに諭され、最後に手水鉢に自画像を描くことにします。

又平とおとくの場面は、猿之助さんおとくの想いがいっぱいに詰まっていました。

すっかり気の無くなってしまった又平に、最後の仕事をしてもらおうと、懸命に世話を焼くおとく。
話すことが不自由な又平のためにしゃべりになっていたのも、出しゃばっていたのではなくて、夫の役に立ちたい、支えたい一心からのことだったなあと思いました。

又平は、渾身の力で自画像を書き上げました。
指に力が入りすぎて、筆が簡単には離れません。おとくが、指を一本一本外してやり、力のこもっていた又平の右手をさすってあげるところは、また、夫想いのおとくの気持ちが良く伝わってきました。

夫の最期の場を作り、自分も一緒にいくからと、この世の名残りに水盃を。
手水鉢に水を取りに行ったおとくが、又平の画が厚い石を通り抜けたのを見つけました。

この時の喜びようは、本当に良かった!と心底共感することができました。感動的な場面でした。

これでめでたく、師に認められ、土佐又平光起の名を与えられ、衣服、大小と印可の筆と巻物を授かりました。

おとくの鼓に、又平の大頭の舞は、二人の嬉しさがこみ上げてきます。

又平とおとくの夫婦愛のお話なのだなあと、温かい気持ちになりました。


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