老女岩手 実は 安達原の鬼女  猿之助さん

黒塚。当代猿之助さんの襲名披露公演で上演されていたようですが、拝見していたのかどうか、全く記憶にありません。
初見として、のぞみました。


第一景  芒の原の一つ家

阿闍梨祐慶  勘九郎さん
山伏  門之助さんと男女蔵さん
強力  寿猿さん

阿闍梨一行が、一夜の宿を求めて岩手を訪ねて来ます。岩手と阿闍梨が話をします。岩手は、糸繰り唄を歌いながら、糸を手繰ります。
阿闍梨の勘九郎さんの表情がとても穏やかで、本当に仏門に入られているように感じました。
岩手は清々しい思いで、薪を取りに山へ出かけて行きます。


第二景  芒の原

下手の奥から猿之助さん。滑るように歩いていました。台か何か、スケボーのようなものの上に乗って移動しているのかと思いました。身体が全く上下にぶれないのです。
長唄に琴と尺八が加わった演奏にのって、岩手が踊ります。たった一人です。長唄連中の方々も舞台上にいらっしゃるとはいえ、歌舞伎座の広い舞台で、1人で踊られるのはすごいです。今までどなたかいらしたでしょうか。
岩手の踊りには、惹きつけられます。内に秘めた想いが、徐々に秘めきれずに体中から溢れ出してきます。上機嫌に踊るところは、猿之助さんもとてもノッていらっしゃるところだと思いました。爪先立ちのステップも。

全三景の中で、猿之助さんが一人で踊られた第二景が一番面白かったです。

強力の寿猿さんは、人の煩悩の象徴のような存在でしょうか。仏さまのような阿闍梨祐慶に比して、人間的に演じられていました。


第三景  祐慶たちと鬼女の戦い

阿闍梨に裏切られたと知った岩手は、鬼女の正体を現します。鬼女の隈取りになって、能の後ジテのようです。
舞台中央には、作り物の黒塚が置かれています。
打杖を持った鬼女は、阿闍梨たちに襲いかかりますが、阿闍梨たちは、数珠を揉んで対抗します。
鬼女が迫っていき、阿闍梨たちは後退りしていきますが、鬼女は弱って花道でバタリと仏倒しになります。
おおぉっと、声をあげてしうまうくらい迫力がありました。


退屈しがちな舞踊劇に、すっかり引き込まれていました。