三、すし屋
義経千本桜の三段目
大和国の下市村のつるべすし屋に、平維盛が身をやつして弥助として匿われています。それが、頼朝の重臣 梶原平三景時に知れて、すし屋の弥左衛門は、維盛の首を差し出すよう命じられていました。
すし屋の娘、お里は梅枝さん。弥助の素性を知らないので、祝言を挙げられるとウキウキです。
朱色の麻の葉模様のだらり帯と髪飾りがゆらゆら揺れています。後ろ姿もとても可愛らしいです。弥助を誘って言うことは、とても積極的な娘です。
お月さんも寝やさんした。は、ぶりっ子(死語?)っぽいです(笑)が、印象的な台詞です。
お里は好きなお役の一つです(*^^*)
弥助は時蔵さん。祝言を挙げる素振りを見せていたのに、二世のかためはゆるしてくだされと。その気になっていたお里はかわいそうです。弥助の素性が知れないように、ということだったのですね。
父弥左衛門(左團次さん)は、維盛とわかっていますから、上市村の隠居所に行くように勧めています。
お里には、一夜の夢を見さそうと考えたのでしょうか?
維盛の妻子、若葉の内侍(萬次郎さん)と六代君が偶然訪ねて来て、再会を果たしました。
これでは、お里は諦めるしかありません(>_<)
弥左衛門は、前の段で討死した小金吾の首を隠していて、維盛の替わりに差し出す肚です。
いがみの権太は菊五郎さん。前の段の「木の実」で、若葉の内侍たちに会っていて、金と維盛の絵姿の入った行李を盗んでいるのですが、すし屋の段の登場から、モドリは始まっていたようでした。
勘当された実家に、金の無心に来たふりで、維盛の様子を探り、維盛家族に路銀を渡して、落ち延びさせようと考えていたのでした。
母おくらは右之助さん。いがんだ子が金の無心に来ても可愛いのです。
権太は父が苦手で、素直に気持ちの表現ができないです。
権太のモドリは、鮓桶を取り違えたところ、母から騙し取った三貫目ではなく、小金吾の首を持ち出してしまったのがきっかけかと思っていました。
維盛の首を取って金にすると飛び出して行った時から、自分の妻子小せんと善太も差し出すつもりだったのですね。
冷たい口調で、妻子を差し出していますが、血を吐く思いが伝わってきます。
花道へ、小せんと倅が梶原一行に連れて行かれるところでは、無言のお別れがつらいです。倅善太は、歩きながらずっと、権太を見つめていました。
このお話も、恩義ある御方のために、妻子を犠牲にするのでしょうか?
梶原平三景時は、幸四郎さん。白塗りのお顔です。
頼朝の恩人である小松の内府重盛の子、維盛を助ける心です。頼朝着用の陣羽織の中に袈裟と数珠が縫い込んであり、維盛の命は救う肚だったのですから、小せんと倅善太も救われてほしいです。
権太は、事情を明かす前に、維盛の首を取ったと思い込んだ父弥左衛門に刺されてしまいました。
もっと早くに知らせてくれたら。孫の顔をよく見ておいたものを。
家族皆が、嘆いています。背中を向けて、悲劇の場面になりました。及ばぬ知恵で騙ったつもりが、、、
景時の方が上手でした。
権太はモドリましたが、それまでに悪業が過ぎてしまったのでしょうか?