御所五郎蔵は、陸奥国の大名浅間巴之丞の家臣でしたが、腰元皐月と恋仲になったのが知れて、武士を捨て町人となり、皐月と夫婦になっています。皐月は傾城になっています。
皐月に横恋慕しているのが、剣術指南役の星影土右衛門。今だに、皐月を諦めていません。
序幕で両者が、それぞれ子分、門弟を連れて登場するところは、両花道にならないのが残念ですが、染五郎さんの五郎蔵は威勢が良く、松緑さんの土右衛門は堅い感じで良かったです。
五郎蔵の子分と土右衛門の門弟は遺恨があって、対立しています。五郎蔵の子分たちは、着ながし姿。黒御簾前に並んで、土右衛門方と対峙する時の、斜め後ろ姿が、男らしくて何とも格好良いと思いました。
伊達男は年輪が大事(^^;; 松江さんのこのようなお役は味があって良いです。
浅間巴之丞は、傾城逢州に入れあげている為、揚げ代二百両を支払わなくてはなりません。
二百両を五郎蔵が工面しようとします。巴之丞は登場しません。どんな主人なのか。
お家騒動ものには、放蕩殿様が登場することが多いものです。
五郎蔵は忠義者なのですが、気が短いようで、荒いようで。
五郎蔵はお金を工面できませんが、土右衛門は二百両貸せるほどのお金持ちなんですね。その代わり、皐月に退き状を書いてもらいたいと。
皐月は、五郎蔵に二百両を工面したいために、退き状と、もう一通、五郎蔵宛の文を書き、逢州に託しました。
心にも無い、苦しい愛想尽かし。土右衛門から受け取った二百両を手切れ金として渡します。
悔しがる五郎蔵。
勝ち誇った土右衛門。
愛想尽かしには、胡弓が付き物です。
やい、皐月!廓の水が染み込んだ人でなしめ!手切れはいらねぇ!
五郎蔵は、激怒!!!
大名家に仕えていた時からの恋女房からの、切ない愛想尽かし。本心じゃないのよ~気付いて~と祈りながら観る場面ですが、染五郎さん五郎蔵の逆上していく心情の表現は、活きが良くて格好良い!と思ってしまいました。
「晦日に月の出る廓も、闇があるから覚えていろ!」は黙阿弥の七五調の台詞ですが、悠長に唄う台詞ではなくて、心底から怒りの台詞で、何をしでかすかわからない勢いで、殺気立って出て行きました。
皐月の代役として土右衛門と出かけていく逢州は、わざわざ皐月の打掛を着ました。
月も出ぬのに鳴く烏。胸騒ぎ、、、苦労の絶えぬ身の上じゃなあ。と皐月。
そして、五郎蔵は皐月を待ち伏せ、誤って逢州を斬ってしまいます。
高麗蔵さん逢州は、殿様に釣り合うのだろう貫禄の傾城でした。五郎蔵に斬られる逢州の立ち振る舞いも、形がきれいだなぁと、殺し場も美しく見えました。
妖術を使う土右衛門。お家騒動ものの敵役は妖術使いなのか⁈
五郎蔵と土右衛門の斬り合いのところで、切り口上となりました。
主君が入れ揚げていた逢州を誤って斬ってしまったことには気付いて、しまった!の五郎蔵ですが、皐月の文は、どうなるの~と余韻残して幕です。
染五郎さんの五郎蔵は初役とは意外で、とてもはまっていたように感じました。
松緑さんは、土右衛門は、横恋慕がいやらしくならないところが良かったです。皐月と土右衛門もありかなと思うような。
芝雀さん皐月は、姉さん女房風でしっかり者で、気の荒い五郎蔵とお似合いの感じでした。
秀山祭、楽しみました
