岩倉大納言兼冬公館の場
近松門左衛門の作品で、謡曲の「山姥」と源頼光と四天王の世界を合わせたものだそう。
今月の四代目鴈治郎襲名披露公演には、近松作品が3演目上演されています。
元は松の位にまで登りつめた大坂の傾城でしたが、坂田時行と一緒に廓を出て、紙衣姿にまで落ちてしまっています。
気が強くて、よくしゃべります。
父の仇討ちのために出ていってしまった夫時行(門之助さん)を捜す旅をしていますが、偶然再会。
その場は、お公家さんのお屋敷で、夫は煙草屋源七として、お姫様と腰元たちに囲まれ、三味線と唄を披露していたという間の悪さ。
許嫁の頼光の消息がわからないため、気が沈んでいる沢瀉姫をお慰めしていたのですが。
これには、八重桐はプツンと切れました。
沢瀉姫や腰元たちの前で、廓噺をする、しゃべりが見どころです。
時行の事も、恨みがましく織り交ぜています。
人前なので抑えていますが、抑えきれない感情がにじみ出ているところで、笑わせていただきました。
嫉妬心、恨み言を可笑しみで演じられる、扇雀さんならではの面白さがありました。
時行と二人になると、もう、呆れたというか、愛想が尽きたという感じです。
対する時行は、父の仇討ちは妹によってなされたことも知りませんでした。
仇討ちができない、不甲斐ない時行です。
こうなったからは、腹を切るしかない。
八重桐に、自分の魂を受け継ぐ男子を産んで、深山にこもって勇者に育てて欲しいと言います。
息も絶え絶えになったとき、時行の魂が飛び出して、八重桐の口へ入りました。
視覚的に分かり易すぎます。
神通力も与えられました。
八重桐は、隈取りの顔になり、何かが乗り移って、強さが何倍にもなったかのように、姫を襲う敵と勇ましい立廻りになります。
はらんだ子は、頼光の四天王の一人となる坂田金時なのですが、それにしては父時行がちょっと頼りなかったなあ。
八重桐山姥が、立派な強い男子に育てあげるのだなあ。
八重桐のぶっかえりも迫力がありました。
最後の黒御簾のお囃子は、荒事のようでした。